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第47回男鹿駅伝競走大会
7月4日(土)男鹿温泉郷〜入道崎 7区間 62.595km
大学の部
1位 東洋大 3:08'47
1区 山本修 28'14 (区間2位)※区間新
2区 山本采 32'18 (区間1位)
3区 寺内 38'49 (区間1位)
4区 小笹 28'22 (区間3位)
5区 高森 23'40 (区間2位)
6区 橋本 13'40 (区間1位)
7区 口町 23'44 (区間1位)
※速報掲示板の表記に誤りがありました。大変申し訳ございません。
先頭を奪った2区・山本采
唯一の4年生である3区・寺内は最上級生の強さを見せた
6区・橋本の走りが優勝を決定づけた
トップでゴールを駆け抜けるアンカーの口町
優勝で笑顔を見せた東洋大メンバー
なまはげで名高い秋田県男鹿市で第47回男鹿駅伝競走大会が行われた。昨年は日体大に敗れ12連覇を逃した東洋大だったが、今回は前半から他校を圧倒し4つの区間賞を獲得。2年ぶりの優勝を果たし再び王の座に返り咲いた。
1区にはルーキーの山本修(済1・遊学館)が起用された。前半は集団の中で落ち着いて走ると、後半は徐々に集団がしぼられていく展開に。それでも「絶対に前の方で渡す」という言葉通りトップと5秒差の2位でタスキを渡し、1区の役割を果たした。そして続く2区では山本采(済3・滋賀学園)が2㎞過ぎに早くも先頭に立ち、その後も自分のペースを貫き後続との差を広げていく。勢いそのままに次の寺内(ラ4・和歌山北)も自身の持つ区間記録更新を狙い前半から快調にペースを上げる。惜しくも向かい風の影響で区間新記録とはならなかったものの、山本采と連続区間賞で2位に2分以上の差をつけた。
優勝確実と思われたが、本調子ではなかった4区の小笹(済1・埼玉栄)は「こんな坂を上ったことはなかった」と4区の特徴である男鹿の激しいアップダウンに苦しめられる。さらに5区・高森(済2・佐久長聖)も前半を抑えて入ると後半も切り替えることができずに消極的な走りとなってしまう。徐々に差を詰められていたが、それでも次にタスキを受けた橋本(工3・館林)が区間賞の走りを見せた。最短区間ではあるものの、終始上り坂の厳しいコース。それでも上級生らしい走りで再び後ろとの差を突き放し、最終7区へタスキをリレーした。アンカーを任された口町(法3・市立川口)も守りに入らずスタートからスピードを加速させ攻めの走りを展開する。後半こそラップタイムを落としてしまったが区間賞を獲得し、2位日体大に3分の大差をつけ昨年のリベンジを果たした。
見事1位の座を取り返した東洋大。今回出場した者の多くが中間層を担う選手たちであり彼らが結果を残すことでチーム全体に刺激が入ることだろう。男鹿駅伝のコースは激しい上り坂や下り坂が繰り返されるのが特徴で箱根駅伝を想定したレースをすることができるが、ほとんどの選手がアップダウンの走りを課題にあげていた。また来週にはホクレンに出場する選手もおり前半の締めくくりとして一人でも多くの13分台ランナー誕生を狙う。来たる夏合宿では課題と自信の両方を手に臨みたいところだ。
■コメント
・佐藤コーチ
個人としては補欠も含めて、3大駅伝でこの選手たちが頑張ってくれればチームが勝利に近づけるのではと思う、 今年頑張ってもらいたい選手たちを集めた。天気と左右して記録は出なかったが、走り方は私たちが考えているものができていた。ただ、一人で走るのは大変だったのかなと思う。(1年生については)ちゃんと自分の役割を駅伝の中で果たしていた。特に小笹は体調がいまひとつの中でのレースだったが、我慢はできていたのかなと。力はついてるのでいい状態で走らしてあげたかった。若いチームだったがいい流れをつくれたと思う。(箱根への適正は)特に口町の下りは良かった。きつい中でもみんな上り下りの切り替えはできていた。ただ、まだ力がないところもあるのでグレードを上げていかないといけない。いい面も物足りない面も見えたので、強化の材料にしていきたい。
・谷川コーチ
区間オーダーは当初予想していたオーダーは組めなかったが、その中でも勝ちにいくオーダーを組んだ。(良かった区間は)今日は1区、2区、6区、7区。1年生に関しては、山本修はラスト競り負けたが区間記録を破るタイムなのでいい走りができたと思う。小笹は調子が上がってきていない中だったので、4区のコースを走らせたのは厳しかった。ただ彼らがこういう駅伝を走るだけでも秋以降の駅伝にいい影響を与えてくれると思うので、そういう面では走らせただけでも意味があるのかなと思う。また今日出た選手のほとんどは中間層なのでここの選手が頑張ることでチームの刺激になるので期待している。(優勝については)しっかり力を出し切れれば優勝はできると思っていた。後は個々の良い悪いというのがレースの中であったのでそこを反省点として次に生かしていきたい。
・寺内(ラ4・和歌山北)
