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第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
5月20日(金)日産スタジアム
▼2日目
男子100m 準決勝
2組
1着 桐生 10"27 ※決勝進出
男子100m 決勝
1位 桐生 10"35
男子400m 準決勝
2組
1着 ウォルシュ 45"83 ※決勝進出
男子400m 決勝
1位 ウォルシュ 46"22
男子3000m障害 予選
1組
11着 小柳 9'11"73
16着 横山 9'31"22
2組
DNS 小室
男子走幅跳 決勝
8位 津波 7m45
21位 小川 7m04
女子1万m 決勝
3位 佐藤早 33'28"94
12位 内田 34'45"79
15位 森田 34'59"73
圧倒的な強さを見せつけた桐生(中)
ウォルシュは今季安定して45秒台を出している
満面の笑みを見せた佐藤早(右)
関東インカレ2日目は決勝種目が多く行われた。中でも短距離部門のエースである桐生(法3=洛南)が男子100m、ウォルシュ(ラ2=東野)が男子400mで優勝。また女子1万mでは佐藤早(食4=常盤木学園)が女子長距離部門初の3位入賞に輝いた。
男子100m決勝で桐生は「決勝のスタートは準決勝よりもうまく出れた」と話すように、スタートしてすぐに飛び出すと大瀬戸(法大)との一騎打ちに。中盤に向かい風が吹き、体に力が入ってしまった。それでも後半はスピードに乗り、大瀬戸を引き離し1位でゴール。条件に恵まれず記録は出なかったものの、「レース展開をうまくできたので良かった」と振り返る。2週間後にも大会を控えており、そこでも今日のようなレース展開ができれば記録も十分狙っていけるはずだ。
ウォルシュは準決勝でリオデジャネイロ(以下、リオ)五輪の標準(45秒4)を狙って、スタートと同時に200mまで猛スピードで駆け抜ける。しかし最終コーナーで強い向かい風が吹き、走りが苦しくなり目標のリオ標準には届かなかった。迎えた決勝では大会記録の更新も期待されたが、疲れが出てしまい46秒22に留まった。悔しい結果となったが梶原監督は「準決勝であれだけ走っても決勝でしっかり走れていた」と称する。力が着実についてきているため条件さえ合えばリオ標準の突破も見えてくる。
走幅跳に出場した津波(ラ1=那覇西)は3回目に記録を伸ばしベスト8に食い込んだ。しかし、4回目からは全てファールで順位を上げることはできなかった。悔しさをにじませたが、ベスト8に残った1年生は津波のみ。上級生の中に混じって初めての関東インカレで8位入賞した経験は今後に生かしていけるに違いない。
女子長距離のエース佐藤早は部門初の表彰台に上る偉業を達成。スタートすると中大の選手が一人飛び出したが、それに慌てることなく2位集団でレースを進めた。2000m過ぎると中大の選手を飲み込み、集団は縦長になっていく。4000mから徐々に人数が絞られ始めたが、ぴたりと前に付いていった。1位と2位の選手が6000mを過ぎてペースを上げるとそれに離されまいと果敢に追い、3位に躍り出る。最後まで2位争いを繰り広げたが、抜かしきれず3位でゴール。初の表彰台だけでなく自己ベストを40秒以上更新し、エースとしての力強い走りを見せつけた。冬から5000mと1万mの2種目で表彰台を狙っており、明後日には5000mの決勝に出場する。永井監督は「調子が上がってきている中でこの大会を迎えられている」と話し、最終日の走りにも注目だ。
1日目は4継が予選で終わってしまうなど流れは良くなかった。しかし2日目の決勝では各部門のエースが力を発揮し、トラック優勝に向け大きく動き出した。東洋大は現在トラック種目の合計点では2位タイ。1位の東海大に5点差まで追いついたが、2位の大学は他に3校ある。3日目には競歩やマイルも残っているため、逆転も十分可能だ。関東インカレも折り返しを迎え、チーム一丸となって戦い続けていく。
