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2016.05.30
レスリング

[レスリング]戻ってきた宮原!新階級53㌔級で復活の3位

平成28年度明治杯 全日本選抜レスリング選手権大会

5月27日(金)~29日(日) 代々木第二体育館


男子グレコローマンスタイル

130㌔級 黒木柾(法4=宮崎工) 1回戦敗退


女子フリースタイル

53㌔級 宮原(社4=安部学院) 3位


最後の明治杯となった黒木主将


宮原は新階級53㌔級で東京五輪を目指す


けがを乗り越え復帰戦で3位に輝いた


 5月27日から3日間にかけて行われた全日本選抜選手権(以下、明治杯)。東洋大からは推薦枠で男子グレコローマンスタイル130㌔級に黒木柾、女子53㌔級に宮原の二名が出場した。黒木は体格差のある相手に健闘するもあえなく敗戦。復帰戦となった宮原は3位とまずまずの結果を残し、今後に望みをつなげた。


 東洋大ラストイヤーとなる宮原が、全日本の舞台に戻ってきた。思うような結果を残せなかった昨年からの復帰戦となった今大会は、階級を48㌔級から53㌔級に上げて挑んだ。元々厳しい減量をしていたが、東京オリンピックを見据えてベスト体重に最も近い階級を選んだ宮原。1回戦はチャンスを狙いながら慎重にバックを取り、ポイントを重ねていく。最後はフォールに近い形から寝技で点を追加し、テクニカルフォール勝ちで難なく初戦を突破した。続く準決勝には、優勝候補であった向田(至学館大)が立ちはだかる。優勝を目指していた宮原にとって最大の山場となった相手だ。しかし、けがもあり実戦にほぼ1年のブランクがあった彼女の足は思うように動いてくれない。出方を伺っているうちにポイントを先取され、何もできないまま時間だけが過ぎていった。「苦手なタイプだったので、何をしていいか分からなくなってしまった」。今回対戦した向田は、中学時代から宮原と同じJOCアカデミーの門下生でお互いのタイプや癖なども分かりきっていたため、容易に勝てる相手ではないことを宮原もよく知っていた。なじみある相手を前に最後までポイントを獲得することはできず、0―5で試合は終了。決勝には届かなかったものの、3位決定戦では相手の攻めにも返しで対抗するなどスキルのある技で勝利し、表彰台へ上った。


 黒木柾、宮原共に学生生活最後となった明治杯。来年以降の出場者は、今度の新人戦での下級生の結果にかかっている。黒木柾は、「新人戦で(川畑)孔明が優勝して出てくれないかなって」とはにかみながら後輩に期待をこめた。一方で、宮原にとってはこれが東京オリンピックに向けての第一歩でもある。「この階級でオリンピックも目指していきたい」と、53㌔級での五輪出場を強く心に決めた。新人戦と同日にある東日本女子学生選手権にも出場予定のある宮原。ここで確実に優勝をものにし、底力を見せつけたいところである。新たな夢である東京への道は、まだ始まったばかりだ。


■コメント

・若松監督
宮原は実戦のブランクがあったのと、階級を53㌔級にあげたというところで不安な部分もあったと思うが、本人は優勝しようという気持ちでやっていた。階級を上げたのは減量がきつく自分自身の動きができないから。東京オリンピックに向けて体格も大きくしていくので、4年後を見据えて53㌔に上げたのだと思う。準決勝はやはり最初の4ポイントが大きかった。1ピリで2点でも返せていれば何とか持ち直せたかもしれないが、逆にまた2点取られてしまったので、完全に向こうの流れになったのだと思う。3位決定戦は非常にいい展開を取れていたので、次につながる試合にはなった。昨年のこの大会の後、本人はレスリングを辞めたいと思っていたが、その後の12月の試合を見に来ていたときにやっぱり続けたいという気持ちが出てきて、東京オリンピックを目指す意思が固まった。6月の東日本(学生女子選手権)やインカレ(全日本学生選手権)で試合感を戻して、全日本(選手権)で勝負してほしい。


・船津コーチ
宮原はやっぱり復帰戦ですぐ試合感を取り戻すのは難しかったのだと思う。体調も良くなってパワーも付けて練習で自分のペースを取り戻しても、いざ実戦となると特に心理的な面で違ってくる。準決勝は相手の技が普通ではないタイミングで決まって、守りに入ってしまったのかなと思う。でも、3位決定戦はしっかり決めてくれたので、本人は駄目だったと言っていたが、復帰戦としては良かった方。東日本(学生女子選手権)もエントリーすると言っているので、これから試合を積んでいって全日本(選手権)でも優勝を狙ってほしい。


・黒木柾主将(法4=宮崎工)

 最後だと思って表彰に乗る気持ちでやったが、練習不足で負けちゃいました。相手もベテランだったのでそれなりに考えてやっていたが、いつものような試合ができなかった。終始押され気味でローリングされてしまったので、そこがだめだった。(来年以降は)今度の新人戦とインカレ次第ですね。個人的には新人戦で(川畑)孔明が優勝して出てくれないかなって。あと自分と同じ階級の山口もインカレでぜひ結果を出してほしい。まずは男子が出てほしいですね。(今後に向けて)コーチや監督からも勝負はインカレと言われているので、いつもベスト8なので、最後くらいは1番上を狙いたい。

 

・宮原(社4=安部学院)

 初めての階級だったので、どうなるか分からない気持ちだったが、向田(至学館大)にポイントを取りにいけなかったというのが反省点。中学から同じ環境で練習してきた相手で、苦手なタイプだったので、何をしていいか分からなくなってしまった。自分と同じ左構えの相手に対して苦手意識があったので、そのための練習はしてきたがうまくできなかった。そういった苦手な部分をこれから克服していきたい。ただ、復帰戦にしては手ごたえがあったと思う。(階級について)以前の48㌔級よりも、今の53㌔級の方が自分のベストな体重に近い。この階級で東京オリンピックも目指していきたい。(1年間の練習について)技術不足もあったので技術練習の時間もしっかり取って、主に基本的なことから練習してきた。(今後は)試合数をこなして、東日本女子ではもちろん優勝することと、内容にもこだわっていきたい。


TEXT=坂口こよみ PHOTO=坂口こよみ、青池藤吾、木谷加奈子