Article

記事


2017.03.25
その他

[特別企画]パラサイクル・タンデムロードレースの取材を行いました

第11回明治神宮外苑大学クリテリウム

3月12日 明治神宮外苑特設コース

手前からニュージーランド、マレーシア、日本と国際色豊かなレースとなった

 大城竜之・高橋仁ペアが2位表彰台を獲得した

 パラサイクリング・タンデムロードレースという競技をご存じだろうか。タンデムバイクという二人乗り自転車を用いたパラスポーツであり、後ろで視覚障がいの選手が漕ぎ進みながら前の健常者が操舵して二人三脚で行われる自転車競技である。国内各地で他のパラサイクリング競技と共にレースが行われているが、まだ大会は少ない。特にパラリンピックに出るには国際自転車競技連合(以下UCI)が規定した国際大会に参戦しなければならず、海外に出向いてUCIポイントを取得せざるを得なかった。そのため、莫大な参戦費用が掛かりパラ競技者への負担が厳しかった。

 この現状を打破すべく東京都の補助金を元に、明治神宮外苑で行われていた第11回明治神宮外苑大学クリテリウムの共催レースとして日本初の健常者と視覚障害者が共に走るUCIパラサイクリング国際ポイント対象のタンデム・ロードレース大会が行われた。

 レースには日本人チームの3チームの他、マレーシアのナショナルチームが2チーム、ニュージーランドから1チームの6チームが参戦。序盤からマレーシアの2チームがレースを引っ張り続けた一方、日本人チームも必死に食らいついた。その結果、大城竜之・高橋仁ペアが2位表彰台を獲得するなど、レースは大盛況に終わった。

 今回のロードレースに参加した選手の中で、柳川春己選手という方がいる。柳川選手は、1996年に行われたアトランタパラリンピックで視覚障がい者マラソンで金メダルを獲得。今ではトライアスロンや自転車競技に参戦するなど、まさにパラリンピアンではレジェンドと呼ばれる程の実績を持つ選手だ。「アピールしたい」と、今も自らと同じように障がいに立ち向かっているほかの視覚障がい者に勇気づけるべくレースに取り組んでいる。今回のレースで他の国際大会への出場の権利が生まれたので「視野が広がった」とこれからも生涯現役で頑張っていくそうだ。

 今後もこの取り組みは続けられ、来年開催されるのであればアジア圏の他のパラ競技者が参戦しやすくなりさらなる発展が見込めるだろう。今後もこの取り組みに注視していきたい。

TEXT/PHOTO=青池藤吾