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2017.11.29
ボクシング

[ボクシング]馬場が全日初優勝!木村蓮が準優勝でW表彰台に

第86回全日本ボクシング選手権大会


11月22日(水)~26日(日) 福井産業会館



◆ライトフライ級


2回戦敗退 田村(ラ1=崇徳)


◆フライ級


優勝 馬場(文4=王寺工)


1回戦敗退 福井(営3=駿台学園)


◆バンタム級


2回戦敗退 川田(営3=崇徳)


1回戦敗退 渡来(営1=武相)


◆ライト級


準優勝 木村蓮(営2=飛龍)


◆ライトウェルター級


1回戦敗退 中川 (ラ3=高知)


◆ウェルター級


2回戦敗退 原田直(営3=崇徳)


◆ミドル級


1回戦敗退 原田健(営2=安芸南)


フライ級新チャンピオン誕生の瞬間

リベンジマッチに燃えた木村蓮

二人で表彰台に輝いた



※掲載が遅くなり、大変申し訳ございません。

福井県産業会館にて第87回全日本ボクシング選手権(以下、全日)が行われた。東洋大からは9名の選手が出場し、11月23日から4日間の激闘に挑んだ。決勝戦に勝ち残ったのは初優勝がかかるフライ級の馬場と昨年バンタム級でチャンピオンに輝いた木村蓮。馬場は悲願の初優勝を果たし、2階級制覇は叶わなかったが木村蓮が準優勝に輝いた。


初日の1回戦目、リーグ戦で東洋大の勝利に貢献してきた福井、中川、渡来がまさかの初戦負け。悔しい敗戦となったが、「内容は負けていなかったので次に期待したい」と三浦監督。1年生である渡来も「大学に入ってからの自分のレベルアップをすごく感じられる試合になった」と実りある大学初の全日となった様子。続く2日目は明暗の別れる結果に。初戦となったフライ級の馬場は危なげなく試合を運び、ライト級の木村蓮も相手の失格により2Rで勝利。しかし田村、川田、原田直、原田健が2日目で敗退となり、準決勝に駒を進められたのは2人だけとなった。

準決勝の日、会場の雰囲気にも緊張感が張り詰める。最初にリングに上がった馬場の相手は高校生の中垣(日章学園)だ。思うように距離をつかめず、馬場の表情に焦りが見えた。焦りからか、負傷している左腕も酷使しながらの応戦になり両者譲らぬ打ち合いに。判定の結果は3―2で馬場の決勝進出が決まった。しかし「逆でもおかしくないくらいの試合」と冷静に馬場は振り返る。馬場に続いて勝利をつかみたい木村蓮の相手は全国6冠を成し遂げ、さらに国内では3年近く負けなしという齋藤(農大)。強敵だが、「年下相手に負けるわけにはいかない」と木村蓮の闘志に火をつけた。互いに中間距離で外しながら戦うボクサーがゆえに、距離をうまく取れず苦戦。しかしそこは昨年王者の木村蓮、4―1で勝利をつかんだ。

昨年の全日同様、馬場と木村蓮が決勝進出を決めた。「優勝を目指したい。絶対に勝つ!」と馬場。「自分のボクシングを貫いたら勝てると思うが、負けたとしてもいい経験になる」と木村蓮。勝てば初優勝の馬場、昨年のバンタム級チャンピオンである木村蓮は2階級制覇がかかる運命の決勝戦の幕が開いた。

 馬場の相手は北浦(農大)。高校時代から何度も試合を重ねて6戦中3勝3敗とまさに互角、直近ではリーグ戦にて負傷判定で負けている。しかし馬場の動きは前日に比べ格段と良くなった。相手の懐にもぐりこみパンチを入れるとすかさず相手の距離から抜け出しパンチをかわす。的確にダメージを与えながらも、距離をうまく使い試合を優勢に進める。しかし前日の試合で酷使した左腕には、相当な痛みが伴っていた。肩が外れてしまえば失格負けになるという恐怖の中でも、左フックで相手を追い詰める。判定は5―0と馬場の手が挙がった。ボクシングを始めて7年、悲願の全日初優勝だ。「チャンピオンになれてうれしい」。大学4年間、一度も順位を落とさずついに頂点に輝いた。馬場の努力が功を奏した瞬間だった。

 「一緒にチャンピオンになりましょう」と試合前馬場と誓った木村蓮の相手は森坂(農大)。森坂はリオ五輪にも出場しており、言わずと知れた名選手。木村蓮は1年前の国体の決勝では完封負けに終わったが、「国体の時よりも体は出来上がってきているし、どこまで通用するかが楽しみ」とリベンジマッチに燃えていた。だがやはりオリンピック選手は強かった。なかなか自分の距離で試合をできず、いつものように手数が増えない。見守るチームメイトからも「蓮太朗いつも通りで!」と声がかけられるが、終始ペースを飲まれ判定負けに喫した。準優勝になってしまったが「昨年負けた時より自分の成長を感じられた」と手応えも。「次こそ勝ちます」とリベンジを望んだ。

