記事
第84回日本学生陸上競技対校選手権大会
9月12日(土)ヤンマースタジアム長居
▼2日目
男子100m 決勝
1位 桐生 10"19
男子200m 予選
5組
6着 小笹 21"63
6組
DNS 小林
男子800m 予選
1組
3着 尾上 1'54"72 ※準決勝進出
2組
4着 眞柄 1'52"13 ※準決勝進出
4組
6着 海谷 1'57"68
男子800m 準決勝
1組
6着 眞柄 1'52"65
2組
5着 尾上 1'56"26
男子5000m 決勝
1位 服部弾 13'38"45
男子4×100mリレー 決勝
6位 東洋大 (小笹ー桐生ー北村ー与那原 ) 39"68
男子4×400mリレー 予選
2組
1着 東洋大 (辰野ー櫻井ー池田ーウォルシュ ) 3'07"99 ※決勝進出
女子5000m 決勝
14位 佐藤早 16'27"67
22位 内田 17'18"54
笑顔で表彰台に立つ桐生(中央)
服部弾は切れ味鋭いスパートが光った
大会2日目は男子100mで桐生(法2・洛南)が、男子5000mで服部弾(済3・豊川)がそれぞれ優勝し、全日本インカレのタイトルを手にした。
会場が歓声に沸いた瞬間だった。故障明けの桐生が100mで優勝。日本のエースが帰ってきた。「けがなく終えられて良かった」。今大会が久々の試合ということで感覚を思い出しながら決勝まで進んできた。順調にスタートを切ると徐々に加速し、後半からは独走状態に。ぶっちぎりの1位で走り抜けた。それでも「最低目標が優勝だった。タイムはまだまだいける」と満足することはない。
一方その桐生を擁しながら4×100mリレー決勝は6位に沈んだ。アンカーの与那原(法2・那覇西)は「バトンパスにも目立つミスは無いので、ただただ力不足。この結果は桐生だけの力しか無かった」と悔しさをのぞかせた。しかし4人中3人が2年生というまだ若いオーダー。「ここまでやれたのは来年への収穫かな」と梶原監督は話した。
長距離ブロックから唯一の出場となった服部弾。今回に合わせて練習を積んできた。最初の1周は積極的に先頭から入り、その後は日大の留学生二人にぴたりと付け機会をうかがう。レース後半になると先頭集団は5人にしぼられるが、残り1周の鐘が鳴っても集団は崩れない。ラスト200m、ここで服部弾が動く。得意のラストスパートで他の選手を一気に引き離し、圧巻の走りでゴール。終始余裕を持った表情で「自分の思っていた通りのレースができた」と振り返った。しかしこの優勝は、あくまでも目指している五輪予選への過程の一つだ。酒井監督も「練習通りの成果が出た」と評価した。
ここまで優勝者が3名と各種目で活躍が目立つ。最終日も男子1万m競歩、男子4×400mリレー、男子走高跳と、優勝や上位が狙える種目が目白押しだ。今日の好結果を明日につなげていきたいところだ。
■コメント
・梶原監督
桐生は可能であれば、10秒16の来年のリオ五輪の標準が切れればいいという気持ちがあったが、とにかく100m3本4継2本をしっかり走るということだった。やっと桐生が復活したと、ほっと胸をなでおろすという感じ。残りのシーズンで標準を切れるなと。マイルは、大外で1走のペース配分も難しいところを、辰野が冷静に自己ベストを上回るラップで走って流れをつくってくれた。特に3走の池田も城西の堀井にしっかりくっついていって、ウォルシュにつなげたのでリードしたなと。他の大学が予選から想定より速くないので、オーダーを変えてきたりすると思うが、こちらもいろいろいじりながら明日はやっていきたい。4継は、小林がいない中なので3位以内を狙っていこうというところだった。最後は1m半くらいの差になって、もう少し走れても良かったかなというところはあるが、バトンの声が聞こえないなどのミスもあった。4年と2年生3人というオーダーでここまでやれたのは来年への収穫かなと。(小林の出場について)来年の五輪を狙いたいので、本人に全カレを走りたい気持ちはあるが、ここで無理をさせるのも良くないということをアップを見て判断した。(明日に向けて)山下が自己ベストを越えての入賞、そしてマイルも優勝を狙っていきたい。
・酒井監督
(服部弾は)ずっとここで勝負するということを想定して練習してきているので、今日は練習通りの成果が出たと思っている。シーズン当初から今年はスピードとスタミナの追及をしていこうということで、服部弾馬に関しては1500mでインカレに出したしホクレンでも日本人トップの3分42秒で走っている。その延長線上の5000mで勝負をしようと。あとは駅伝ももちろん経由して、来年はトラックの五輪予選もあるのでそこを目指していく過程の中の一つのレースという位置付けだった。
・永井監督