自分が持っている区間記録を狙って走った。(自己評価は)言い訳になってしまうが向かい風が強かったのもあって、粘りが足りなかったと思う。その中でもしっかり走らなければならないし、結果としては悔しい。昨年日体大に負けてしまって、今年は優勝を狙っていた。勝ちにいく走りをするために臨んだ。(最上級生としての駅伝だったが)次の小笹が難しい区間だったし、1年生が楽に走れるように心がけていた。自分はこれでレースは終わりなので次は3大駅伝になると思う。1週間前に監督から檄をもらったばっかりで、自分は継続していくタイプなので今後はとにかく練習に励みたい。 服部兄弟に頼らず上村、高橋と一緒に4年生らしい走りをして引っ張っていきたい。
・口町(法3・市立川口)
(目標は)チームとしては、去年日本体育大学に負けて連覇が途切れてしまったので、優勝を奪回することだった。個人的には区間賞。アンカーなので優勝テープを切ることが目標だった。(レースプランは)先頭でも後ろの方で(前走者が)きたとしても、最初からがんがんいこうという風に決めていた。最初のアップダウンが下り基調で勝手に動いてしまうが、海岸沿いになる残り3kmくらいからが難しくそこまで下りで勢いがあったのがなくなるので、そこからの走り方がタイムにつながってくるのかなと思った。(手応えは)5km通過まではいいタイムだったと思うが、最後の1kmだけ大幅に20秒以上落としてしまったのでそこが課題。風とだらっとした上りがきつかった。(関カレ以降の調子は)関カレは結構いい状態にもっていけたが、その後疲労や集中の途切れなどで走れなかった。ただ今日の結果を見てちょっと戻ってこられたのかなという風には思う。(今後は)ホクレンの5000mに出るので、そこで13分台を出したい。
・橋本(工3・館林)
自分が思っていた以上に上りがきつかった。自分は暑い時期にあまり調子が良くないタイプので、その中では最低限の走りができたと思う。(上級生としては)一秒でも後ろとの差を離す、また前にいる場合は前との差を詰めようと意気込んでいた。最短距離をいかないで頭を使ったレースができなかったところは課題。一方で単独走などいい経験になったのは良かった。 (次レースは)ホクレンの5000mがあるので調子を合わせていきたい。チームとして13分台を出さなければならないので、その一人に入れるように、自分はまだまだ弱いので主力になれるように頑張りたい。
・山本采(済3・滋賀学園)
前回大会優勝できなかったので、優勝しようと思って走った。(個人としては)コース変更があったのでとりあえず区間賞をとろうというつもりだった。レースプランは特に考えていなかった。自分のペースでいこうと思っていた。(実際は)やっぱりきつかった。(タスキを受けたのは)2番。前との差は10秒なかったくらい。(先頭に立ったのは)2kmすぎくらいからで、自分のペースでいって後ろとの差がひらいたので良かった。(最近の調子は)特に悪くなかったので思い切ってやろうと思っていた。関カレ前より後の方が調子はいいので、調子は上がってきていると思う。
・高森(済2・佐久長聖)
今回はレギュラーではなく準レギュラーのような選手が参加し「しっかりアピールしてレギュラーに少しでも近づいてくれればいい」という風にコーチが言っていたので、それを目標に少しでも監督や周りの大学の人にアピールできればいいなと思って走った。男鹿駅伝は例年暑くなるので、前半は抑えて後半に上げていくイメージで臨んだ。走ってみると、最初にちょっとゆっくり入り過ぎて余裕があったがその分後半に上がったというわけでもなく、ただ消極的に入ってしまっただけであまりいいレースとは言えなかった。(アップダウンは)特に下りはピッチを、上りは腕をしっかり振って走ることを意識した。上り下りに関しては結構いい走りができたんじゃないかなと思っているが、下りきってからのラスト2kmくらいでペースをちょっと落としてしまったので、そこが反省点。(最近は)1年生のときに比べると練習を継続してできているので、このまま続けて夏合宿ではAチームでやっていきたいと思っている。
・小笹(済1・埼玉栄)
前半のペースが自分の思っていたより遅かった。そのまま上りでズルズルとペースが落ちていってしまい、後半の下りでも思うような走りができなかった。(大学初の駅伝だったが)緊張感はあったが平常心でいることができたので影響はなかった。(今後に向けて)今回はアップダウンのコースがきつくて、こんな坂を上ったことはなかった。ただこれでいい課題が見つかったので、合宿でその課題を克服していきたいと思う。
・山本修(済1・遊学館)
1年生のうちから1区を走らせていただくのはとてもありがたいことなのでプレッシャーはあったが楽しく走ることができた。絶対に前の方で渡そうと思った。(レース展開は)初めは一般の人が飛び出して、その後ろに大学生の集団が付いていくという流れ。残り3kmからは少しずつ集団の人数が減り始めてラスト1kmで集団が大学生だけになって、最後はスパート合戦だった。(今後は)これから夏合宿に入るので、そこでしっかり足づくりをし、3大駅伝でメンバーの座を勝ち取れるように頑張りたい。
TEXT=伊藤空夢 PHOTO=石田佳菜子、野原成華、伊藤空夢