記事
ホクレン・ディスタンスチャレンジ2015 第4戦・網走大会
7月16日(木)網走市営陸上競技場
男子5000mA
10着 服部弾 13'44"22
23着 堀 13'54"39
男子1万mA
7着 服部勇 28'09"02
17着 上村 28'35"96
男子1万mB
24着 高橋 29'06"60
納得のレース展開で服部勇は28分一桁を叩き出した
服部弾は持ち味のラストスパートで目標タイムへ追い上げた
北見大会の5000mに続き、1万mでもベストを更新した上村
出場選手5名全員が自己ベストを更新。 北海道網走市で行われたホクレン・ディスタンスは、気温が低く万全なコンディションの中でのレースとなった。4日前の北見大会から距離を伸ばし、服部勇(済4・仙台育英)、上村(済4・美馬商)、高橋(工4・黒沢尻北)は1万m、服部弾(済3・豊川)、堀(済2・大牟田)は5000mと、連戦にも果敢に記録へ挑んでいく。主力の走りが、トラックシーズンをいい形で締めくくった。
一流選手の証である28分一桁台のタイムを狙った服部勇。「いい位置取りでスタートが切れた 」と振り返るように、ペースメーカーの後ろに付くと順調にレース進めた。8000m過ぎに集団から離れてしまったものの、粘りの走りでペースは落とさない。従来の自己記録をマークした今大会で、見事2年ぶりにベストを更新した。
また今季1500mでスピードを磨いてきた服部弾も、得意の展開で好タイムを叩き出した。序盤から積極的に前方でレースを進めると課題に挙げた中盤も耐え抜き、最後は持ち前の驚異的なスパートで目標の13分40秒台を達成。「ラストスパートもきつい中で追い込める体になった」と、今季の成長を感じさせた。服部兄弟は共に大学記録を更新した北見大会に続き、狙った試合で確実に結果を出す強さが光った。
高橋、上村、堀もしっかりとベストを更新。しかし酒井監督は「ベストを出すのは当然」と評価した。彼らはレース前に掲げた目標タイムには一歩及んでおらず、 それぞれ反省点を挙げている。「集団が離れていくときに前の集団に付いていけなかった」、「 勝ちにこだわれていないところがある」という課題は駅伝の走りにもつながってくるだろう。
また今大会では実業団選手が多く出場する中で大学生の組トップが目立ったように、大学生のレベルは着々と上がっている。強い選手層を構築するためには、5000m13分台や1万m28分台などより高いレベルが必須となり、今後も地道な記録更新が求められる。
ホクレン・ディスタンスでは東洋大が出場した2大会で多くの自己記録が生まれた。服部勇も「ここにきて東洋の存在感が出てきた」と充実ぶりを語る。 今後は夏合宿に入るが、故障者を出すことなく走り込みを重ね、手応えを十分に駅伝シーズンへ臨みたいところだ。
■コメント
・酒井監督
気候条件は最高だったので、ベストを出すのは当然。全員自己ベストだったが、高橋は28分台を出したかったし、必ずしも満足のいく結果ではなく、通過点としてとらえたい。勇馬は学生トップではなかったので、本人も満足というよりは悔しい気持ちがあると思うので、そういう気持ちを持って夏合宿に臨めると思う。(ホクレンの2戦を通して)今季に入っていくつか改善してきた点がやっと身になってきたのかなと感じた。チームのトラックのタイムも昨年よりは上がってきているし、主力もこうして走れているので、これを個人から団体へ、チームの駅伝につなげていきたいと思う。(夏合宿に向けて)学生でも27分台や28分一桁は当たり前になってきている中で、主力の選手の意識レベルは箱根だけではなく世界で戦う準備をするくらいの気持ちをもって、臨んでいきたいと思う。チームワークも良くなってきていて昨年よりは一歩進んでいると感じる。もう一度足並みそろえて駅伝シーズンに入りたい。
・上村(済4・美馬商)
