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2015.10.15
コラム

第483回 世界最速の競技 執筆者・青池藤吾

今回から、自分からスタートして1年生のコラムがスタートします。

先輩たちのようにいい話とか語れるエピソードなんてものはないので好きなことを書こうと思います。

世界で一番速い競技といったら、なんでしょうか。陸上を走るのに限れば「人が走る」競技としては短距離走が一番だと思いますが、自らの意識で速く走るという括りならば速いモノの例えとしてよく使われるのはF1ではないでしょうか。一応、F1など自動車やバイクを使った競技はモータースポーツという歴としたスポーツなのです。F1など四輪自動車の競技やそれこそ国際自動車免許を管轄するFIAはオリンピックの主催団体であるIOCに加盟しています。

そもそもF1とはどういう競技なのかと言うと、フォーミュラカーと呼ばれる人が乗る自動車で最も空気的な効率がいいマシンの最高峰レースと言えば聞こえはいいですが、F1に関してはルールに基づいて開発したマシンで速さを競うだけではないのです。

スポーツマンシップという言葉がありますが、そんなモノは頭の片隅にあるぐらいで基本的にチームやドライバーの互いのライバル意識や契約でドロドロした競技ではあります。

最近、エンジンのルールが改正されたました。かのエナジードリンクで有名なレッドブルはF1チームを持っているのですが、フランスのルノーからエンジンを供給してもらっています。ルールが変わる前は当時史上最年少優勝の記録を保持していたセバスチャン・ベッテル(現フェラーリ所属)と共にチームとして、またドライバーとして世界一を楽々射止めていました。

ところが、2014年にルールが全面的に改正され、それまでルノーは最速エンジンの名を欲しいままにしてきましたが、今までのノウハウが使えないため開発に苦戦。

最初のテストでメルセデスに圧倒され「高いだけのエンジン」と評されました。そのシーズンは奇跡的に3勝を挙げましたが信頼性が乏しく、シーズン中からチームとルノーが互いに罵り合いを始めていました。今シーズンもレッドブルは常にルノーを蔑み続けてきましたが、ルノーは契約がある以上供給せざるを得ませんでした。ついにレッドブルは他社と交渉し始めたのですが、元々のマシンの強さがある所にワークス(エンジンメーカーが直接チームを持つこと)を率いてるメルセデスとフェラーリに供給する旨味は一切ないため、交渉は難航。さらに、ルノーも来年からワークス復帰を発表し、執筆時点ではルノーに謝罪して契約通りに供給してもらうか、撤退かのどちらかに迫られていると言っていい状況です。

このように「メンドクサイ」事象が度々起こるF1なのですが、これをまとめる人がいなければ確実に壊滅しています。F1はよく村に例えらえるぐらいコミュニティが狭いのです。それを纏めるのは「小さな巨人」バーニー・エクレストン。彼はF1の商業的部分を担うFOMという法人のオーナーを務めており、開催費用や放映権などF1という興行をするためのカネをすべて仕切っています。独裁者で血も涙もないように聞こえますが、F1そのものを続けるのには金をいとわず使う男であり、ロータスというチームがサーキット内のチームごとの事務所的なところの賃貸料を資金難でオーナーは日本GP以降払ってないようなのですが、チームのクルーの分の料理代などポンと払ったりしたり出来るのです。

さて、こんなにドロドロしてて金にまみれた競技の何が面白いのかという話なんですが、実際どこが面白いかということは言えません。人によっては先述のドロドロしてるところが面白いという人もいますし、本当に人それぞれなのです。自分は現状の形成上、メルセデスが1-2ゴールするのが当たり前なので3位争いだったり、レース自体が荒れる所に面白さを見出していますが。

現在は日本人ドライバーは参戦しておらず、ゆかりがあるので有名なのはモデルの道端ジェシカの夫であり、2009年のワールドチャンピオンでもあるジェンソン・バトンです。

そのバトンが参戦しているチームであるマクラーレンは、今年から復帰したホンダのエンジンを使っています。1年参戦が遅かった分、明らかに開発不足ですが着々と信頼度を上げてきています。このほか、スポンサードやマシンに使う工業機械やパーツは意外と日本企業の名前が挙がってきます。先ほどのマクラーレンもホイールや無線機器などはすべて日本製です。バブルの時は成金がチーム持ったりと色々F1に大規模に関与してた時期もありましたが。

もう日本GPは今シーズン終わってしまいましたが、シーズンは佳境を迎えています。基本的にBSだと予選と決勝(各土曜・日曜開催)を録画で中継しているのでよければ見てください。サーキット的にオススメなのは第18戦のブラジルGPでしょうか。

自分としては、バブルの頃とまではいかないが、人気が復活していくことを期待しています。そのためには、日本人ドライバーは当たり前ですが必要ですし、ホンダも優勝できないと駄目です。モータースポーツ自体が昔から理解が及んでいませんでした。しかし、ここでは書ききれませんでしたが、度重なる横Gに耐え、速く走るために彼らは命と肉体を削っているのです。そういう意味で世界最高峰のモータースポーツとされています。

最後になりましたが、F1でなくてもいいのでぜひサーキットに足を運んでみてはいかがでしょうか。エンジンを含めた音、排ガスやタイヤの焼ける匂いなど初めてだとキツイものもまたこの競技の魅力なのです。

普段の記事よりも長文だと思いますが、読んでいただきありがとうございました。