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2017.11.15
硬式野球

[硬式野球]高橋監督、46年歩み続けた監督生活に終止符「こんな幸せな監督はいない」

第48回明治神宮野球大会

11月14日(火)神宮球場

●東洋大0-4日体大


試合後、大勢の記者に囲まれる高橋監督 


  今季限りでの勇退を表明していた高橋監督は、神宮大会準決勝となる日体戦での敗戦により、46年間の監督生活に終止符を打った。高橋監督は1972年(当時23歳)から46年間もの間、母校である東洋大の指揮官として歩み続けた。1976年に初優勝へ導くとその後も結果を残し続け、46年間で18回のリーグ優勝、さらに歴代最多となるリーグ通算542勝という記録を残した。

 「46年間監督をやらせてもらったことに感謝している。後悔はない」。高橋監督は46年間をこう振り返り、清々しい笑顔を浮かべた。監督として最後の試合は完封負けという悔しい結果に終わってしまったが、今季リーグ連覇を成し遂げた監督の表情は明るかった。

 「生涯青春」と語る高橋監督は、どんな時でも厳しく正面から選手に指導し続けていた。練習を行っている東洋大グランドには監督の熱のこもった指導の声が響きわたる。高橋監督は「本当に気持ちをしっかり持って、研究して、自分の悪いところ直したい、上手くなりたいと思ってやっている選手は手や指の使い方、肩の動きを見るすぐわかる」と語り、監督としての長年の経験が選手たちをさらに成長させてきた。

 長い監督生活の中では輝かしい実績ばかりではなく、2部降格を経験するなど苦しい時期もあった。それでも監督は「とにかく攻撃的な野球をしたい」という気持ちを常に持ち続け東洋大の歴史を作り続けてきた。

 試合後には家族や選手、先輩方など様々な人々へ感謝の気持ちを口にしていた高橋監督。多くの教え子も監督の勇退試合に駆け付け、試合後には監督のいるロッカールームへ向かう場面もあった。「今までは監督として選手と個人的な相談はあまりできなかったが、これからは先輩として自分の経験を生かしながら、個々に選手の相談に乗りたいと思っている」。46年間選手を見守り続けてきた指揮官は、勇退後も東洋大の選手を支えていくことになるだろう。


■コメント

高橋監督

11月まで試合が出来て選手たちにすごく感謝している 。(監督として最後の試合だったが)万感の思いというのは特に無かった。(46年間の監督生活を振り返って)23歳の時から監督をやってきて、1試合1試合、1日1日を大事にしてきた。当初は学生と2歳ほどしか変わらない状況だったので学生と同じような気持ちでやろうと意識していた。その時の気持ちを忘れないようにするためにも座右の銘じゃないが生涯青春という思いを持って歩んできた。いつのまにかこんな歳になっていて少し寂しい気持ちもあるがよく頑張ってこられたと思う。家族や女房が長い間監督生活を支えてくれたので本当に感謝しているし、女房の支えが一番大きい。選手たちに対してもお母さんのような存在になってくれた。とにかく今までの先輩方に負けないような立派なチームを作って、いい人材を社会に出す、野球の持っているエネルギーで、若い人たちを将来世の中に出してやりたいなという気持ちでいた。練習はかなりきつくやっていたが、卒業生たちが社会で活躍しているのを見ると自分がやっていることは無駄じゃなかったなと思うしほっとしている。こんな幸せな監督はいないと思う。監督冥利に尽きる。23歳から監督として野球しかやってこなかったが、後悔はない。(今までの監督生活の中で最も印象に残っていることは)それはやっぱり初優勝の時。観客もたくさん来てくれて内野スタンドがいっぱいになっていて、とてもうれしかった。あの時のことは今でもすごく覚えている。46年間監督をやらせてもらったことにとにかく感謝している。先輩方にも色々なご指導をいただいて何とかやってこられたと思う。(3年生以下の選手に対して)末包は1番パワーがある選手。なかなか結果が出なかったが最後打ってくれたので来年はクリンナップを打ってくれるような選手になってくれると思う。甲斐野も今日は失点してしまったが、よく投げてくれたと思う。来年はいいチームになると思うので今度こそ日本ーを取ってくれると思う。中川も最後ヒットまで打ってくれたので、来年はチームを引っ張っていってほしい。(神宮大会を振り返って)課題は残してしまったが1回でも勝てたことは大きな財産だと思うので来年につなげてほしい。(4年生は)素質、才能の部分ではレベルが高いとは言えないしまだまだ足りないところはあるが、何より自分のできる最大限の努力ができる学生らしい爽やかな学年だった。グラウンドの掃除などをしっかりやってくれていたり、チームを盛り上げてくれて本当によくやってくれたと思う。今までは監督として選手と個人的な相談はあまりできなかったが、これからは先輩として自分の経験を生かしながら、個々に選手の相談に乗りたいと思っている。

TEXT=松本菜光花 PHOTO=美馬蒔葉