Article

記事


2015.09.29
硬式野球

[硬式野球]茶谷、衝撃の決勝弾 骨折乗り越え放った一発

平成27年度東都大学野球秋季2部リーグ戦・青学大3回戦

9月28日(月)東洋大グラウンド

東洋大2-0青学大

(イニングスコア)

3回戦

東洋大

青学大


     

(東洋大)

○原(5勝1敗)―後藤田

本塁打:茶谷(1号、六回ソロ)

二塁打:安西

(遊)

阿部健(営3=帝京)

(右)

大川(営4=PL学園)


打右

安西(営3=聖光学院)

(二)

林(営4=桐生一)

(指)

中川(法1=PL学園)

(中)

笹川(営3=浦和学院)

(三)

田中将(営2=帝京)

(一)

久保(営3=桐蔭学園)



打一原澤(営2=前橋工)

(左)

茶谷(営3=東北)

(捕)

後藤田(営4=東洋大姫路)




31

             名前  

○原(営4=東洋大姫路)

31



Image title

本塁打を放ちベースを回る茶谷。背番号28が躍動した

Image title

4打数3安打と打ちまくり、故障明けとは感じさせない活躍だった


 まさにチームを救う一打となった。六回、今季初スタメンの茶谷(営3=東北)が決勝点となるソロ本塁打を放つ。投げては3連投となった先発・原(営4=東洋大姫路)が3安打完封とこの日も完璧な投球を見せ、勝ち点3をもぎ取った。一部復帰をかけた苦しい戦いはいよいよ佳境に入る。


 痛みなんて関係なかった。故障から復帰して出場は2試合目。茶谷は夢中で打席に入っていた。「ツーアウトでランナーがいなかったので思いっきり振った」。快音を残し、打球は左翼フェンスの向こう側へと消えていく。本人が「打てるとは思わなかった」という衝撃の当たりは値千金の決勝本塁打となった。

 リーグ戦開幕前のオープン戦。打撃好調だった茶谷をアクシデントが襲う。ダイビングキャッチを試みて右手を地面に強打し、人差し指を骨折した。春季リーグ戦で出場機会を増やし、得意のバッティングでアピールを続けていた矢先だった。「もっと野球がしたかったのにけがをして、チームに申し訳ないという気持ちと自分でももっとやれたという思いで、苦しかった」。それでも前を向く。骨折した指を使わない練習を考え、できることから着実にこなした。「復帰してからも本当に試合に出られるのか」と悩みもしたが、手を止めることはなかった。その間に入ってきた情報は、春と変わらず苦しむ打線と原の孤軍奮闘ぶり。もどかしい気持ちもあったがけがを治すことに全力を注いだ。

 故障が癒えたのは国士大3回戦の直前。すぐに高橋監督のもとへ向かった。それから1週間、チャンスはすぐに訪れた。今カード2回戦からベンチ入りを果たすと、この日は初スタメン。そこで出した結果は4打数3安打1打点と十分すぎるもの。患部の腫れはまだ引かない中残した最高の結果に「けがをしたのにもかかわらず試合に出させてもらった。結果が出て、ほっとしている」と喜びをかみしめた。

 現在の背番号は「28」。代々、投手が着けることが多かったこの番号。原も1年次には背負っていた、未来のエースに託されるべき数字だ。「投手の番号だとは聞きました。ピッチャーとして見られているのか。よく分かりません」と茶谷は頭をかく。だが、与えられる番号は気にしていないという。「何とかリーグ戦に間に合って、こういう風に出られるのはありがたい」。とにかく試合に出られるだけでうれしかった。

 好機にあと一本が出ない打線の救世主となれるか。遅れてきたヒーローは決意を述べた。「せっかく使ってもらえるんだったら本当に自分が一生懸命やらなきゃいけない。指一本痛いとか言っていられる状況ではないのでしっかり頑張りたい」。勝利のために、なりふり構っていられない。その答えは手負いのバットマンが姿で見せてくれた。


■コメント

・茶谷(営3=東北)

実戦とかは全然やらずぶっつけ本番で出たが、気持ちを一打席一打席入れて、それがうまく結果に出てくれた。先週の国士大戦を前に監督さんに「復帰させてください」と話をした。腫れとかは多少ある。でも全然いける範囲。実際送球にまだブレはある。けがした時も指使えなくてもやることはやってきたので。何とか頑張ってます。春はメンバーにいてリーグ戦に出ていたし、秋も出られるじゃないかというところでけがをした。正直なところもっと野球がしたかったのにけがをしてチームに申し訳ないという気持ちと自分でももっとやれたという思いで、苦しかった。昨日の最後、代打に出させてもらって、ヒットが出ていたのでその感じでいけた。そのピッチャーに合ってたというのもあったし、いい状況で入れた。一打席一打席夢中でやっていて、結果よりはどうやったら打線がつながるか、早い回でピッチャーを援護しなくてはならないとか考えていた。自分がメンバー外にいても(原)樹理さんが頑張っていたのは伝わっていたので、早い回で援護したいなと思いながらやっていた。復帰して1週間という短い期間で呼んでくれたので監督さんにもスタッフの方々にも感謝しながら、せっかく使ってもらえるんだったら本当に自分が一生懸命やらなきゃいけない。試合に出てない人にも申し訳ないですし、応援してくれる人もいるのでその期待に応えられるように。指一本痛いとか言っていられる状況ではないのでしっかり頑張りたい。樹理さんとかに頼らずにバッターが頑張って援護できるような試合をたくさん作っていかなきゃならない。


TEXT=伊藤拓巳 PHOTO=浜浦日向、千野翔汰郎