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第28回出雲全日本大学選抜駅伝競走
10月10日(月・祝) 出雲大社正面鳥居前〜出雲ドーム
総合9位 東洋大 2:14'25(45.1km)
1区8.0km 櫻岡駿 23'37(7位通過・区間7位)
2区5.8km 中村駆 17'34(10位通過・区間9位)
3区8.5km 服部弾馬 24'59(7位通過・区間3位)
4区6.2km 渡邉奏太 18'40(9位通過・区間12位)
5区6.4km 野村峻哉 18'34(9位通過・区間9位)
6区10.2km 山本采矢 31'01(9位・区間8位)
勢いよくスタートを切った櫻岡
第2中継所 中村駆(右)—服部
第3中継所 服部(左)—渡邊
第4中継所 渡邊(右)—野村
第5中継所 野村(左)—山本采
山本采は悔しさをにじませゴールした
待ちに待った駅伝シーズンが開幕した。初戦の出雲駅伝に挑んだ鉄紺軍団は序盤、先頭集団に遅れを取りじわじわと距離を広げられる。一時はエースの3区服部(済4=豊川)が猛追するも後続が勢いに乗れず、9位でフィニッシュ。全日本、箱根へと続く学生三大駅伝の幕開けは悔しさの残る結果となった。
「今年は育成と勝負の年」。レース前日、酒井監督は今年の抱負を掲げた。メンバーにはルーキー中村駆(済1=西京)、渡邉(済1=吉原工)の2人を起用した若手の存在感が光るフレッシュな布陣。しかし昨年4区区間賞の主力、口町(法4=市立川口)がエントリー外など決してベストメンバーとは言えない状態で出雲駅伝は幕を開けた。
序盤から先頭集団を争うハイレベルなレースが展開された。1区を任された櫻岡(済4=那須拓陽)は中盤、先頭集団に遅れをとると少し離れた5位集団でレースを進める。ラストスパートであと少し踏ん張れず、トップと14秒差の7位でタスキリレー。混戦になるかと思われたが、2区中村駆が前方の田村(青学大)に合わせようと粘るも失速。「自分の最低限のペースを刻むことで精一杯だった」と順位を3つ落とし、1分ほど差を広げられた10位でエースの服部(済4=豊川)に望みを託した。その服部は3km付近で区間新記録ペースを上回る勢いで次々と他大学を追い抜く快走。しかし出雲の強い向かい風が立ちはだかり、服部を要してまでもトップとの差は縮まることはなかった。
三大駅伝で最も距離の短い出雲駅伝はスピード感のあるレースが繰り広げられるため、前半の立ち回りがキーポイントとなってくる。後半に差し掛かってトップとの差は1分20秒。7位でタスキを受け取った4区渡邉には焦りが見えた。「最初をオーバーペースで入ってしまい、終盤きつくなって粘ることが出来なかった」と自身のテンポを見失う。続く5区野村(済3=鹿児島城西)、6区山本采(済4=滋賀学園)も同様、焦燥感からか力が入り後半の失速が目立った。後半で順位を2つ落とし総合9位でフィニッシュ。駅伝シーズンの初戦は厳しいスタートとなった。
酒井監督は「今日は底を見た」と辛口のコメント。監督就任後から三大駅伝では全て4位以内だっただけに悔しさも計り知れないだろう。今回の経験をプラスに捉え、目前に迫った全日本駅伝に向け今まで以上の危機感を持って挑む。初の全日本連覇へ、そして箱根駅伝3年振りの優勝に向けて。鉄紺軍団の戦いはまだ始まったばかりだ。
■コメント
・酒井監督
今までの三大駅伝は最低でも4位に入っていた。櫻岡で遅れを取ったが、まだ射程範囲だった。2区の中村でレースが壊れてしまって、3区の弾馬でも修正できなかった。それで4区以降はオーバーペースになってダメだった。(収穫というのは)経験を積めただけ。だから、この経験をプラスの方向に。後でああいうことがあったとか、悔しさがあったとかって考えて、それを力に変えられるようにしたい。今日はチームの底を見た。やるしかない。(次に向けて)危機感を持って、全日本は昨年勝ったからって楽観視してはいけない。昨年以上の巻き返しをしていかないとシード権さえ危ういと思う。ただ、鉄紺の走りはこんな簡単に諦める集団ではない。チーム作りをもう一度、鉄紺の走りを体現できるようにしていきたい。