■コメント
・梶原監督
100mと400mは予定通り強さを見せてくれた。記録は風とか条件が恵まれなかったので、思ったより出なかった。でも条件さえ悪くなければ記録は出るんだなって思わせてくれる走りで良かった。確実に力は付いている。(400mの条件が悪かったところは)第3コーナーから第4コーナーにかけて、いかにスピードを落とさずに走るかがポイントなのだが、準決勝はそこで強い向かい風が吹いてしまった。400mでは一番辛い風の吹き方だった。それでも45秒8を出してるのは立派。そして、準決勝であれだけ走っても決勝でしっかり走れていた。(桐生は)反応した後の1歩目から5歩目あたりの加速の力はほんとに良くなってきている。向かい風で力んでしまった部分があるが、タイムはこれから出ると思う。状態は全然悪くない。(津波は)強い選手がいる中でも8位以内に入る実力はあると思っていたので、決勝に残ってくれて良かった。ただ今回のような大きな競技場でやった時は風が回る。その風が一瞬だけ追い風になる時がある。それと合わせて跳べればいいのだが、6回目はその風が来たのに本人は読めていなかった。1年生だから仕方ない。経験の差かな。(マイルリレーについて)他大学も400mの決勝に残ってる選手が多くいるので手強いと思う。でも、うちのメンバーも調子は悪くない。上手く流れに乗っていければ確実に優勝争いができる。(ウォルシュ)ジュリアン頼みにならないようにすることが必要。
・永井監督
佐藤早は力を出し切れば3位以内に入るとは思っていた。今年は5000mと1万mで表彰台を狙うっていうのを冬からずっとやってきたので、まずは今日1つ獲れて良かった。これで気を抜かずに5000mでも表彰台に上って目標達成になるので頑張りたい。大東大があまり元気がないという情報が入っていたので、誰が引っ張るか読めない状況だった。その中で日体大の選手が前半からいってくれたので佐藤早もリズムを作れるペースだったかな。他の2人も中盤からもう一回リズムを作り直しながら想定通りの走りをしてくれた。最後までよく頑張ってくれた。(佐藤早の調子は)冬からクロカンを2本、春先も熊本や兵庫と予定通りにレースをこなせてきていたので、調子が上がってきている中でこの大会を迎えられているので5000mも楽しみなレースになると思う。疲労を早く取って明後日には万全な状態でスタートを切りたい。
・桐生(法3=洛南)
優勝できたのは良かったが、風が強かった。2週間後にまた試合があるので記録はそこで出す。感覚は全然悪くない。今回はタイムというよりもレース展開をうまくできたので良かった。決勝のスタートは準決勝よりもうまく出れた。中盤からは急に向かい風が吹いてきたのでその対応に遅れてしまった。(自身の関東インカレを振り返ってみて)普通だったら4継の決勝があったはずなので、やっぱり物足りない。リレーで締めたかった。100mで優勝したのは良かったが、関東インカレはあと1年しかない。リレーに向けてもっと個々の力を上げていきたい。(次回のレースについては)調子は良いので、その調子をぶつけていきたい。
・ウォルシュ(ラ2=東野)
準決勝でリオの標準を狙っていたので、届かなかったのが悔しい。決勝は疲れがあったのであんまり。(決勝のレースは)前半はゆっくり入ったので後半は余裕があった。(マイルに向けて)トラック優勝があと少しなので、マイルを優勝して貢献したい。(次の400mのレースは)個人選手権になると思う。そこでまたリオの標準を狙っていく。
・津波(ラ1=那覇西)
悔しい。目標は3位以内で日本選手権のA標準を狙っていた。ファールを4回してしまった。風が舞っていのだが、その風を読むっていう考えが自分の頭には無かった。そこがまだ弱いところだと思う。(最後の手拍子は)自分で自分を盛り上げようと思った。(課題は)ファールをしないことと、自分にとっていい条件の時の風をしっかり読むことが足りない。
TEXT=福山知晃 PHOTO=小野由佳莉、伊藤空夢