 4日間に渡る戦いが幕を閉じた。「初優勝の馬場は、4年間コツコツやってきた成果かな。チームにとって見本となってくれる結果です」と監督。惜しくも準優勝となった木村蓮についても、「合格点をあげられる内容。しかしこのままライト級で戦うなら森坂選手は大きな壁となる。相手を研究して、自分の良いところを伸ばす必要がある」と見据えた。全日を終えチームはこれから5月に開幕されるリーグ戦に向けて新たに始動する。その中心を担っていくのは最上級生となる3年生たちだ。個人戦では思うような結果を残せていないだけに、リーグ戦への想いはひとしおだ。「優勝して、東洋大がすごいって言わせられるように貢献したい」と福井。個人戦で得た経験とともに、チームとして頂点を目指す。




◾︎コメント

・三浦監督
馬場が優勝、木村蓮が準優勝という結果で、ボクシングという力を出すことが難しい競技で両選手ともしっかり力を発揮してくれたので、よかったと思います。初優勝の馬場は、4年間コツコツとやってきた結果かなと。見本になってくれる結果ですごくよかったです。W優勝とはいかなかったけど、木村蓮の相手もリオ五輪代表の森坂選手で、どこまでやってくれるかという感じだったんですけど、パンチもすごく当たりましたし、最後までどっちが勝ったかなという試合をしてくれましたので、試合内容としては合格点あげたいと思います。積極的にとてもいい試合をしてくれました。木村がこれからライト級でやっていくなら森坂選手は壁になるので、これは一回持ち帰って相手を研究しつつ自分のいいところも伸ばしていかなきゃならないですし自分の弱点も克服していかなくてはならないので、しっかりそこは練習でまた作り上げていきたいと思います。また来年主力となる3年生の福井、中川、原田直は今一度自分を見直してもっともっと練習が必要ですね。しっかり休んだ後、また練習であげていきたいと思います。OBの秋山と金城はファイナルまで残って、秋山もいい試合でしたし金城はしっかり勝ってくれて二連覇達成ということで、東洋大としてそういうOBを送り出せたことを誇りに思いますし、まだまだ東京五輪に向けて全階級から候補選手を出せているということは大学としても部としても自信を持っていきたいと思います。現役生にもまだまだ頑張ってもらって、OB、現役生でタッグを組んで頑張ってもらいたいと思います。


・馬場(文4=王寺工)
4年目でやっとチャンピオンになれてすごくうれしいが試合内容があんまりよくなかったので、うれしいのはうれしいけど納得できてない部分はある。初戦から雰囲気悪いなぁと思っていて、高校生の中垣選手も強かったし、自分の思うようには動かせてもらえなかったです。決勝でも大差で勝ちたいと思ったが、拮抗した試合ではあったのでまだまだ課題はあると感じています。決勝の北浦選手には、今まで3戦3敗している相手。勝って負けて勝って負けてを繰り返しています、、、(笑)戦う距離感はよかった。相手の距離でやっていたらパンチ当たらなかったので。一番手強かったのは中垣選手。試合中に焦っていて、あんまり肩(ケガしている)を出したくなかったんですけど、焦ってムキにになって...フィニッシュブローも左フックなのでうまいこと当たったんですけど、当たれば当たるほど痛くなって。中垣選手との試合最中と、(決勝前日の)夜はかなり痛くて腕も上がらないくらい。決勝の日もけっこう痛くて、絶対今日はフック出さないぞとは思っていたんですけど、(笑)ムキになって出してしまいました(笑)でも肩外れたら失格負けになっちゃうので、アジア選手権のときはそれで負傷判定負けだったので、外れたらどうしようという恐怖はありました。(大学4年間で一度も順位を落とさず優勝まで上り詰めたことは)順位というよりも、自分のやれることを着実にやってきただけなので、順位は意識してなかったですけど、こうやって順位をあげてこれたことは、積み重ねが功を制したのかなと思う。今年一年すごくいろんな経験(世界選手権など)したので、自信がついたことも大きかった。でも、チャンピオンになってもまだまだだなぁと思ってます(笑)意外と満足していない、あんまり変わってないです!(チャンピオンとして今後の目標)来年にあるアジアの大会に出ることだったりとか、東京五輪も最終的には目指したい。でも今まで通り自分のやるべきことをやるしかないと思うし、今までと全く違うことをやるとかはない、自分のできることをやります。

