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2015.11.07
硬式野球

[硬式野球]注目ドラ1対決完封負けで先勝許すも焦りなし 高橋監督「我々はここから勝ってきた」

平成27年度東都大学野球秋季1部2部入れ替え戦・駒大1回戦

11月7日(土) 神宮球場

東洋大0-1駒大

(イニングスコア)

1回戦

駒大

東洋大

(東洋大)

●原(1敗)、片山翔―後藤田、森

二塁打:中川


打順                     

守備

名前

(遊)

阿部健(営3=帝京)

(左)

木村(営4=愛工大名電)

(指)

中川(法1=PL学園)


冨澤(営4=愛工大名電)

(中)

笹川(営3=浦和学院)

(三)

田中将(営2=帝京)

(指)

茶谷(営3=東北)

(二)

林(営4=桐生一)

(右)

安西(営3=聖光学院)


木暮(法2=浦和学院)


大川(営4=PL学園)

(捕)

後藤田(営4=東洋大姫路)


藤森(法3=文徳)


森(営4=浦和学院)




29


名前

●原(営4=東洋大姫路)

29

片山翔(法2=大社)


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五回、ピンチを三振で切り抜け雄たけびを上げる原


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四回途中、右ふくらはぎがつるアクシデントに見舞われた


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好機で笹川の放った大飛球はあと一歩スタンドには届かなかった


 悪夢再び。入れ替え戦初戦は0対1で敗戦。2年前の入れ替え戦、2試合で計20三振を喫した宿敵・今永昇太(駒大・DeNA1位指名)にこの日も12三振を奪われ完封された。エース・原(営4=東洋大姫路・ヤクルト1位指名)は八回にスクイズで決勝点を許すも、貫録の1失点粘投。選手たちはすぐに明日以降へ気持ちを切り替えた。


 勝負は一瞬にして決した。「追い込んでいたので、まさか(スクイズを仕掛けて)くるとは思わなかった」。スコアボードに0を刻み続けた両先発投手の緊迫した投手戦は八回、1死一、三塁から1番打者のスリーバントスクイズが決まりこれが決勝点となった。「詰まらせようと思ってインコースを突いた。スクイズだと気付いたときにはもう外せなかった」。今秋の東農大戦、青学大戦では同様の場面で内角を攻め、凡打に仕留めて流れを呼び込んだ。人一倍責任感の強い原。この場面でも、自分の力でねじ伏せようと心に決めた。だからこそ、意表を突かれたスクイズでの失点に思わず天を仰いだ。

 8回を投げ自責点0は、KO負けではない。「内容は良かった」と話したヤクルト・酒井圭一担当スカウト。「これまで通りのピッチングです。入れ替え戦の舞台でも、足がつっても、どんな状況でもいつも通りの投球ができる。それは、プロでは非常に大事なこと。安定感は彼の一番の持ち味です」。観客はこれまでの10倍以上。四回にはマウンドの硬さに対応できず、右ふくらはぎをつった。それでも、前評判通りの力投を見せたエースの姿は、十分『ドラフト1位』に値した。

 1点があまりにも重かった。2年前、同カードの入れ替え戦で完敗を喫した今永に、またしても好投を許した。散発わずか3安打。三塁を踏むことすらできなかった。「外の速い真っ直ぐを逆方向へと言っていたんだけど、全然軌道が合ってなかった」と高橋監督。「そんなに手強いというわけではない。うちの気持ちが弱いだけ」と嘆いた。

 これで、リーグ戦からカード初戦は4連敗。だが、高橋監督は動じない。「これまでも1戦目で原が負けて、そこから苦しい試合を勝ってきた」。その思いはエースも同じ。「今は明日、明後日のことしか頭にない」。戦いは、幕を開けたばかりだ。


■コメント

・高橋監督

原は前半少しとばしすぎたかな。足がつって、あそこからスライダーが少し甘くなった。でもよく投げましたよ。1点だから。2年前より手応えはある。ただ、打線がもう1、2点取ってくれれば。今永は終盤散らばってきたけど、よく放っていた。あそこでうちは仕留めないといけなかった。(六回)笹川の打球がもうひとノビするようであれば良かったんだけど。勝負はそんなに甘くない。いつも1戦目で原が負けて、そこから苦しい試合を勝ってきた。秋はここまで原の2日連続先発はない。明日は増渕。今日は駒大の方が一歩上だった。明日からまた学生らしく食らい付いて、なんとしても3回戦まで持ち込む。


