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2016.10.12
ラクロス

[ラクロス]1部昇格の夢途絶える それでも“最高の世代”

29回関東学生ラクロスリーグ戦・2部Aブロック

10月8日(土) 江戸川区臨海球技場


得点を決めてグータッチする樋口と神野

8対8の同点になるとベンチも盛り上がった

2部残留が確定し、肩を落とす選手達

 

 リーグ戦最終戦は勝ち点で並ぶ東農大との一戦。AT神野(ラ4=府中東)、MF樋口(営4=紫野)が複数得点の活躍を見せるも、1012で惜敗。この瞬間リーグ戦3位が決定し、今季も2部残留となった。

 

 第1Qはお互いに均衡を保ちながらも、MF樋口、MF長澤(ラ3=府中東)、AT神野がショットを決め、3対2と1点リード。試合の流れが東農大に傾き始めたのは第2Qだった。AT神野が「自分たちが描いていたゲームプランではなかった。もっと得点で先行し、逃げ切る形で行こうと思っていた」と語るように、連続で得点を奪われると点差がじわじわと開き始め、5対8で3点ビハインドのまま試合を折り返す。迎えた第3Qは、今までチームを引っ張ってきた4年生が大爆発。AT小林(ラ4=西武台)、MF樋口、AT神野が3連続得点を決め一時は同点に追いつき、東洋大陣営からは歓声が沸き起こる。しかしその直後に2点を入れられ、2点ビハインドで最終第4Qを迎える。MF川名(ラ3=西武台)、MF宮澤(ラ4=黒磯)が得点を決めたが、直後に相手もショットを決めるので追いつくことができない。取られたら取り返しにくるのが相手の戦い方だった。試合終了のホイッスルが鳴ると、こみ上げる感情を抑えきれず選手は涙を流した。

 MF中村主将(ラ4=八戸西)は涙ながらに「みんなが楽しくラクロスをできる環境を作ろうと1年頑張ってきた」と今までを振り返る。身長165cmと小柄ながら、大きな愛でチームを引っ張った。ラクロス部OBのコーチ陣からは「最高の世代」、後輩からは「4年生が大好き」という声が立て続けに聞こえてきたのは、試合でも私生活でも、抜け目なく後輩達をリードしてきた結果だ。それがこの温かな言葉の中に隠れている。ゲームメーカーでもあるAT神野は「大学生活いろんな楽しみがある中で、ラクロスを選んだと思う。もっと真摯に楽しむ姿勢を持てば必ず結果はついてくる」と後輩にメッセージを送った。

 

 ラクロスのリーグ戦は6つの大学の総当たり戦。リーグ内で1位と2位のチームが、昇格をかけた入れ替え戦に進む。この試合が引き分け以上で2位が確定するため、1部との入れ替え戦の切符をつかむことができた。しかし、負ければ4年生には“引退”の2文字が見えてくる。その中で選手は勝つことだけを考え、雨の降るフィールドを果敢に駆け抜けた。次の主将候補であるMF川名は、「4年生にできる恩返しは、力をつけて来年のリーグ戦で1部に昇格すること」と前を向く。今、新チームがスタートを切った。来年こそ必ず彼らは、悔し涙ではなく、うれし涙を流す。


■コメント

・川村ヘッドコーチ

学生の幹部陣を主体に今年はチームづくりをするということで、コーチもどちらかというとアドバイザーに近い立ち位置で動いてきた。教え始めた今の4年生が2年生の時は、ふわふわしていた学年だったが、最後はしっかりとリーダーとしてチームを引っ張ってくれた。学生が自分たちで作り上げた最高のチーム。AT陣は今年はとても強かった。アタックポジションはエース級が揃い、他大学から意識されている選手の集まりだった。精神的にチームを引っ張る面でも優秀な代だったと思う。(中村主将について)体は小さいが、ハートはとても熱い。仲間からも信頼されていて、なおかつユーモアもあった。愛されるすばらしい主将だったと思う。

・中村主将(ラ4=八戸西)

