Article

記事


2015.12.20
陸上競技

[陸上競技]2万m競歩に初挑戦 リオ選考へ弾み

第5回平成国際大学競歩競技会

12月19日(土)鴻巣市陸上競技場


男子2万m競歩

1着 山下 1:23'16"34

2着 河岸 1:23'41"46


Image title

山下は終始ペースを落とさず1着フィニッシュ

Image title

一時は先頭に立った河岸


 第5回平成国際大学競歩競技会にて、男子2万m競歩に出場した山下(総2=富山商)が日本ジュニア新記録に相当するタイムを打ち立てた。同じく河岸(ラ1=飾磨工)も従来の記録を上回り、2月に迫る日本選手権競歩に向けて弾みをつけた。



 先週の記録会でも1万mにおいて自己ベストを更新した二人が、今回も調子の良さをうかがわせた。スタートから飛び出した二人は前半から互いに先頭を引っ張り、淡々とペースを刻む。1万m過ぎに河岸がペースアップすると、山下は付いていけず河岸が単独トップに踊り出る。しかし、周を増すごとに強くなっていく風に体力を奪われ、河岸のペースはそれ以上上がらない。次第に、山下が「後輩には負けられない」と意地の歩きで差を詰め始めると、1万4000mで再び先頭を奪取。その後は課題であった後半のペースダウンを克服した山下が独歩態勢を形成し、1着でゴールした。一度はトップに出るも終盤に疲れを見せた河岸は2着でフィニッシュ。東洋大の二人が終始先頭をキープし、後続を一度も寄せ付けなかった。

 「日本記録を狙っていた」と言う山下。そもそも2万m競歩という種目が開催されるのはまれで、従来の記録は22年前の1時間22分25秒。悪い気象条件も重なったため惜しくも記録更新とはならなかったが、日本ジュニア記録を上回っており公認されれば実に23年ぶりの快挙となる。



 来年2月に行われる日本選手権に向けて出場した今大会だが、日本選手権にてリオデジャネイロオリンピックの出場権を掛けた争いは20㎞で行われる。同じ距離ではあるが2万mとは違い20㎞はロード種目である。二人とも今回で課題を見出しており、それをクリアすればさらに力は付いて来るはずだ。残すはトラックとは違ったコースへの対応力などが求められるだろう。日本選手権の開催地は兵庫県・神戸市。兵庫県出身の河岸は「知っている先生方も来る。いい結果を出して恩返ししたい」と意気込む。競歩部門は一人でも多くオリンピック代表の座を勝ち取るべく鍛錬の真最中だ。



■コメント

・山下(総2=富山商)

今回は2万mの日本記録を狙っていた。来年2月にあるリオオリンピックの選考レースは20㎞なので、そこに向けた意味でも出場を決めた。レースは日本記録を狙っていただけに、出せずに悔しい。(日本記録を)出したかった。でも、いつもなら後半に焦りが出てペースが落ちてしまうのが自分のパターンだったが、今回は淡々と4分10秒のペースで歩けたので力が付いていることが実感できた。あとはスピードを付けてフォームを直せば、2月も戦えるのではないかと思えたレースだった。(河岸に追い付いたときは)後輩には負けられないという意地もあった。前回のレースはお腹を壊していたため、今回の方が体調的には調子が良かったが、足の疲労も溜まっていたので疲れるのも早かった。ケア不足だと感じる。(今後は)ロードの大会が多くなり、トラックと比べると応援も近くから聞こえる。力になるし、やらなきゃいけないと思う。2020年(東京オリンピック)に向けて取り組んでいるが、まずは2月の日本選手権を目先の目標に置いて練習していきたい。


・河岸(ラ1=飾磨工)

(先週に続けて)記録を狙って東洋大に勢いをつけるレースにしたいと思っていた。(トラックの2万m競歩は)あまりない。歩くのは初めて。ずっと同じところを回っているのでロードよりも長い感覚だった。(レースプランは)前半は1000m4分10秒で後半は4分5秒と山下さんと設定していたが、風が強かったのもあってその通りにはいかなかった。自分自身は同じ距離のロードより記録が良くて自己ベストを出せたので、そこは自信につながった。(後半のペースの上げ下げは)1万2000mくらいまでは設定通りだったがその後は4分19秒くらいかかる1000mもあって、力不足だと感じた。でもそこを克服することができれば次に大幅な自己ベストにつながるとプラスにとらえ、今後練習に取り組んでいきたい。(次の日本選手権に向けて)今回は自分の中ではもう少しいけるかなという感覚があったが、日本選手権はまた気象条件も違うと思うのでしっかり準備をしていきたい。(開催地の)兵庫は地元で知っている先生方も来るので、しっかり歩いていい結果を出し、恩返しできるようにしたい。


TEXT=伊藤空夢 PHOTO=野原成華、伊藤空夢