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第84回日本学生陸上競技対校選手権大会
9月11日(金)ヤンマースタジアム長居
▼1日目
男子100m 予選
1組
9着 大野 12"25
4組
1着 桐生 10"40※準決勝進出
男子100m 準決勝
3組
1着 桐生 10"30※決勝進出
男子400m 予選
2組
5着 辰野 47"40
4組
2着 ウォルシュ 46"81
男子1500m 予選
3組
3着 生井 3'51"83※決勝進出
男子1500m 決勝
12位 生井 4'04"22
男子4×100mリレー 予選
6組
1着 東洋大(小笹ー桐生ー北村ー与那原) 39"78※決勝進出
男子三段跳 決勝
1位 戸塚 15m80
女子100m 予選
7組
8着 白寄 12"99
女子1500m 予選
1組
12着 山田 4'45"47
2組
DNS 室伏
女子1万m競歩 決勝
5位 川瀬 48'09"56
堂々と表彰台の真ん中に上がる戸塚
最後までペースを緩めることなく歩いた川瀬
明日の桐生の走りには日本中からの注目が集まる
今日から3日間、第84回日本学生陸上競技対校選手権大会、通称・全日本インカレが行われ、1日目の今日は8種目にエントリーされた。中でも、三段跳びの戸塚(法4・深谷商)が4年目にして見事、初優勝に輝き有終の美を飾るなど大きな結果も生まれ、初日からチームは大盛り上がりを見せた。
「予選から出し切る」。予選の3本目で15m80の自己ベストを記録した戸塚には、ファイナルに残ってから跳ぶ力は残っていなかった。最終6本目の跳躍で2位が15m77まで迫る接戦となったが戸塚の記録を超える選手は現れず、3本目の跳躍で優勝を決定付けた。優勝に関して「全く実感がない」と語るが、確かに大会前の記録を見れば、ほぼ無名の選手であった。しかし、「家に帰ってからもひたすら補強トレーニングをやった」と言うように全体練習が終わってからも一人で体幹を徹底的に強化。これにより助走時のスプリント能力をパワーアップさせた。そして今日、4年間の惜しみない努力が花開き、大学日本一の称号を勝ち取ったのだ。16mを狙っており記録には満足していないものの「自分一人じゃ絶対跳べなかった」と話す戸塚。仲間のサポートに加え、初めて応援に駆け付けてくれた両親にも「感謝したい」と語り、表彰台で金メダルを噛みしめるその顔には終始笑顔が輝いていた。
他の種目では女子1万m競歩で、川瀬(生4・白鵬女子)が序盤から積極的に前を歩き、中盤以降は単独になるも最後まで自分のペースをキープ。リズム良く歩き切り5位入賞を果たした。男女の1500mは、女子は山田日(食1・豊川)が予選落ちとなったが、男子の生井(ラ2・会津)が決勝へ進出。決勝こそ後半で敗れたが今後への反省点は多く見つかったはずだ。
短距離部門では、日本のエース桐生(法2・洛南)が久しぶりの出場。「楽しめた」と準決勝でもラストを流す余裕を見せ、調子の良さをうかがわせた。4×100mリレーも難なく決勝へ駒を進め、明日は100mの決勝と共に「優勝を狙う」と自信を見せた。
初日から優勝者が出るなど大活躍の東洋大陸上競技部。明日はいよいよ100m決勝が行われる。春は思うように走れなかった桐生だが、ここで復調の足掛かりを築きたいところだ。また男子5000mにも今季絶好調の服部弾(済3・豊川)がエントリー。残り2日間、どんなドラマが生まれるのか。まだまだ目は離せない。
■コメント
・梶原監督