・原(営4=東洋大姫路)

昨日の練習ではマウンドが柔らかく感じたが、今日は(スパイクの)歯が入らないくらい硬かった。ただ、影響はなかった。スクイズは、エンドランもあるので一塁ランナーを気にしていた。追い込んでいたのでまさかくるとは思わなかった。ただ、リーグ戦ではそこで負けが決まった訳じゃないのに、1点を取られた自分を許せず下を向くことがあった。そのたびに監督に「まだ終わりじゃない」と言われていた。今日も監督の顔を見て、切り替えることができた。リーグ戦では本塁打を打たれ、苦手なのではないかと言われていた左バッターにも今日はイメージ通りインコースにスライダーで攻めることができた。ここで悔いを残したまま、先の舞台に進むということは自分が一番つらいので、とにかく明日以降勝つために、1イニングずつ全力で投げます。


・林(営4=桐生一)

相手ピッチャーはこの秋は調子がよくないと聞いていたが、やっぱり球自体はよくて振ってもファールで攻めきれなかった。チャンスは何回かつくったがそこで1本が出ず2年前と同じようなことをされてしまった。1点も取れなくて原に申し訳ないし、悔しい。でもまだ終わったわけじゃない。チームに貢献はできていないが勝ちたいという気持ちは誰よりも持っている。結果では引っ張れなくても副将としてチームに声掛けをして、原をもう一回投げさせられるよう頑張りたい。


・後藤田(営4=東洋大姫路)

(八回の先頭打者)ボールから入りたかったが、ストライクを取りにいってしまった。(スクイズの場面は)勝負しろという指示だった。2ボール2ストライクだったので相手も勝負してくると思った。あそこでウエストするわけにはいかなかった。監督も勝負しなければいけないと言っていたので、あそこで外すことは出来なかった。先頭を出したことが一番のミス。最終的には自分のミスでランナーを進めてしまって、決勝点を取られたので原には申し訳ない。(今永投手は)そんなに球速は変わっていない。ライト方向に流さないで引っ張りにいかないといけない。相手がよかったというのもあったが、0点じゃ勝てない。リーグ戦と同じように原を見殺しにしてしまって申し訳ない。明日勝ってもう一回、原を投げさせてあげたい。


・笹川(営3=浦和学院)

自分が打てなくて負けた試合でした。一昨年やられてるので、自分が借りを返そうと、まずチームのヒット一本目を出せば勢い与えられると思ったので、気持ちが出ていい形になったと思う。(六回のチャンスの場面では)まっすぐだけを狙っていた。少し詰まってしまってタイムリーが出なかったので、そこが悔しいです。大事な試合だったので、感情を出さないで終わるより、出して終わったほうがいいと思ってたので、それが形につながらなかったというのが悔しいです。(久しぶりの今永投手との対戦は)まっすぐに勢いあった。速い球を見てやってはいましたが、打席に立ってナイターでやってみると、実際手が出なかったというのがこういう結果になってしまった。(明日に向けて)負けられないので。拓大の時もそれで勝ち点を取っている。切り替えて絶対明日勝ちます。


・田中将(営2=帝京)

(勝つための)戦力になれなくて悔しいです。明日出れるか分からないですけど、もう勝つしかないので気持ちを切り替えてやっていきたい。


・木村(営4=愛工大名電)

 自分は4年で最後で、社会人になったら野球をやらないので(入替戦は)最後の試合なのである意味開き直った。でも最初は、いつも観客が少ない中で(野球を)やるので(観客が多くて)緊張した。一打席やってみてやるしかないと腹を割ってやった。(ヒット1本打った場面では)それまで二打席凡退してしまっていたが、笹川があたっていたのでその前にランナーを出してなんとか笹川で点を取るというパターンを作れたと思う。自分にできることをやった結果だ。明日勝って原の3日目につなげなければならない。拓殖の試合のように明日増渕で勝って、3戦目原でリベンジして1部に上がりたい。



TEXT=浜浦日向 PHOTO=浜浦日向、菅野晋太郎、枦愛子