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秩父宮賜杯 第48回全日本大学駅伝対校選手権大会
11月6日(日)熱田神宮西門前~伊勢神宮内宮宇治橋前
総合6位 東洋大 総合タイム 5:19'49(106.8km)
1区 (14.6km) 服部弾馬 43'34(1位通過・区間1位)
2区 (13.2km) 櫻岡駿 39'14(6位通過・区間11位)
3区 (9.5km) 相澤晃 27'40(4位通過・区間4位)
4区 (14.0km )小笹椋 42'03(7位通過・区間9位)
5区 (11.6km) 渡邉奏太 35'40(5位通過・区間7位)
6区 (12.3km)竹下和輝 36'50(7位通過・区間10位)
7区 (11.9km)小早川健 35'34(6位通過・区間10位)
8区 (19.7km) 山本修二 59'14(6位・区間4位)
第1中継所 1区服部(奥)-2区櫻岡
第2中継所 2区櫻岡(左)-3区相澤
第3中継所 4区小笹
第4中継所 5区渡邉
第5中継所 5区渡邉(左)-6区竹下
第6中継所 6区竹下(左)-7区小早川
第7中継所 7区小早川(左)-8区山本修
箱根でのリベンジを誓った
前回王者として挑んだ全日本駅伝。1区服部(済4=豊川)が区間賞で滑り出すが、後続が波に乗れず。一時はシード圏外に順位を落とした。総合6位でシード権は死守するも、チームは悔しさを噛みしめた。
昨年の劇的な初優勝とは一転、王者を待ち構えていたのはシード権争いという波乱の展開だった。
1区服部は序盤先頭集団に身を置くと、中間点の給水ポイントでギアチェンジ。有力選手たちを次々と振るい落とし、わずかに付いてきた残りの選手も「冷静に切り替えることができた」とラスト1キロで引き離す。ライバルの青学大にも30秒差を付けるプラン通りの区間賞を獲得した。しかし、続く2区櫻岡(済4=那須拓陽)は7km過ぎに1区2位の早大と後方から追ってきた青学大に追い付かれると6位に順位を落とす。3区相澤(済1=学法石川)が4位に順位を押し上げるも、6区竹下(済3=東農大三)の時点ではシード圏外の7位。7区小早川(済3=武蔵越生)が1人を抜き6位に浮上すると、アンカー山本修(済2=遊学館)が粘り切りそのままフィニッシュ。上位6校に与えられるシード権は死守したが、連覇達成とはならなかった。
チームの誰しもシード権獲得を目的に戦ったはずもなく、レース後は全員悔しさを口にした。酒井監督は今回、1区と2区に主力である4年生を連続して配置。先月の出雲駅伝同様、先行逃げ切りを図ったが、またしても思惑通りとはならなかった。1区服部の区間賞は「予定通り」も、2区櫻岡の走りには「不甲斐ない」と評価。櫻岡本人も「体と心がうまく噛み合わなかった」と話し、連覇へのプレッシャーが走りを乱した。3区以降は全員、全日本駅伝初出場の選手たち。3区相澤が巻き返しの兆しを見せるも、4区小笹(済2=埼玉栄)が続けなかった。初の三大駅伝となった6区竹下と7区小早川の3年生コンビも、区間10位と実力を発揮できず。苦いデビュー戦となった。
その中で監督が収穫と捉えたのが3、5、8区。3区相澤と5区渡邉(済1=吉原工)はいずれも1年生ながら順位を上げる働きを見せた。最終8区を担った山本修も最長区間で各校の主力が集う中、区間4位と好走。ゴール手前では5位が見える位置まで差し迫った。
レース後、監督は「走ってのミスもそうだが、準備の段階でミスがあったら負ける」と振り返った。昨年から主力として活躍してきた口町(法4=市立川口)が、故障の影響により出雲駅伝、全日本駅伝の2戦ともエントリー無し。復調が待たれる存在だが、エントリー時には「出そうと思えば出せた。しかし、実業団でも続ける意思のある選手なので無理をさせてはいけない。箱根には間に合います」と話した。