今日の結果は本当に良かった。戸塚は4年間練習を丁寧にこつこつやっていた。高校時代はインターハイで予選落ちし、決勝に進めなかった。そんな選手だったが一生懸命やって、スピードも付いてきて、跳躍のバランスも良くなった。どうしても全日本インカレに出たいということで、エントリー間近の最後の順天堂の試合で標準記録を突破して、やっとここに来れた。その時も大幅に自己ベストを更新し、今回もさらにベストを更新した。向かい風であったり、難しいコンディションの中で、しっかり落ち着いて自己ベストを出したということは、充分優勝に値する頑張りだった。本当によくやった。一生懸命やれることをやって、結果を残した戸塚の姿は周りの選手にもいい刺激になった。100mでは大野が足を痛めていて、それが出てしまった。桐生に関しては少し不安もある中で一本一本様子を見ながらやっていくという状態なので、今回は順調に「やっぱり桐生だな」というところを見せながら、やってこれたので安心した。400mでは辰野がわずかだが、一応自己ベスト。最後もう少しいけたと思うが、そこで競って力んでしまったのが残念だった。それでも、最後に全日本インカレでベストを出したんだからよく頑張った。ウォルシュは最近ベストを出して、調子も良かったし、自分でも強くなった気持ちはあったと思う。しかし、同じ組の早大の木村はウォルシュが同じ組にいるということで必死に前半から飛ばしていった。そういう選手の気迫に負けた。予選は通過できるだろうという安易な気持ちがあった。どれだけ自分が強くなっても、「出すところでしっかり記録を出さなければならない」という気持ちでやっていかないと今回のような結果になってしまう。そういった点では勉強になった。
・川瀬(生4・白鵬女子)
競歩のレースは大学に入ってから6回目ですが、2年生の日本選手権終わってからは棄権など結果が奮わないときが続いた。今回は少し形にできて、周りの人に感謝している。支えてもらっていて、やっと結び付いて良かった。(レースを振り返って)もう少し早く走りたかった。積極的にいこうと思っていたし、そんなにペースも速くなかったので付いていけた。3位までに入りたいと考えていたが、結果はしっかりと受け止めて次につなげていきたい。(今後に向けて)4学年そろって初めての駅伝なので、東洋の力を存分に発揮したい。みんなで力を合わせて頑張る。
・戸塚(法4・深谷商)
全く実感がない。こういう主要大会で勝負できたことがなかったので、まず勝負しようということで挑んだ。結果は優勝だが、16mを跳びたかったので満足し切れてはいない。(優勝した要因は)ひたすらスプリントを上げたこと。筋力トレーニングや体幹を家に帰ってからもひたすらやった。走りよりも補強に費やした時間の方が多かった。(2位が15m77まで詰めてきたときの気持ちは)予選で出し切ると監督と話してて、そのまんまだったのでもう跳ぶ力はなかった。だから、相手の選手には跳ぶな跳ぶなと思っていたのが正直な気持ち。(感謝を伝えたい人は)本当に仲間やサポートしてくれる方々だったり、両親も初めて来てくれたのでそういう人たちに感謝したい。周りの方々がいてこういう結果を出せたので、自分一人じゃ絶対跳べなかった。みんなには本当に感謝したい。(今後は)就活が終わってないので、競技も続けたいがまずはそっちを頑張りたい。
・桐生(法2・洛南)
久々のレースだったので楽しく走れたと思う。今回はまだトップスピード上げる前に落としたので、明日そこがうまく出せればいいと思う。(関カレ後からの練習の具合は)量は積めたと思う。リレーはあんまり走ったことはなかったが1位通過できたので良かった。明日はどっちも優勝を狙っていきたい。
・生井(ラ2・会津)
決勝では入賞を目標として走ったが、自分の気持ちに走りが付いてこなかった。800m手前、城西大の山本さんがペースを上げたところで付いていこうと思ったが、上武大の井上などの勢いを見ていったん引いて溜めることにした。後ろから抜いていこうと思ったがきつかった。離されてしまい、ラストも追い込めずに終わった。(予選の走りと比べてみて)予選はハイペースで刻んでいくもので、得意なレース展開だったし、ラストも切り替えられた。決勝はスローで始まる展開で切り替えられずにスピードに乗れなかった。スタート前に体が動かないと感じた。(今後は)今シーズン、1500mを走るのはこれで最後だった。次は今日の反省点を生かしていきたい。
TEXT=伊藤空夢 PHOTO=青野佳奈、畑中祥江、福山知晃