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2017.05.15
サッカー

[サッカー]桐蔭大をシャットアウト 風格漂う主将・伊藤の存在感

第91回関東大学サッカーリーグ戦 1部リーグ(前期)

第5節 5月13日(土) 千葉県総合スポーツセンター東総運動場

東洋大 1-0 桐蔭大


初の完封に喜びを分かち合う


試合後にガッツポーズを見せた伊藤


 「伊藤が陰のMVPだった」(古川監督)。決勝点を挙げた坂元(社3=前橋育英)にスポットが当たりがちだが、この試合忘れてはいけないのがGK伊藤主将(国4=柏U-18)の活躍だ。雨中の激戦を制した裏には、最後方からチームを支える主将の姿があった。

 試合前から強い雨風が吹きつけるピッチのコンディションは最悪と言っていいほど水気を多く含んでいた。水気を含んだピッチでは何気ないゴールキックやクリアボールがスリップしてゴール前に転がってくる危険もある。そのようなピッチ状況でも伊藤は90分間常に集中して試合に入っていた。相手の大型FWへのボールにはディフェンス陣へ厳しい対処を求め、相手が裏へのロングボールを多用してくると見るや「ラインを下げずに強気にいこう」と臆することなく立ち向かった。どんなに些細なことだとしても、試合の全体を見ることができるGKからのコーチングは選手にとって意味のある情報となるのだ。

 0-0のまま迎えた後半10分には、右サイドからのクロスにフリーでボールを持った相手と1対1になるも、最後までボールから目を離さず、シュートを胸に当てて阻止。その後も桐蔭大に押し込まれる時間が続くものの、再三の好セーブでゴールラインを割らせなかった。この時間帯について伊藤は「練習通りに落ち着いて対処できた」とディフェンス陣と連携してシュートコースを限定できたことに満足。偶然のセーブにも見られるプレーの数々は、綿密な準備があってのものだった。苦しい時間を耐え抜くと、後半30分に坂元が待望の先制点を決め、そのまま時間は経過しクリーンシート達成。今季初めて無失点で試合を終えた。

 前節の敗戦後は「みんな1度落ちた部分はあった」と思いもよらぬ逆転負けにチーム全体が苦しむ時間もあったが、主将である伊藤を中心に、切り替えて1週間練習に取り組んできた。無失点で終えたことに関しても「入りも悪くなくて、いい立て直しができた」と一定の満足感を表した。混戦模様のリーグ戦を抜け出すためには、「次の試合に勝って連勝すること」と初の連勝へ意欲をのぞかせた伊藤。今日の無失点勝利を自信に変え、ここからの巻き返しを誓う。


■コメント

伊藤主将(国4=柏U-18)

(ピッチコンディションの影響は)雨がひどくてなかなかボールがのびてくるので、バウンドには注意していた。練習から意識していたことがしっかりできて、事故的なミスも無かったのでよかった。(後半押し込まれる時間があったが)ディフェンスがファーを切って自分がニアを止めるという連携がうまく出来ていた。ボールが全部ニアに来たので、落ち着いて対処できたと思う。練習通りって感じですね。(前節からの立て直しは)逆転負けでみんな1度落ちた部分はあったと思うけれど、しっかり練習から切り替えてやっていこうと声をかけていた。今日の入りも悪くなくていい立て直しができたんじゃないかと思う。(ディフェンス陣へのコーチングは)今日の場合だと相手のFWに大きい選手がいたので、そこへのロングボールの対処は厳しく言った。全体的にロングボールが多かったので、ビビってラインを下げずに強気にいこうと指示を出した。(次節へ向けて)まだ連勝できていないので、連勝して一つでも順位を上げれるようにしたい。


TEXT=美浪健五 PHOTO=美浪健五、土橋岳