今日は結果が全てだった。勝たなければならなかった。4年間を振り返ると、このメンバーでやれて最高だったという一言に尽きる。最高の世代だったとコーチからありがたい言葉をいただいて、これからの人生の自信にもなった。4年間ラクロスを通して学んだことは、技術だけではなくて他の部分もある。そこはこれから活かしていきたいと思う。(主将としての1年間を振り返ってみて)去年のチームを超えることを目標にしてやってきた。自分はそこまで上手なわけではなく、みんなが楽しくラクロスをやれるような環境を作ろうと思って1年間頑張ってきた。(後輩に伝えたいこと)後輩は特には心配もしていないので、今まで通りラクロスをしてくれれば勝てるかなと思います。同期には卒業旅行に行きましょう、ハワイあたりに行きたいなあと言いたいですね。

・神野(ラ4=府中東)

自分たちが描いていたゲームプラントは全然違かった。もっと得点で先行し、逃げ切る形でいこうと思っていた。自分達も得点は入っているが、それを相手が上回る試合展開だった。ペースアップできなかったし、ディフェンス的にも粘るべきところで粘れなかった。実力で劣っていたとは思わないが、想定の甘さや再現率の低さが結果になってしまったと思う。4年間を振り返ってみて、とても楽しかった。何よりも人に恵まれた。先輩後輩大好きな人がいっぱいいて、そういう人たちがいたから、ラクロスに対してのモチベーションがしんどい時期も続けてこれたので感謝している。同期は最初から志が高い代ではなくて、それぞれがラクロス楽しいなあぐらいで入ってきた人達だったので、お互いにラクロスのプレーに対して強く干渉することはなかったが、各々がチームのために自分がどういうプレイヤーになりたいかということを高く設定し、志を強く持って成長してこれたことが、周りの方から評価していただけた結果だと思うので誇りに思いたい。だが結局は結果なので、1部の舞台を後輩たちに残してあげられなかったのは自分たち4年生の責任。自分たちがプレーする舞台はもう残されていないが、これからは後輩たちに少しでも結果に繋がることを残していきたいと思う。(後輩へのメッセージ)結果を残したり、目標を達成したりすることは難しいことだということが今回分かったと思うので、目標に向かって頑張ってほしい。もっとラクロスを楽しんでくれれば、みんな上手になると思う。大学生活、いろんな楽しみがあるなかで、ラクロスをやりたいから選んで今この活動をやっていると思う。それに対してもっと真摯に楽しむ姿勢をもってやれば、いい結果は必ずついてくるので頑張ってほしい。

・川名(ラ3=西武台)

4年生は自分たちが1年生の頃から1番関わっている代で。いい意味で4年生は先輩感がなく、壁を無く接してくれた。私生活でもラクロス中でも3年生はみんな生意気だが、そんな態度をとっても笑って受け止めてくれる。試合中もそうで、感情的になってしまった時もなだめてくれた。でも、優しい部分だけではなく、プレーでは力強く頼りがいのある先輩達だった。俺らの代はみんな4年生のことが大好き。結果としてこの試合で4年生を最強の代にするために、1部に上がるために俺たちがもっと取り組むべきだった。まだまだ全体的に力が足りなかった。俺たちが4年生にできる恩返しは、力をつけて来年のリーグ戦で1部に昇格すること。これからは4年生のためにもしっかりと取り組み、来年はもっと強いチームにしたい。4年生はラクロス中ではお手本になるプレイヤーが多く、自主練習の時もラクロスについて教えてくれた。悩んでいるときにも声をかけてくれるなど、私生活でもラクロスでもいい先輩だった。自分たちはキャラが濃くて我が強い代だと思う。我が強く、自分を出しすぎて暴走してしまう部分があるので4年生を見習って、もっと周りをしっかりと見て、チームを最高学年としてまとめられる学年になりたい。自分たちがもっている我の強さに加えて、4年生の持っている優しさを見習っていきたい。


TEXT/PHOTO=菊池美玖