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2017.05.23
硬式野球

[硬式野球]エース飯田、12季ぶりVに花添える4勝目

平成29年度東都大学野球春季リーグ戦

5月23日(火)神宮球場

◯東洋大10-1日大

(イニングスコア)

1回戦










日 大



東洋大10


(東洋大)

○飯田(4勝1敗)―西川


・打撃成績

打順                    
守備
名前




(中)
竹原(法3=二松学舎大付)
(左)古田(法4=天理)

(三)田中将也(営4=帝京)

宇佐川(営4=済美)
(二)中川(法3=PL学園)

走二蛭田(法4=平塚学園)
(一)佐藤(法2=聖光学院)
(右)宝楽(営4=PL学園)

末包(営3=高松商)

納(総1=智弁学園)
(捕)西川(営4=浦和学院)

(指)杉本(営1=中京大中京)

打指若原(営4=愛工大名電)
(遊)小川(法1=霞ヶ浦)

打遊津田(総2=浦和学院)




331310


・投球成績

名前


球数

四死球


○飯田(営4=常総学院)
33
11240


日大に雪辱を晴らした飯田


試合後の会見で笑顔を見せる高橋監督


第1試合の亜大対国学大戦で亜大が勝ち点を挙げたため、勝率の差で東洋大の12季ぶり17度目の優勝が決まった。優勝が確定し、迎えた日大1回戦。初回から連打と四球、相手の失策など打者一巡の猛攻で一挙6点を取る。3回には竹原(法3=二松学舎大付)と古田(法4=天理)の2者連続本塁打で相手を突き放す。先発の飯田(営4=常総学院)は終始安定感のある投球を見せ、無四球4安打完投で自身4連勝を飾った。


 平常心を保ちながらの投球だった。「あくまでも日大戦に勝つことを念頭に戦った」というこの試合。4回まで三者凡退で片づけ、安打を許さなかった。完封を意識して投げ続けたが、「最後は自分の力不足。出塁させた自分の責任」と、最終回に味方の失策で失点。それでも、持ち味のテンポの良さや制球力が冴え、完投した試合で最小の112球を投げ切った。

 昨秋の日大戦。優勝決定戦となった大切なカードで、飯田は全試合に中継ぎで登板。1回戦では、終盤に登板。勝利目前で同点の適時打を打たれ、チームの優勝が消えた。「せめて勝ち点を」と意気込んだ3回戦でも、日大・上川畑に満塁本塁打を浴びた。試合後、誰も声をかけられないほどひどく落ち込み、目が真っ赤になった。過去を振り返れば「正直怖いなと思うこともありましたよ。いいイメージを持つことができずにいたこともありました」。

 それだから彼は右腕を振り続けた。副将の田中将也(営4=帝京)は語る。「飯田は誰よりも練習している。1年生の頃にグラウンドで黙々と走り込んでいる人がいる、と思ったら飯田だった。やっぱりそうだなって思いましたよ。でも当時は誰にも見せたがらなかった。今でも練習量は一番。ただ昔と比べて変わったのは、その姿を人に見せるようになったこと。姿勢で引っ張るという主将の自覚が芽生えたんでしょうね」。練習が根拠。だから恐れはなかった。「自分がこれまでやってきたことを信じた。優勝を果たせたことも大きかった」と、優勝が確定したことが気のゆるみではなく、最大の味方になっていた。


 今日の試合をスタンドで見守った高校時代の監督・佐々木力さんは「本当に責任感の強い子。高校時代も本当はエースで主将を任せようと思ったほど。彼の責任感が伝統あるチームを優勝へ導いたのだと思う」と目を細めた。高橋監督も「飯田がいるからこその優勝。気持ちを切らさずに投げてくれことが大きい。当時2部でもうちに入ってくれたから感謝です」とエースを褒めちぎった。

 優勝が決まっても「日本一に挑戦するためには2連勝することが必要」と目先の勝利を忘れない。明日勝ち点を挙げ、気持ちよく指揮官を宙に舞わせる。


◾︎コメント

・高橋監督

3年間苦労した甲斐があった。いい経験をしたと思うよ。いろんなグラウンドで戦った3年間は無駄じゃなかったね。

(優勝において)亜大からの勝ち点が大きかったんじゃないかな。国学大から本塁打2本で逆転できたこともびっくりだよ。それでも飯田が気持ちを切らさずに投げてくれたことが大きい。飯田がとにかくよかったよね。2011年は(鈴木)大地がいたから。今回は、エースの飯田と4番の中川がよかった。中川はリーグ戦でどんどん成長していたもの。小川も良くて各学年がつながって頑張ってくれたね。主将、エース、4番がいなきゃチームは成り立ちませんから。

