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2019.04.15
陸上競技

[陸上競技]輪島50km競歩で川野学生新!日本歴代2位のタイムで見据えるは東京五輪

58回全日本競歩輪島大会

103回日本陸上競技選手権大会50km競歩

兼ドーハ2019世界陸上競技選手権大会50km競歩日本代表選手選考競技会

4月14日(日)輪島市文化会館周回コース・日本陸連公認競歩コース(1周2kmの周回コース)

 

男子50kmW

2位 川野 3:39'24  ※日本新 ※日本学生新 ※大会新


優勝を狙いスタートした川野


日本歴代2位のタイムでフィニッシュした

表彰台では笑顔を見せる



 川野(総3=御殿場南)はゴールした瞬間その場に倒れこんだ。記録は日本記録更新、そして自身がもつ学生記録を更新する学生新記録。先日の全日本競歩能美大会(以下、能美大会)で20kmと共に今回の全日本競歩輪島大会(以下、輪島大会)での日本学生新記録と、川野は着実に世界への階段を上っている。

 

 レースはスタート直後から東洋大OBの松永(H28工卒=富士通)が飛び出し、野田(自衛隊体育学校)が続く。川野は鈴木(富士通)らとともに3位集団を形成した。レースはハイペースで進んだ結果、28km過ぎに野田が失速、35km過ぎには松永が棄権し、川野、鈴木を含んだ集団が1位争いを繰り広げる展開となった。50kmの中でも鬼門となる35km過ぎ。鈴木が集団から抜け出すと、川野は「正直悩んだがチャンスは今しかないと思ったので後先考えずに突っ込んだ」と話すように鈴木の後を追う。一時は1kmのラップタイムが4分4秒に上がるほどのペースアップに川野は食らいつくも、鈴木の日本記録更新ペースに川野は次第に離されていく。目標としていた優勝とはならず最終的に2位でフィニッシュとなったが、記録は旧日本記録を上回るタイム。ゴール後そのまま倒れ込む姿がレースの過酷さを物語っていた。

 

   

  先日の能美大会からわずか1ヶ月あまりでの輪島大会出場。20kmで磨いたスピードに加え、50kmを耐え抜くための持久力をつけるトレーニングを積んだ。「川野は世界で戦える選手に仲間入りしたと思う」と酒井監督は川野を高く評価する。今回の結果は、川野自身の持つ日本学生記録から7分以上速いものであり、鈴木に次いで日本歴代2位という好記録。また、20km50kmで学生新記録を樹立したことについて川野は「今回の結果は非常に自信になった」と収穫を口にする。この経験が、さらに川野を強くさせるに違いない。

 


    来年に迫った東京五輪。選考は始まっている。「今の日本の競歩界は高いレベルにいる。川野にはその中の中心選手になってほしい」と酒井監督は期待を寄せる。世界を見据える川野の飛躍はとどまることを知らない。

 


■コメント

・酒井監督

今大会は世界選手権の代表選考があるということと、来年の東京オリンピックの予選会でもある。能美大会の20kmから今回50kmで急ピッチではあるが、20kmの記録が1時間17分台の選手で50kmに挑んだ選手はいないからね。今の日本の強歩界は高いレベルにいる。川野にはその中の中心選手になってほしいということでチャレンジャーとして出場した。(能美大会から今回まで)20kmの世界陸上代表を池田と争う形になったので、今回50kmで戦えるんだという強みをしっかり出すことが、20kmで代表に選ばれなかった、そのものを埋めるものになる、力に変えていこうという取り組みをした。(レースを振り返って)非常に普段取り組んでいるレースよりもペースの上げ下げもあるしタイムも旧日本記録の走りだから、中身もタイムも評価できるパフォーマンスだった。自己ベストも大幅な更新、学生新記録。50kmで3時間40分の壁を越えることはかなり大変なこと。それを2回目の50km競歩で達成した。優勝した鈴木くんも50km初トライではあるけれど、彼は20km競歩で世界記録を持っている選手ですから。川野は世界で戦える選手に仲間入りしたと思う。競歩も世界クラスでやっているわけですから。短距離も同じようにやってますから。長距離も負けないようにやっていきたい。

 

 

・川野(総3=御殿場南)

能美大会もあったが今回しっかり優勝を狙っていくという位置付けで、先頭集団を捉えて勝負すると思ってスタートを切った。能美までの期間でスピード系ができたので、それに持久力をつけるトレーニングを積んできた。(レース展開は)最初飛び出した選手もいたが、50kmは長いので無理につかずに落ち着いて入って、ベテランの選手達に上手くレースを作ってもらった。鈴木選手が出た時はほかの選手は離れていったので正直悩んだ部分もあったが、チャンスは今しかないなと思ったので後先を考えずに突っ込んだ。かなりハイペースな展開でレースの中でも揺さぶられたような展開だったので、それに35km以降離されてしまったのはもう少しこれから取り組んいかなければならないところだと思う。(学生新記録の気持ちは)学生新記録はもちろん嬉しいが、学生のレベルにとどまらずに日本のトップレベルにもっとレベルを上げていけるように頑張っていきたい。今回の結果は非常に自信になった。全日本でこのメンバーの中での2位なので、これからも気持ちはいつも通りに取り組んでいきたい。次のレースは関東インカレなので、同学年の池田に勝てるようにするっていうのと、大きな目標として東京オリンピックの選考が今年から始まってくるので、選考に加わって東京オリンピックで勝ちにいけるようにしていきたい。


TEXT/PHOTO=長枝萌華