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2016.10.25
射撃

[射撃]下級生が奮闘!新チームに期待がかかる

文部科学大臣賞争奪

第63回全日本学生ライフル射撃選手権大会

兼 第29回全日本女子学生ライフル射撃選手権大会

10月20日(木)~23日(日) 埼玉県長瀞総合射撃場


◆男子団体総合

4位 15pt


◆男子エアライフル10m立射60発

10位 須永 611.5点

14位 二木 609.8点

15位 井上 609.4点

22位 山本拓 607.8点

33位 砥綿 604.0点

35位 浅見 603.8点

51位 西村 598.0点

57位 永井 597.1点

71位 小田切 592.5点

118位 山本達 582.8点

172位 亀井 566.1点

173位 前田 565.0点

団体(井上、二木、山本拓)  2位 1827.0点


◆男子エアピストル10m立射60発

6位 高橋 546点

9位 山本拓 525点

11位 井上 517点


◆男子ライフル50m三姿勢120発

16位 砥綿 1125点

20位 浅見 1119点

32位 二木 1112点

37位 小田切 1104点

団体(二木、浅見、小田切) 5位 3335点


◆男子ライフル50m伏射60発

14位 小田切 605.8点

31位 浅見 601.0点

32位 二木 600.9点

34位 砥綿 600.4点

54位 西村 595.5点

86位 前田 576.1点

団体(二木、浅見、小田切) 5位 1807.7点


◆女子エアライフル10m立射40発

39位 吉本 400.1点

48位 岩松 398.6点

67位 丸山 393.9点

78位 山下 391.7点

90位 江頭 389.1点

日比 DSQ


◆女子ライフル50m伏射60発

26位 丸山 554.0点




高橋は強豪校相手に動じず、堂々の6位入賞


エースとして、主将として、チームを引っ張ってきた二木


来季さらなる飛躍を誓う東洋大学射撃部


全日本学生選手権(以下、インカレ)の最終日、4日目は男子ライフル三姿勢120発、エアピストル立射60発にそれぞれ3選手が出場。ファイナル進出ならずも、下級生は経験値が上がった大会となり、笑顔で4年生の門出を祝福した。

魔物が潜んでいるーーー巷(ちまた)で耳にするこの言葉。山奥の長瀞射撃場に襲いかかってきた。「インカレという舞台に力みすぎてしまった」と二木主将(法4=金沢辰巳丘)は何度も構えの調整をしていた。公言していた“インカレ優勝”のプレッシャーからか、「心臓のコントロールができなかった」という。数多くの大会で鍛え上げてきた強靭な体幹を、“魔物”によってむしばまれたエース。「外した時の焦りに対処できず、自分の射撃ができなかった」と“引退試合”に花を添えられず、唇を噛みしめた。序盤の失弾が響き、予選で去り無念にもインカレの幕を閉じた。
これまで背中でチームを引っ張ってきた主将を小山コーチは「二木はキャプテンとして良く頑張ってくれた」とねぎらった。唯一の同期である副将の靏田(法4=大宰府)と二人三脚で、最高学年の役目を全うした。コーチから見る2人は、「(二木は)大人しく寡黙だが、しっかり芯がある」「(靏田は)運営の元で尽力して、今の時代に合ったチーム作りをしてくれた」そして、「(2人は)優秀な4年生だった」と目を細めて褒め称えた。
二木から主将のバトンを受けたのは、急成長を遂げている小田切(法3=甲府城西)だ。「不安だが、楽しみでもある」と胸を躍らせている。新主将に任命した理由に、「コツコツ頑張ることができる。部員のお手本になってほしい」とコーチの期待が込められている。二木も「勉強しながら学び、人とのつながりを増やすことで、(小田切の)射撃を向上してほしい」と控えめにエールを送った。
2年生の中心核を担っている高橋(ラ2=秋田中央)はピストル競技で6位入賞を果たした。「当てないと、という気持ちが強く、姿勢を崩してしまった」と表彰台に届かなかった敗因を分析した。この課題を克服し、2週間後の新人戦で優勝を勝ち取る。
「新体制になり、コミュニケーションをとり団結力を高めたい」と小田切新主将は意気込んだ。現3年生の8人で新チームを確立させていく上で、意見をまとめる役目の覚悟が強い眼差しに表れていた。「(3年生は)非常に良い素質を持っている」と靏田も太鼓判を押している。来季でも“インカレ優勝”の目標は変えず、個性豊かな新4年生が試行錯誤しなが後輩を含め全員で、来年開催の大阪能勢射撃場に東洋大学の校歌を鳴り響かせる。