28分23秒の日本選手権の標準を切ることが一番の目標で、最低でも28分半を狙っていた。(レースプランは)一番速い組で、先頭は28分くらいのペースでいくと思っていた。自分にはそれだけの力がまだないので、中盤粘っていこうと考えていた。中ほどより後ろでレースを進めてしまったのが一番の反省点。集団が離れていくときに前の集団に付いていけなかったのが自分の弱いところかなと。(得たものは)強い選手の中で挑戦する気持ちを持っていたが、まだまだトップレベルの選手と自分の差は大きいなと 一緒のレースを走って肌で感じた。(ホクレンでの2戦を振り返って)5000mと1万mの両方でベストが出たのは夏合宿に向けていい形で前半期を終えられたと思う。夏合宿は駅伝に向けての一番の練習なので、これまでは故障が多かったが合宿をこなすだけでなくもっと上を目指して質の高く、量は多い練習を積めるような体をつくっていきたい。
・高橋(工4・黒沢尻北)
北見を走ってからジョグでつないでコンディションを調整して、いい感じでこれていたと思う。北見の5000mでは最初から力んでしまいラスト1000mを3分近くかけてしまって情けないレースだった。(今レースでは)28分台を目標にしていた。気持ちも切り替えて状態も悪くなかったし、レース内容としても想定していたレース展開だったが、最後粘れなかったのはただ力不足なのかなと。(改善点は)5000mまでは14分20秒といい流れで通過していたが、後半粘れず第二集団に最後まで付いていければ目標タイムが出たかなと思う。そこで離れてしまったのが課題。悔しさも残るので夏合宿では走り込みもだが、4年生として引っ張っていけるように頑張っていきたい。
・服部勇(済4・仙台育英)
28分一桁から10秒台を目標にしていた。コンディションもすごく良かったのでタイムを狙えていたが、他の選手も好記録を出せていたのでもう少し出せたら良かったのかなと感じている。(序盤の位置取りは)タイムを出したかったのと、前の方でレースを進めようと思っていたから。いい位置取りでスタートが切れたと思う。3000mから徐々にきつくなり、ペースメーカーが離れてペースが安定してないところで集団から離れてしまったのは大事なところで粘れなかったなと。逆に離れてから一人になっても粘れたところは良かった。(トラックシーズンの手応えは)他大学も記録を出しているがここにきて東洋の存在感が出てきた。スタート時はそこまで警戒されてなかったと思うが、13分台や28分台など周りが意識してくるようなタイムが出たことはいいことだと思う。ただ、タイムでみんなが満足してはいけないと思うのでこれからもう一度引き締めてやっていきたい。
・服部弾(済3・豊川)
13分40秒切りが目標で、北見の1500mからいい流れで臨めた。3000mまではレースに乗っていけたが、3000mからはタイムも落ちてしまったのでこれからの課題なのかなと。(1500mを取り組んで生きたことは)動きが崩れなくなったなと感じるし、ラストスパートもきつい中で追い込める体になったなと思う。スタミナがまだ足りないし、内臓疲労に気をつけてやっていかなければこれから記録は伸びないと思う。今季のトラックシーズンは1500mでは日本人学生トップの記録を出せたり、5000mでも1年ぶりにベストを更新できたので悪くはなかった。点数をつけるなら70点くらいかなと。これから夏合宿に入るが、例年と違う流れで合宿を行うので、その中でもしっかり距離を踏めるようにしたい。
・堀(済2・大牟田)
北見では1500mで大幅に自己ベストを更新して自信になっていたし、調子も今までで一番良いくらいだったので、最低でも13分40秒台を狙っていこうと思っていた。それができなかったのが残念。(レースを振り返って)先頭に付いていこうと思っていたが、3000m過ぎくらいから思うように付いていけなかったので、そこが課題かなと思う。(ホクレン通しての自己評価は)1500mで結果を出せた一方で、5000mは13分台を出せたものの目標を達成できなかった。勝ちにこだわれていないというところがまだあると思うし、スタミナがまだ足りず後半の走りが良くなかったので、夏合宿でしっかり走り込みたい。(今後に向けて)昨年は夏合宿が全然できなかったので、今年はしっかりAチームでこなして、3大駅伝全部に出て区間賞を取るつもりでやっていきたい。
TEXT=石田佳菜子 PHOTO=青野佳奈、石田佳菜子