大会終了後、チーム関係者への結果報告会では副将として服部が挨拶。溢れんばかりの涙をこらえながら「箱根駅伝では優勝を目指します」と声を張り上げた。彼だけではない。山本修も「自分も中心となってチームを変えていきたい」と2年生ながら宣言。3年生の竹下も「とにかく今は挑戦する気持ちで頑張りたい」と語る。二つの大会を終えた今、チームは危機感を覚えた。「死に物狂いで練習していく」と監督。面目を取り戻すには箱根駅伝での王座奪還しかない。
もう負けられない。鉄紺軍団はやる気だ。
◼︎コメント
・酒井監督
連覇を目標にやってきたのでシード権は取れたがそれが目的ではなかったので悔しい。1区区間賞は予定通りで、序盤から出るのを想定していた。2区で流れが崩れてしまったのが痛かった。出雲駅伝でも2区が流れをつかめなかった。3区で立て直しの傾向はあったが、また4区で悪くなった。5、6、7区も上位でレースを進めないと優勝戦線には残れない。そこが区間10位とかでは厳しい。(収穫は)弾馬が予定通り走れたこと。3区相澤や、5区の奏太も出雲より良かったこと。修二も主要区間で勝負できた。でも、いずれにせよどの選手も100点ではない。箱根の長い距離にも対応できるようにしていきたい。(4年生の調子は)采矢がコンディションが良くなくて外した。自己管理能力が課題。櫻岡も主要区間で後退してしまうのは不甲斐ない。口町がいないのは響いた。走っていない人のことを言っても仕方ないが、居れば変わったかな。箱根には間に合うのでしっかり準備させたい。走ってのミスもそうだが、準備の段階でミスがあったら負ける。箱根に向けて死に物狂いで練習していく。
・1区 服部弾馬(済4=豊川)
青学大との差は30秒だったので、1分ぐらい離せたら良かったと思ったが、最低限のラインで4年生としての走りはできたと思う。(レース展開は)中間点の給水のポイントで一度仕掛けて追い付かれたらまたラスト勝負で挑むプランでいたので、プラン通りにできた。昨日も兄から「追い付かれても気にせずにラスト勝負に持ち込めば大丈夫。まだラストがあるんだから」と言われていたので、そのレースプランが頭に入っていて、冷静に切り替えることができた。(大会を終えて)優勝を狙っていたチームなので6位という結果はすごく恥ずかしいと思っている。これから一人一人がレースの内容など駄目だったところを考えて反省点を見つけていかないと箱根では優勝争いには戻れないと思う。(箱根へ向けて)個人としては今回は区間賞を取ってまずまずの走りができた。これから10000mも走るので箱根に向けて上手く走りたいと思う。チームとしてはミーティングなどをして今回のレースはどうだったのかというのを考えてもう1回チームをまとめていきたい。気持ちの面で負けている部分があったと思うし改善点は沢山あると思うのでそういったところを直していけるチームにしていきたい。
・2区 櫻岡駿(済4=那須拓陽)
7km辺りから苦しかった。とにかく自分のレースプランを遂行して、責任を果たすつもりだった。それができなくて申し訳ない。体と心がうまく噛み合わなかった。練習してきたことを出せなかった。(監督からは)後ろから突っ込んでこられても最後に突き放すように言われていた。最初の1kmは自然に入れた。
・3区 相澤晃(済1=学法石川)
(レース展開は)ライバルとしていた青学大とは少し離れていたので、自分の区間で詰められればいいと思っていた。最初はよかったが、そこから集団の遅いペースでレースを進めてしまい、リズムがつかめず、そのままズルズル走ってしまった。途中、自分で前に行ったがうまくリズムに乗れずにそのまま差を詰めることができなかった。(初の三大駅伝となったが)走ることのできない4年生がいる中で、1年生である自分が走らせてもらった。初めてではあったが、結果を残さなければいけないと思い、しっかり集中してレースに臨めたと思う。しかしまだまだ力が足りなかったので、もっと練習しなければならないと思った。(箱根に向けて)今回いい経験ができたので、次こそは他大学に負けないようしっかり走り込んでいきたい。また、箱根では今回走った距離の2倍以上を走らなければならないので、しっかりスタミナを付けていきたい。