・飯田(営4=常総学院)

新チームが始まって、いいチームを目指してやってきた。昨秋自分の責任で優勝を逃してしまった。先輩方の分も、と思っていたので優勝できてよかったです。中大戦で2連敗して、次のカードまでの4日間は原点に返って1日1日を大切に練習した。亜大戦では一戦必勝できたことが大きかったと思います。

自分たちの力で勝とう、優勝しようと話していたので日大戦に集中していた。

(今感謝したい人は)メンバー外。自分たちが使ったグラウンドを整備したり毎試合スタンドで声を出してくれたりしている。彼らがいなければメンバーの僕たちもいない。本当に感謝したい。

・西川(営4=浦和学院)

 優勝が決まったことを意識せず、勝つことだけを考えて戦いました。日大は足を使ってくるチーム。盗塁を刺したりと、足でかき回されないようにしたいと思っていました。(完封した飯田について)今の飯田ならあれくらいの投球は出来ると思う。いい形で全日本に出られるように、明日勝利したい。


・田中将也(営4=帝京)

去年自分のミスから優勝を逃して本当に悔しかったし先輩方にも申し訳ない気持ちだった。その悔しさをバネに今までやってきたので本当に嬉しい。優勝できて先輩方に借りを返すことができたと思う。去年ミスをしてチームが負けた直後はすごくつらくて眠れないぐらいだったが、周りのチームメイトに支えられながらここまでやってこれたので感謝している。笹川さん(H28年度卒)も「来年この負けを生かしてくれれば自分達の後悔はない。」と言って下さっていて、今回優勝の報告を先輩方にできることが本当に嬉しい。

リーグ戦を通して印象に残ってる試合は中大に連敗して向かえた亜大戦。連敗して自分達の実力不足を実感し、そこからチーム全体で積極的に声を出して雰囲気を大事に試合をするようにしたことで結果も付いてきたので、雰囲気をしっかり作っていくことは重要だなと思った。

副将としてチームを引っ張っていくためにも、自分で自分を追い込んでいく姿勢を見せていかないと思っていたし、試合の中で結果を残さなければいけないというプレッシャーもありつらい思いもあったが、周りのチームメイトに声をかけてもらったりして支えてもらったことでここまでやってこれたと思う。

明日の日大戦でも必ず結果を残し、全日本で日本一になって監督を胴上げできるように一生懸命やりたい。


・中川(法3=PL学園)

(東洋大はバントが少ないが)小技がないので思い切って毎打席フルスイングできる。相手投手に恐怖心、圧をかけるスイングをするのが、打の東洋。三振はかっこ悪いことでなく、中途半端なスイングをすると怒られる。(4番として)監督からは、笹川以上か、その代わりになるよう言いづけられていて、自分は中距離打者なので、やれることをやろうと思っている。自分が打たなくては、ではなく、自分が打てばチームが勝てるという考えになって、最初に比べて楽になった。今日亜大が勝ったことで優勝はしたが、2連勝して去年の借りを返したい。2連勝で締めくくって、いい形で選手権大会に繋げていきます。


・‪村上‬(総1=智弁学園)

入学したシーズンで優勝を経験することができ、より先輩方の偉大さを実感することができました。高校の時とは違うリーグ戦という形式のおかげで1試合ごとに修正することができてよかった。中でも専修大戦での満塁の時にとった三振が今シーズンで1番印象に残ってます。ただ、二勝あげれられたのは先輩方のおかげなので全日本では力になれるように頑張りたい。全日本では関西地区の大学には知り合いや先輩方がたくさんいるので、対戦したら全力で投げて成長した姿を見てもらいたい。(優勝の瞬間は)現地にいることができなかったので中継で見ていた。優勝の実感はあまり沸かなかった。登板機会は少ないと思うが投げる機会があれば失点を少なく抑えて自分のピッチングをし全力で投げ抜きたい。


・小川(法1=霞ヶ浦)

(初のリーグ戦で優勝が決まりましたが)大学に入って初のリーグ戦で優勝して、初めてのことなのでとにかく嬉しい。一年生らしく自分のプレーをしようと強気で打席に立った。(好守備について末包さんから声をかけられていたが)末包さんはいつもベンチから声をかけてくれて、とても頼もしいです。(守備も打撃でも活躍していたが)今日の守備は自分の力の半分くらいだったと思う。今日は大事な試合だったが下級生なので強気で打席に立ち、上級生について行こうと思っていた。(これからの試合に向けて)もう優勝は決まっているが、全日本があるのでこれからも全力でプレーしていきたいと思う。


TEXT=美馬蒔葉、PHOTO=青池藤吾