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2016.06.26
柔道

[柔道]ベスト16止まりも、「ストイック」細谷が根性見せる

平成28年度全日本学生柔道優勝大会

6月26日(日) 日本武道館

2回戦

〇東洋大5-0清和大●


3回戦

●東洋大0-4明大〇

ベスト16


勢いのあった細谷は華麗に一本を決める


前田主将も格上相手に堂々とした試合を見せた



 この時期には数少ない晴天の中、全日本学生柔道優勝大会が行われた。頂点を賭け全国から予選を勝ち抜いた62校の精鋭たちが日本武道館に集結。東洋大は目標としたベスト8を目前としながら、明大に惜敗。前回大会でも負けを喫していた相手であり、ほろ苦い結果となった。

 その中でも気を吐いたのが細谷(営4=前橋育英)だ。開口一番、「細谷が良かった」と前田主将(営4=大成)が言うように、先鋒として出場した2回戦の清和大戦では鮮やかな一本勝ち。「自分でもいい仕事ができた。監督にも褒めてもらえた」と照れ笑いを浮かべ、チームに勢いをもたらした。

 細谷は柔道選手では小柄な175センチ。このマイナスを補うために、「大きな相手に勝ちたい」と練習後に自ら進んでウエイトトレーニングを行う。それに加え、「トレーニング後には鶏ささみ。油ものを控え、鶏肉の皮は必ず剥いています」と、食事にも細やかな配慮は欠かせない。客席から見守っていた高校時代の恩師である佐藤達也さんも「身体がずいぶん大きくなりましたよ」と目を細める。高校入学前には60キロ台だった体重も、継続したストイックな生活の結果が、綺麗に割れた腹筋を中心にしっかりとした筋肉に現れた。敗れた明大戦でも、120キロもある大柄な相手を持ち上げ、抑え込む場面もあり、アピールポイントである投げ切る力が垣間見えた。

 次戦は81キロ級の個人戦を控える細谷。「いま85キロなのでまた身体を絞っていきます」と、これからやって来る暑い夏に食事の量を減らし、水分摂取も抑えるという。「少しでも強くなるためなら」と勝利のためにストイックな男から目が離せない。


■コメント

・西山監督

1、2回戦は力を発揮して、それが星の差にも出た。3回戦は優勝候補の明大相手ですから。0-4ではあったがその差ほどは無かった。中には取れそうでちょっと油断した時に有効を取られ負けた選手もいたが、内容的には負けてなかった。残り30秒ぐらいという選手もいたが、そこを辛抱できれば引き分けに持ち込めた。東京大会でもやったが、その時よりも内容は良かった。(選手の気迫を感じたが)優勝候補ではあるけども、日ごろの練習の成果を発揮して頑張ろうと一丸になっていた。気持ちは出ていたと思う。(良かった選手は)明大戦は負けたが前田。自分の試合もそうだが、チームをまとめて一丸とさせてここまで持ってきた。(今後はジュニアをはさんで個人戦となるが)東京大会、体重別は入賞を目指して、一人でも多く3位以上を目指して頑張らせたい。一人でも多く全日本の体重別に出場させたい。(それまで2か月ほどあるが)団体戦の反省を踏まえて課題を克服する練習もだが、8月には1週間九州遠征を計画している。そこで集中稽古を兼ねて頑張っていきたい。


・前田主将(営4=大成)

今日を振り返ってみると細谷が良かった。相手のいいところを消して、自分のいいところを出す戦いをしていた。最近はひとりひとりの力がついてきたから、良い試合ができてきたのかなと思う。しかし、もう少し良い試合ができるはず。1か月前も明大に負けてしまっているので、悔しい。(昨年もこの大会がベスト16だったので)ベスト8の壁は高い。9月上旬にある個人戦は、1人でも多く全国大会にでれるように、頑張っていきたいと思う。


・細谷(営4=前橋育英)

四年生なので最後の集大成として、最後の無差別の団体戦だったのでかける思いは強かった。チーム目標のベスト8には最低でもはいって後輩たちに良い形で置き土産できたら、と思いながら戦いました。明大戦は、キャプテンの前田がまさかの形で取られてしまったので自分が取り返して流れを変えて東洋に持っていこうと堂々と戦いました。ガンガン攻めて指導が取れた。ああいう大きい相手とやったときに指導はなかなか取りにくい。明大の中でも強い選手だったので取れたことは自信になりました。今日の初戦も、先鋒ということで出て流れを作らなきゃならないところだったので、一本取れて良かった。監督にも褒めてもらえたし、自分としてはその時はいい仕事が出来たと思う。大きい相手とやりあえたということは同階級でもそれなりにやりあえるということ。相手も全国レベルだったので、それを自信にして個人戦は全日本優勝目指して頑張りたいと思う。小さい体格でもどんな相手でも投げ切って一本取れる選手になりたい。個人戦ももちろんだが、秋にある体重別の団体戦では去年ベスト8を残せましたし、今年は四年生としてチームを牽引しなきゃいけないので、キャプテンの前田と一緒にベスト4入り、優勝を目指して頑張ります。


TEXT=美馬蒔葉 PHOTO=當麻彰紘