・4区 小笹椋(済2=埼玉栄)
納得のいく走りができずチームに迷惑をかけてしまって申し訳ない。前半から速く入るという自分の理想の走りをしようとして前半は速く入れたが、そこからリズムが保てずどんどん落ちてしまい上がっていけなかったのが反省点。(初めての全日本だったが)走る前から自信はあったので上手く走ろうとしたが自分の力を発揮できなかった。せっかく全日本を経験させてもらったが迷惑をかけてしまって申し訳ない。(4区に決まったときは)練習もできていたので自信はあった。ここでしっかり走って箱根でも重要な区間を任せてもらえるような走りをしたかった。
・5区 渡邉奏太(済1=吉原工)
出雲で失敗したレースをしてしまったので、今回は最初は飛ばしすぎないように力まないように注意して走った。1週間前もいい練習ができて自分としてはいい調子で迎えられた。中央学院、駒沢と追いつきたかったが後半持たなかったとこが反省点。
・6区 竹下和輝(済3=東農大三)
野村(済3=鹿児島城西)から代わったときは自分も調子が上がっていて、準備もしっかりしていたので驚きではなかった。前半早めに前にいた中央学大と駒大に追いつきたいと思っていたが、なかなか追いつけず、じわじわとしか追いつけなかった。後ろから来る焦りもあって後半思うように伸びなかった。(7区の小早川とは)3年生は箱根駅伝の経験もないので自分たち3年生がチームを盛り上げようと話していた。(箱根駅伝に向けて)今年に入ってあまりいい流れができていないので、箱根では優勝狙ってこれから練習をしっかり積まないといけない。とにかく今は挑戦する気持ちで頑張りたい。
・7区 小早川健(済3=武蔵越生)
自分の役目は区間のトップでタスキをつなぐことだったが、自分の走りができなくて悔しい。(自身の初三大駅伝だったが)1年生も初駅伝だし、2年生も主要区間を走っているので自分もデビュー戦でチームに貢献できる機会だった。自分の大学駅伝のスタートは切れたが、下級生が頑張っているので臆することなく、恥じない走りを目指していた。(レースを振り返って)タスキをもらったときに山学大と東海大の選手が前にいて、そこまで順位を上げたかったので前半はしっかり入った。途中、山学大に迫ったときに追い付かず下がってしまった。そこでしっかり勝って、順位を上げるべきだった。(箱根駅伝に向けて)自分が目標としてきた駅伝。今回悔しい思いをした分、しっかり区間賞でチームの優勝に貢献する走りがしたい。
・8区 山本修二(済2=遊学館)
(起用されたときは)1区か8区どっちかだと思っていたので最長区間を任されたときは自分がやるしかないと思っていた。どんな順位だろうと始めから攻めていく走りをしようと決めていた。始めから突っ込んでいくと考えていたので10kmの通過を29分20秒では通過したいと思っていた。そこは29分17秒で通過できたので始めの10kmまでの流れは良かったと思う。そこからの後半は全然前を追うことができなくて、前との差を詰めることはできたが最後抜き切ることができなかったと思う。アンカーということで強い選手が集まってるところで区間3位と4位の差が1分以上あるので力負けしてると思う。(服部)弾馬さんや相澤以外のメンバーは戦えてないと思う。あと箱根までは2ヵ月しかないのでチームを立て直さないといけないので、自分も中心となってチームを変えていきたいと思う。
TEXT=伊藤空夢 PHOTO=畑中祥江、伊藤空夢、小賀坂龍馬、吉川実里、大谷達也、福山知晃、星川莉那、青池藤吾