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2016.09.20
アイススケート

[アイスホッケー]慶大に痛い引き分け FW人里主将意地の同点ゴール

平成28年度関東大学アイスホッケーリーグ戦

9月19日(月) ダイドードリンコアイスアリーナ


東洋大1―1慶大


[ゴール(アシスト)]

57:33 人里(出口)


同点ゴールを決めこのガッツポーズ

FW人里㊧、FW出口


FW人里は主将としての意地を見せた


DF田中もチームの要として期待がかかる


 1点ビハインドで迎えた最終ピリオド。PP(パワープレー)の好機を逃さずFW人里主将(社4=白樺学園)が執念の同点ゴールを決めた。しかし、その後の決定打は生まれず1―1で慶大に引き分け。勝利を勝ち取ることはできなかった。


 最後はやはりこの男が決めた。ゴール裏からFW出口(社2=駒大苫小牧)のパスを受け取ったFW人里。執念で放ったシュートは一度相手の足に当たりリバウンドするが、もう一度叩いたパックは混戦をすり抜けゴールへと吸い込まれた。「大事なところでしっかり働いてくれた(鈴木監督)」。人里の春以来になるこのゴールは、FWとして、主将として見せたプライドだった。


 「準備不足」。人里が試合後まず発した言葉だ。1ピリから拮抗(きっこう)した試合展開が続き、ゴール際で何度もチャンスを得るが、なかなか決まらない。均衡を破る一打は慶大に生まれた。0―1とリードを許した1ピリ。「スピードもフィジカルも負けていた(人里)」と、前日、早大相手に善戦し、勢いに乗っている慶大の堅い守りを崩すことは容易ではなかった。2ピリからはシュート数を3倍以上放ち積極的に攻撃を仕掛けるも、逆転のあと一打が出ずに試合は1―1の引き分けで終了した。

 慶大のシュート数27本に対し東洋大のシュート数は63本。この数字が、彼らのゴールに向かう強い気持ちを表していた。しかし、「シュート数ではなくてシュートの質を上げていかないと」とDF田中(国4=ロックリッジ・カナダ)は話す。幾度とあったチャンスでゴール枠外のシュートが多く、決め切れなかった点が課題として挙げられた。


 次戦から始まる中大、明大、早大との3戦は、強豪校との直接対決となる。守り、攻めのどちらも気を抜けない重要度の高い試合だが、人里を中心としたFWたちが東洋の意地を見せてくれるはずだ。


■コメント

・鈴木監督

1ピリの失点はアンラッキーな形ではあったが、全体的に押された展開だった。全体としてはスコアリングチャンスで決め切れなかったのが1番の原因。1ピリで良いスタートを切らなきゃいけなかった。(FWについて)気負いすぎて枠外のシュートが多かった。リバウンドがキーになるという話はしていたが、慶大の守りを崩せなかった。(メンタル面について)焦りはあったと思うが、最後までチャレンジしていた。(FW人里について)リーグ戦が始まって得点がなかったが、大事なところでしっかり働いてくれたと思う。(次戦に向けて)守りから良い攻めにつなげることを根気強く続けていきたい。ここからがもっと大切な試合なので、直接対決で勝つしかない。


・FW人里主将(社4=白樺学園)


準備不足。選手の中には「慶応だから」と気を抜いてた選手もいたと思うし、気持ちの面で準備ができてなかった。1ピリ終わってスタッフからアドバイスもらって気持ち切り替えることはできたが、そういう甘さが今日の結果になった。慶大が早大相手にすごくいい試合していたが、自分たちは大丈夫だろうという気持ちも少なくはあった。(FWの動きは)1ピリ全然ダメで、スピードもフィジカルも負けていた。スタッフに言われてやっとスイッチが入った。点数も取れてないしどちらかというとよくなかったと思う。チャンスはたくさんあったが、自分たちの決定力のなさが目立った。決め切れなかったところは自分たちの悪いところ。(3ピリ臨むときの気持ちは)誰ひとり負けるとは思ってなかったし、みんな気持ち出ていたし最後は東洋のプライドもって戦えたのかと思う。
(自身の同点ゴールについて)秋リーグ始まってからポイントもついてないしゴールも決めてなかったから、どうしてだろうと悩んでいた。誰よりもシュート打ってゴールにつながるようにと思ってやった。ゴール前混戦で、あんまりきれいなゴールにはならなかったが得点取れたことは今後の勢いになるかなと思った。(引き分けについて)勝ち負けあるスポーツなので勝てない試合ももちろんある。引き分けだったからといっていつまでも頭下げてられないのですぐ切り替えて。3日後すぐリーグ戦全勝してる中央との対戦あるし、気持ちの面で負けないようにしていきたい。


・DF田中(国4=ロックリッジ・カナダ)
慶大は前の試合で早大相手に引き分けして、すごく自信がついた試合になって、相手からすれば自分たちのプレーをすればチャンスがあるっていう自信があるままこの試合に臨んできたと思う。自分たちも前の試合で少し苦しんだ時間帯もあったりして、次につなげよう、レベルアップしようという意識はあったが、慶大の気持ちには少し負けていたのかなと思う。(先制点を決められて)ホッケーは点取りゲームなので、先に入れられただろうが先に入れるだろうが次に行かないといけないので、特にチームの中で焦りはなかったと思う。(FWの得点力について)シュート数からするとすごくシュートは打っていて、ゴールに向かうという姿勢は悪くはなかったと思うが、シュート数ではなくてシュートの質を上げていかないともっと強い相手と試合した時にもっと苦しむのではないかと思うので、そこをもう少し一人一人意識を持ちたい。もちろんシュートは決めにいかないといけないと思うので決めに行くという思いをもっと全面に持ってゴールにパットを運んでいくという姿勢を出していけたらもう少し点数にはつながっていくのかなと思う。(次の試合に向けての意気込み)勝つしかないので、やはりその1試合1試合大事にしてその中での自分のシフトだったり細かいところを大事にして次の試合も最初から気持ちを出していって、勝ちにいきたいと思う。


・FW山田(社3=埼玉栄)

1ピリの出だしは悪かったけれど、終始こっちのペースでやれていた。シュート数も多かったし、最後のフィニッシュの部分が悪かった。それが3ピリの最後の方までずるずるいってしまったと思う。(攻撃に焦りは)焦りはなかったです。絶対に自分達のプレーをしていれば最後にチャンスがくるということはみんなで声をかけ合っていた。もう少し早い時間に点が取れていたらなと思う。最後の最後に1点が取れたというのは逆に良かった点でもある。(チームでの自分の役割は)点を取れる選手はたくさんいる。その中で自分は体が強い方だと思っているので、しっかり(相手に)当たって走るのが大前提にある。その中でチャンスが来たらFWとして決めたい。(次節へ向けて)プレー自体は悪くなかった。中央、明治、早稲田と続くけれど、走って当たる僕たちのプレーをしたい。決め切れない場面はこれまでの試合でもたくさんあったので、FWで話し合って決めれるところを決めていけば、全然中央、明治にも勝てる。


TEXT=坂口こよみ PHOTO=玉置彩華、美浪健五、望月優希