■コメント
・小山コーチ
一年を通して見ると、キャプテンの二木を中心にチームをまとめてくれた。結果としては残念だったが、二木はキャプテンとして良く頑張ってくれた。インカレという大舞台で順位が掛かったときに、1人だけに頼ってしまったチーム全体の弱さがあった。それで二木自身も空回りしてしまったのだと思う。(今年の4年生は)近年稀に見る優秀な4年生だった。学業面でも授業をしっかり出たり、部員の生活指導もしっかり行なっていた。今まであった悪い部分を取り除いてくれた素晴らしい代だった。(それぞれの個性は)二木はすごい大人しいが、芯がある。寡黙だけど引っ張れる、素敵なキャプテン。鶴田は運営の元になるところに尽力して、今の時代に合ったより良いチームをつくったことが大きな功績だと思っている。2人のおかげで底上げという面に関しては今年は成長したと思う。(小田切を新主将に選んだ理由は)小田切はまだタイトルの無い選手だが、1人でコツコツ頑張ることができる。それで力を付けてきた。部員のお手本になってほしいという意味で私が推薦した。そこは二木に似ている。(副将の砥綿は)点数で引っ張る力があるが、色んな役職を兼務しているので、ある程度のびのびとやってほしい。そうやって引っ張るのが彼の持ち味だと思うので。(課題は)二木に負担を掛けてしまったこと。自主性が足りなかった。この人がいるから大丈夫だろうという思いがあったから、1人に背負わせてしまった。次期幹部のメンバーは今回の結果を忘れないように、1人1人が弱点を克服していく方針でやっていきたい。
 
・二木(法4=金沢辰巳丘)
インカレという舞台に力み過ぎて、自分の実力に自信過剰になりすぎてしまった。外した時の焦りが対処できなくて、終始自分の射撃ができなかったことが点数につながらなかった原因だと思う。(すごく時間をかけて撃っていたが)ずーっと悩みながら、どうしたら当たるのかというのを頭の引き出しから探っていたが、どうしても心臓というのはコントロールできなかった。難しかった。(チーム全体としては)エアライフルはとても良かったが、ライフルの点数が大幅に足りない。来年の小田切にはライフルの強化をメインにして底上げしていってほしい。(新主将の小田切に期待していることは)後期になって点数を伸ばしてきて、すごく自信もついていると思う。来年は色々自分で勉強しながら学んで、色んな人とのつながりを増やしてほしい。そうやって自分の射撃を向上していってほしい。(来年のチームに期待することは)4年生の人数が多くなるので、自分たち二人とは違った体制でできる。色んなアイデアが8人から出ると思う。より良い部活になるように、とても期待している。
 
・靏田(法4=大宰府)
(チームの結果について)非常に悔いが残る。それに尽きる。ただ、その中でも良かったことがあって、3年生の目の色が変わった。次を見せてくれた。自分らのバトンをきちんと受け取って来年に向けたビジョンを見せてくれた。結果的には悔しいが、何か残せたのではないか。(来年の主将、副将に期待することは)非常にみんないい素質を持っている。射撃の腕一つ取っても素晴らしい。そしてリーダーシップやマネジメント能力に関しても素養を持っている。この歯車をいかに合わせられるかが課題だと思う。それが重なったときには歴代の東洋の中でも強い代になるのではないかと期待している。


・小田切(法3=甲府城西)
インカレ全体を振り返って、SBは今までより点数が落ち、順位も下がった。悔しい結果になった。今年最後の試合で、こうしようと考えるのではなく、残っている1〜3年は来年もあるので、今回出た課題をしっかり克服することを目標に練習していく。新しい世代になり、部員をまとめ、団結力を高める。練習の中でコミュニケーションをとる。技術面や精神面で競技に関わる部分をシェアしていく。3×40では今までの大会で1番良い点数を出せた。まだまとまっていないところがたくさんあるので、今後の練習や合宿で、整えていきたい。(主将に任命されて)不安な部分が多いが、3年で話していくうちに、来年どうなるのか楽しみでもある。人数が多い3年なので、いろんな意見が出てきて、それをまとめて方針が出来てきた。そこからまた肉詰めをしていきたい。全体をみて、意見を聞いて、そこで判断を出すことが、これまでやってきていないことなので不安である。(1年生は)射撃に対するやる気と仕事もこなしてくれる。来年学年が上がっても不安はない。(2年生は)全体がまだ団結できていない。1人1人自分の意見を出し合って、思いをぶつけ合うことが足りてないことが課題。(3年生は)役職が発表され、それぞれポジションが決まったので、連携をとることでチームを導いていけるのではと思う。各代掲げていたインカレ優勝は変えることなく、春秋ともに1位を狙っていく。


・高橋(ラ2=秋田中央)
今日の試合は練習と違ってあまり良い射撃が出来なかった。試合慣れをしていないわけではないが、当てなきゃという気持ちが強くて姿勢が崩れてしまい、点数もいつもより大幅に下げてしまった。でもそれにより練習と試合の違いをなんとなく掴めた。(これからの課題は)その違いを正確に掴み、練習と試合で同じように理想の射撃をできるようにしていくこと。新人戦前にもう1つ試合があるからそこで調節をして、新人戦までには課題を克服したい。

TEXT=星川莉那 PHOTO=中村緋那子、伊藤空夢