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2015.10.27
陸上競技

[陸上競技]管野、50㎞競歩で東洋大新記録樹立!

第54回全日本50㎞競歩高畠大会

兼 第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)男子50㎞競歩代表選手選考競技会

10月25日(日) 山形県高畠町中央通り スタート・ゴールの折り返し(1部周回)コース(1周2.0㎞) 


男子20km競歩

5位 及川 1:23'01

16位 河岸 1:28'31


男子50km競歩

2位 管野 3:54'24 ※東洋大新記録


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原田(左)から給水を受け取る管野

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表彰台で笑顔を見せた管野。有終の美を飾った

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5位入賞の及川。今後のさらなる躍進に期待だ


 高畠競歩で、男子50㎞にエントリーした管野(法4=白川旭)が3時間54分24秒で2位に入り、自身が今年4月に打ち立てた東洋大記録を3分更新する活躍を見せた。一方、男子20㎞では及川(済2=愛知)が5位入賞を果たす。20㎞初挑戦となった河岸(ラ1=飾磨工業)は距離に対応できず苦い20㎞デビューとなった。


 この日、高畠の地は厳しい風と寒さに襲われていた。会場のテントが激しく揺れる中、男子50㎞がスタート。リオ五輪の派遣標準記録を狙うハイペースで歩く先頭集団のやや後ろで、管野は一人自分のペースを貫いていた。レース中盤、集団を形成した場面でも落ち着いて歩みを進め、他の選手が落ちていくのを横目に30㎞過ぎには単独4位に上がる。40㎞手前でさらに一人を抜かすと3位に浮上。ラスト10㎞こそ苦しい歩きとなったが、前の選手が途中棄権したこともあり最後は2位でフィニッシュした。

 自身2度目の東洋大記録更新となった管野であったが、今回は前回の更新時とは違っていた。「これで引退なので、これからは趣味で続けていきたい」。これが現役ラストレースだったのだ。沿道からは「とも、自分のペースだよ!」という優しい母の声、そして4年間苦楽を共にした原田(済4=南宇和)が給水役として彼の長い道のりをサポートした。途中まで学生記録を上回るペースで飛ばすと、最後は倒れこむようにゴール。「入学した時は一番遅くてつらいこともあったが、仲間がいてくれたから頑張れた。最低限の歩きはできたかな」。2度目の東洋大記録は、彼を支え続けた人たちに対する恩返しの歩きだった。

 男子20㎞では及川が先頭集団に果敢に食らい付き10㎞まで通過するが、強風に体力を奪われその後ペースダウン。それでも必死に歩き切り5位に入賞した。20㎞初挑戦となったルーキー河岸は中盤から自分の歩きを保てず、昨年のインターハイ5000m競歩覇者の力を20㎞の舞台で発揮することができなかった。


 久しぶりのロードレースに悪コンディションが重なり、思うような歩きができず悔しい表情を浮かべる選手が多かった。しかし、河岸の言葉を借りれば「どんな状況であれ強い選手は結果を残している」。レースは何が起こるかわからないが、状況に応じたタフさが成長へのカギとなりそうだ。「世界」をテーマに掲げる競歩部門。日の丸の座を勝ち取るべく、さらなる鍛錬を積み上げる。


■コメント

・佐藤コーチ

50㎞の菅野に関しては途中まで学生記録を期待したが、気象条件が悪すぎた。それでも、最後の最後まで一人になってからも頑張っていたので、2位は評価できる。今までやってきたことが結果として表れたかなと思う。及川は積極的なレースをしていたが、最後のつめが甘かったという感じ。でも、歩きに関しては悪くない。河岸は初めての20㎞だったので、緊張したチャレンジだったと思うから、まだ距離に対する力不足。ここから徐々にステップを踏んでいければいい。(これからのシーズンは)五輪の選考レースなどもあるので、今日来ていない松永(工3=横浜)とかも含めてチャレンジさせたい。


・管野(法4=白川旭)

最初から自分のペースでいって、ラップタイムも悪くはなかったが後半10㎞以降のタイムが、風があったとはいえ落ち過ぎた。自分の強みは4年間故障せずやってこられたこと。他の人には負けない練習量、それが50㎞を歩き切る体をつくってくれたと思う。レース中、母の声やみんなの応援が聞こえたり、会場のアナウンスで学生記録が期待されていることもわかった。(学生記録を)出したかった気持ちもあったがどうしても後半が動かなかった。応援してくれた人には申し訳ない。それでも自己ベストを出して東洋大記録をもう一度更新できたので最低限の歩きはできたかなと思う。(今後は)これで引退なので、卒業後は趣味で続けていきたい。(4年間を振り返ってみて)入学した時は自分が一番遅くて、つらいことも多かったが、仲間が一緒にいてくれたから諦めず頑張ってこれたし、最後は大学記録も残せて悔いのない大学生活だった。記録は後輩がまた更新してくれると思う。そのときには自分が果たせなかった学生記録も更新してほしい。


・及川(済2=愛知)

強い選手が複数いたので、付いていってタイムを狙っていこうと思ったが10㎞過ぎてきつくなって12㎞で離れてしまった。そこからはラップタイムも落として、まとまりのないレースだった。(激しい風や気温の中で)あまりこういうレースを経験したことがなくて、風もそうだが、寒さで体が固まった。日が出たり、曇ったり、急に雨が降ったりで体感温度が何度も変わった。だから、記録は自己ベストより1分以上遅いが、大事なのは内容だと思う。前半いいペースで歩いても思ったより余裕があったので、筋力をつけて長い距離に対する練習をすれば地力は上げられる。そういうのに気づけたので充実したレースだった。来年はリオ五輪だけでなく、ワールドカップ競歩もあるので選考レースで代表を勝ち取れる力をつけていきたい。


・河岸(ラ1=飾磨工業)

前半だけ1㎞を4分ペースで入れたが途中でバテてしまい、20秒近くラップを落としてしまった。中盤はそれ以上落ちなかったが、最後は右の股関節に痛みが出てきたため、急激にタイムを下げてしまった。初めての20㎞は、風が強くてコンディションが悪かったが、どんな状況であれ強い選手は結果を残しているので自分はまだまだ弱いことを痛感した。これからは20㎞に向けたスタミナをつけて、次のレースではもっと上位を狙いたい。


TEXT/PHOTO=伊藤空夢