川瀬は、最後の全カレは競歩で出るということを早い内から決めていて、ここを目指して合宿をやっていたので、こういう結果で終えられて良かったのではないかと思う。1500mの1年生は、合宿の疲れがあって調子が上がったレースは難しいかなというところがあったが、今の現状を確認するために出した。この結果にくよくよするのではなく前向きに備えてほしい。5000mは、記録会と違い勝負を意識したレースの中で走ることが目的で、タイムは特に望んだレースではなかった。これから駅伝シーズンに向けていくための大会として、結果どうこうではなく切り替えになったらと。(関東予選に向けて)残っている選手も、順調に合宿を消化してきている。全カレを走った選手もうまく合流して、予選に向けていきたい。
・塩田部長
残念だったというよりも力が足りなかった、仕方がないというのが率直な気持ち。眞柄は調子が良ければ決勝にいけるかなと思っていたが、少し気弱な部分が出てしまった。それだと決勝には届かない。尾上はそれほど状態が良くない中痛み止めを飲んで出たので、彼にとってベストなレース展開でいければと思っていたがそうならず、しょうがないが残念だった。
・小笹(法4・西京)
ラストランだったので欲を言えばメダルが欲しかった。(レースを振り返って)バトンパスはうまくいった。自分の走りが予選よりも0.1秒遅かったので修正できたら良かった。桐生は100mが終わった後なのによく走ってくれた。3、4走もまだ2年生なので来年以降も頼もしい走りをしてくれると思うし、今回のリレーは収穫があった。(短距離部門の選手の活躍は)努力が実ったと思う。特に4年生。桐生もけが明けでよく優勝してくれた。マイルも辰野がラップベストで回ってくれた。4年生が結構活躍しているので本当にいい流れで来ていると思う。(明日、競技が残っている選手に一言)気を抜かず、最後までしっかり出し切ってほしい。
・佐藤早(食3・常盤木学園)
今日はベストを出したいなと思っていた。(レースプランは)できるだけ集団の前でレースを進めていきたいなと。前半付いていくのに精いっぱいになってしまい後半が疲れて動かなくなって、あまりいいレースではなかった。まだ練習不足だった。(今後は)今月末には関東女子駅伝があるので、そこに向けて修正していきたい。
・服部弾(済3・豊川)
夏合宿で御嶽に行っていて、それから少し調整をして今大会に臨んだ。66秒、2分45のペースでずっといけて、ラスト200mで切り替えるというレース展開でいきたいと考えていて、その通りのレース展開でいけた。自分の思っていた通りのレースができた。(これからの駅伝シーズンでは)今回トップを取れたので、この勢いを使ってみんなでしっかりやっていきたい。
・北村(法2・九州学院)
東洋記録を更新して、やっぱり表彰台に立つということ、そして優勝することをみんなで話していて、それを目標にして走っていた。(今日の走りを振り返って)完璧に力不足っていうのを走っているときに感じた。(バトンをもらったときは)桐生だけじゃなくて、前の小笹さんからバトンをしっかりつないできたので、それのいい流れをもらって、それを与那原に最後託すという気持ちで走った。(6位という結果には)満足はしていない。やっぱり優勝を狙っていたので結果は本当に悔しい。(全カレという舞台で走ってみて)レベルが高いということも感じたし、今の自分が全国レベルで考えたときにどの位置にいるのかが分かったので、悔しかったがしっかりいい勉強になった。(今後は)今回悔しい思いをしたので、来年は関東インカレはもちろん、全日本インカレで日本一をとれるようにやっていきたい。
・桐生(法2・洛南)
けがなく終えられて良かった。足に違和感などもなく気持ち良く走れた。100mは最低目標が優勝だったので達成できて良かったが、タイムはまだまだいけるなと。(満足度は)50~60%。とにかく試合の感覚を思い出すことができて良かった。これで試合の感覚はわかったので、今後はレースに向けた調整などが課題になる。4継はメダルを狙っていたがまだまだ力が及ばなかった。個の力が全然足りなかったなと。今東洋大にできるベストメンバーでいったので誰かがけがしていても、それを追うのではなくできるメンバーで最高のパフォーマンスをすることが目標だった。なので、今できるメンバーでの力が6位ということ。バトンをどれだけ磨いても個の力が足りないし、一人一人が強くないと勝てないと思うので上げていくしかない。自分はまた2走か4走になると思うので、バトンをもらったら全員ぶち抜いていきたい。(今後に向けて)予定は監督、コーチと話して計画を立てていくつもりで、100mではもっともっとベストが出るように頑張りたい。
・与那原(法2・那覇西)
自分のできる走りはしたつもりだが、最後の直線で抜けなかったのはまだまだ力不足だと思った。バトンパスにも目立つミスは無いので、ただただ力不足。(順位に関しては)最低表彰台を狙っていたので、この結果は桐生だけの力しか無かったのだと思う。1走のキャプテンが最後のレースだったので表彰台に乗せてあげたかった。(今後は)リレーだけでなく、個人でも全国レベルの大会で入賞できるように冬の練習に取り組んでいきたい。
TEXT=野原成華 PHOTO=石田佳菜子、野原成華