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日本GP第3戦2016
日本選抜陸上和歌山大会
兼 U20世界陸上競技選手権大会(ビドゴシチ/2016)選考競技会
兼 第17回アジアジュニア陸上競技選手権大会(ホーチミン/2016)選考競技会
4月30日(土)〜5月1日(日) 紀三井寺公園陸上競技場
ジュニア男子5000m 決勝
6位 相澤 14'10"17
19位 中村駆 14'49"13
ジュニア男子3000m障害 決勝
2位 小室 8'49"52
遠藤(学法石川)をマークしていた相澤だったが、スプリントで及ばなかった
小室は2レース連続で自己ベストを更新した
2日間に渡り開催された日本選抜陸上和歌山大会に3人の1年生が出場した。初日の5000mでは見せ場をつくることはできなかったものの、2日目の3000m障害では小室が(済1=仙台育英)2位に入り、表彰台に上がった。
1日目、相澤(済1=学法石川)と中村駆(済1=西京)の二人が出場した男子5000mはラスト一周で決着がついた。時折、先頭で飛び出す選手が現れるも、その後はすぐに落ち着いたペースに戻るレース展開。二人とも先頭集団の中ほどに位置付けていた。3000m手前で一度選手が飛び出すと大きかった集団は崩れはじめ、同時に中村駆も後方へと下がってしまう。一方の相澤は、高校時代の後輩である遠藤(学法石川高3年)を徹底マーク。相手は3000mの日本高校記録保持者で、強烈なラストスパートを持つ実力者だ。そのため「後半は絶対に遠藤が出てくる」と読んでいた相澤は彼の後ろで勝機をうかがい、落ち着いた走りを見せていた。そして、その位置のままラスト一周を迎えると、残り250mで遠藤がスパート。相澤の読み通りの展開となったが「練習が足りなかった」と大学入学前の故障で調整が出遅れていたことが響き、ペースを上げられなかった。
翌日の3000m障害には小室がエントリー。先月の六大学対校戦で快走を見せたことをきっかけに急きょ出場が決まった。レースは1000m過ぎから荻野(神奈川大)との一騎打ち。自己ベストを比較してもほぼ互角の相手だ。2000mを過ぎても先頭争いは二人だけで、ラスト600mで小室が初めて前に出る。しかし、「思った以上に切り替わらなかった」とペースを上げられず、相手を突き放すことができない。ラスト100mまで競り合いは続いたが、最後の障害を越えた時に小室がバランスを崩してしまい、約1秒差の2位でフィニッシュ。地面を何度も叩き、悔しさをあらわにした。ただ、タイムは前回に続いて自己ベストを更新。チームで唯一、表彰台へ上がった。
今大会は世界ジュニア選手権の代表選考も兼ねて行われたが、優勝者を出すことができず代表入りは厳しい状況だ。それでも、酒井監督は「選考レースを経験するということだけでも大事」と話し、来年の世界選手権やユニバーシアードを見据えていた。大学入学から1ヵ月、ルーキーたちは世界を目指すために大きな収穫を得たに違いない。
■コメント
・酒井監督
5000mは代表選考特有のプレッシャーに負けてしまったという感じ。中村駆に関しては、完全に(プレッシャーに)飲まれてて練習の走りを出せていなかった。相澤も狙っていたところでスパートを出せなかったので、それもプレッシャーにやられていたのかなと思う。最低限の走りはしてくれたが、代表選考という意味では代表になれなかったので悔しい。相澤は入寮してきたときから故障をしていたので、これまで大会には出ていなかったが、ここにきて段々と調子も上がってきている。5000mの自己ベストは新入生中トップなので、まずは5000mで結果を残していってほしい。2人ともまだ東洋大らしい泥臭く攻めていく走りができていないので、心理面とフィジカル面とを含めて強化していきたい。小室に関しても、自己ベストは大幅に更新できたが、代表選考という部分ではやはり勝ちたかった。(レース前は)ラスト勝負になると思っていたので、優勝を狙いにいくレースをするようにと話していた。(総括として)代表を勝ち取ることはできなかったが、選考レースを経験するということだけでも大事。今回の経験で自分の勝ちパターンなどについて考えると思う。あとはそれをシニアのレースにどう持っていくか。たとえ今回は代表になれなくても、今後また世界選手権やユニバーシアードなどがあるので、そこにしっかりと調整できるようにしたい。
・相澤(済1=学法石川)
大学に入って初めて走る全国のレースだったので緊張していた。そのため走りも硬く、最後まできつかった。自分の考えていたところでスパートをかけられず最後も競り負けてしまい、力を出し切れなかった。(ラスト1周では)そこまでへばるような感じはなく、余裕を持って切り替えようと思っていたが、体が動かなかった。(故障の影響で)他の人より練習が足りていないのを感じた。後半は絶対に遠藤が出てくると分かっていたので、ずっとマークしていたが対応できなかった。マークしていてもラストで負けては意味がないので、これからはそのことを意識しながら練習に取り組んでいきたい。(大学での目標は)箱根駅伝での優勝がチームの目標でもあるし、個人的にも区間賞を取りたい。トラックやロードでも世界大会で活躍できるように頑張っていきたい。
・小室(済1=仙台育英)
ペースについては準備をしていたので付いていけた。最初のプランではラスト1000mを切ってから上げていこうと思っていたが体が動かず、ラスト600mで仕掛けたが思った以上に切り替わらなかった。最後の障害を越えるときには飛びすぎてバランスを崩してしまうなどもあり、気持ちが先走ってしまったのが反省点。3000m障害を初めて走ったのは高2だが、それから全然走っていなかった。六大学で1年半ぶりに走ったときに8分台が出たので、監督からも「世界ジュニア狙っていけ」と言われて出していただいた。(今後は)1人でも押していくレースができるようになることと、付いていったときは最後にしっかり切り替えられるようにすることを目標にしていく。
TEXT/PHOTO=伊藤空夢