・1区 櫻岡駿(済4=那須拓陽)
本当に申し訳ない気持ち。決めなければいけないところで引き離せなかった。(後続の選手へ向けて)自分がこういう結果になってしまい申し訳ない。力を出し切ってほしい。
・2区 中村駆(済1=西京)
(起用されたときは)自分は走るなら2区しかないと思っていたのでそこまでは想定通りだった。(調子は)動きも状態も良かったが走れなかった。(タスキをもらったときは)櫻岡さんが先頭近くで来ると思っていたのでそこは予定通りだった。先頭が見える位置だったので先頭に追いつこうと思って走っていたが、思うように追いつくことができなかった。前に青学大がいたのでそれに合わせて走ったが、どんどん差が開いてしまってそこからは自分の最低限のペースを刻むことでいっぱいいっぱいだった。(タスキを渡すときは)日本学生長距離界のトップが1区と3区にいたので、貰うときも渡すときも焦りはなかった。できるだけ差をつめて渡したかったが、広げて渡して縋るような形になってしまったのが申し訳ないと思う。(初めての三大駅伝だが)走るだけでなく勝負したかったが、ただ出るだけになってしまった。起用してくれた監督には感謝している。(後続にむけて)先頭と1分少しの差なので差をつめてつめて1つでも順位を上げてもらいたい。
・3区 服部弾馬(済4=豊川)
(今回のレース展開は)最初、風がある中で1km2分45秒という速いペースで入っていった。前に塩尻(順天大)選手がいたので付いていこうとしたが追い付けず、自分のレースができなった。そのことが今回区間賞を獲れなかった部分で、今回の敗因だと思う。(全日本に向けて)チーム全体としてもかなりこの結果を重く受け止めているので、またチーム一丸となって東洋らしい走りをできるように頑張っていきたい。
・4区 渡邉奏太(済1=吉原工)
前に何人かいて、追い付いて一緒に走ろうと思っていたが、追い付くことができずとても悔しい。(レース展開は)最初をオーバーペースで入ってしまい、終盤きつくなって粘ることができなかった。後半は自分の悪いところが出てしまった。(初の三大駅伝で)レース前、緊張やプレッシャーはあったが、気負わないでいこうと思っていた。初駅伝で沿道に人がたくさんいて、応援が力になったが、応援に応えられる走りができなくて残念。(後続の選手に向けて)上級生たちに頑張ってほしい。
・5区 野村峻哉(済3=鹿児島城西)
予想外の位置でタスキが回ってきたが、自分が主力にならないといけないし、3年生の中で一番練習を積めていた。前半突っ込んで後半少し落ちてしまったところがあった。(調子としては)前日まではしっかり動いていい形で来れたが、まだまだ力不足を感じる、プレッシャーに打ち勝てないメンタルが課題。4区の渡邉が(身体が思うように)動いていないと言っていたので最後はしっかり笑顔でタスキを受け取ろうと思った。チーム的にもレベルが上がっていて自分も出れるか出れないかの瀬戸際にいる。今日使って頂いたが、結果を残せなかったのが残念。出られなかった選手に申し訳ない気持ちでいっぱい。(全日本へ向けて)今回思うように走れなかったので全日本は絶対優勝する。
・6区 山本采矢(済4=滋賀学園)
(起用されて)びっくりした。(タスキをもらったときは)しっかり前を追わなければいけないと思っていた。最初から思い切って入り、前を追える位置にいこうと思っていたが思っていた以上に焦っていたのか速く入りすぎてしまった。後半全く動かなくなった。(結果について)これからしっかりやり直さないと大変だと思った。課題はチーム全体的に後半の失速が目立ったのでそこをしっかり修正しないと全日本では距離も伸びるので、距離が伸びたときにもっと大きな差になってしまう。そこを直していかなければいけない。(今後は)全日本では連覇を目指して頑張っていきたい。
TEXT=大谷達也 PHOTO=伊藤空夢、福山知晃、小野由佳莉、藤井圭、大谷達也、菅野晋太郎