・木村蓮(営2=飛龍)
昨年の国体の決勝で負けてる相手だったのでリベンジだったので気合いは入っていたが、力は抜けていてやりやすかった。だけど、距離の取り方とかは相手の方が上手かったし、要所要所でしっかり当てられたので結果には納得している。でも昨年よりは良い試合が出来たんじゃないかと思うので成長できていると思う。昨年負けたときより、自分が成長できてる手応えを感じた。(今回の試合の敗因は)要所要所で相手がしっかり当ててきたところが見せ方も上手かったのでそこだと思う。全ラウンドでプレッシャーはかけられていたが、ジャブがだんだん減ってきて飛んだところで当てられた。プレッシャーをかけた上で当てられるようにしたい。次は体づくりをしっかりしてもっとテンポを上げていきたい。来年は倒せるように頑張りたい。

・原田直(営3=崇徳)

相手が高校生だが、8冠しているというのは知っていたが年下に負けるわけにはいかないというプレッシャーはあった。もともと腰が良くなくて、出発の1週間前くらいに悪化してあまり練習が出来てなく、動きのキレがないなと思っていた。会場に来てからワンツーで打ったりとかちゃんと練習を開始したのでパンチにスピードがなくキレがなかった。でも、最後いつもの自分のボクシングとは違う接近戦に持ち込み打ち込んだがあまり取れず悔しい結果に終わった。初戦一試合してみてなんとか勝って、少しは動けるようになったので怪我を言い訳にせず悔しい。減点入っているし、圧倒的に不利になるのでしょうがないと思う。(リーグ戦にむけて)荒本が大学生になったら僕が勝たなきゃなので。やらなきゃいけないことはわかっているので、やっていきたい。

・川田(営3=崇徳)
全日本は2回目の挑戦だったんですけど、1回戦目は動きが悪かったんですけど、勝ったってことは、勝ちが増えたのでよかった。2回戦目は一瞬でした(笑)危なすぎる、もうやりたくないです(笑)当たるってなって本当は、田中選手相手に3Rまでやりたかったんですけど、21秒だったし。もっと、左右を使って手数、ショートパンチを増やすのと、それに見合った体力をつけたいなと思った。(最上級生の目標は)リーグ戦に出て、全勝したいです。

・田村(ラ1=崇徳)
(大学初の全日本は)緊張もなく、できたかなと思う。楽しかったです。1試合目は出入りで自分のボクシングができたと思う。2試合目は自分があのまま3Rできてたら勝てたかなと思うんですけど、次の試合はヘッディングとかを気をつけながらやりたいです。2回戦目で負けたのは悔しいです。今後は、目の前の試合を頑張ります。

・原田健(営2=安芸南)
試合前は怖かったがやってみたら以外と戦えた。スパーリングは一度やったことがあった。そのときは1R目は良かったが2、3Rでボコボコにされた。でも、そのときに比べたら今回は良かった。今回、失格負けしてしまったので反則無しで戦えるようになるのとあとはスタミナをつけたい。

・福井(営3=駿台学園)
(一回戦敗退は)悔しいです。試合でまた右手を途中で痛めてしまって、でもその分前の手でのリードが効かせれた部分はあった。(勝つ手応えはあったか)んー、まぁ、人によるかなというところだと思う。ギリギリのところ。自分のボクシングは出し切れました。とにかく結果は結果なので、受け入れて今できることをしたいと思う。(負けたことで周りからの反応は)まぁみんな身内なので、勝ってたよとは言ってくれました。来年のリーグ戦で東洋大優勝、僕一人ではできないですけど、させられるように、東洋大がすごいって言わせられるように貢献したいです。

・中川(ラ3=高知)
全然成長していないなと。リーグ戦も国体も全部内容も対戦相手のタイプも同じ。それに向けて練習してきたんですけど、そんなに甘くなかったなと感じました。
中井選手(近畿)は一回だけ沖縄での合宿でスパーリングの相手でした。そのときからちょっと苦手意識があったんですけど、練習してきたからそれで勝てるかなとは思ったんですけど、全然だめでした。
いつもよりは手数も出たし、結果としては良くはなかったんですけど、前には出れたことはプラスにとっていいかなと思います。そこは活かしていきたいです。
アマチュアボクシングのルール変更にいまのスタイルでは対応できないとは分かっていたのですが、それに筋力が付いてきていませんでした。もっと力があったら相手を止められたのですが、まだそれが身についていないのが敗因ですね。中途半端になってしまっていました。

・渡来(営1=武相)
内容自体はすごく良かった。自分の中でも納得いく良いパフォーマンスができたと思う。結果はついてこなかったが、大学入ってからどんどん自分のレベルもアップしてきていて、今回また一段階大きく上がれたと思うのですごく良かった。今までは落ち着いてできる時と焦っている時の波があったが、今回はそういうところが一度だけしか出なかったから、総合的にみて今までと比べ物にならない位、自分の中では良い試合だった。(落ち着いた理由として)技術面ももちろん上がっているしメンタル面も両方鍛えているのでその成果が出てきたかなと。(対戦相手については)こないだの国体の1回戦も金子選手が相手で、またか〜という感じだった。今日合わせて戦うのは4回目だが最初の一回しか勝てていないので強敵という感じ。でも3戦目の内容に比べたら全然良い試合が今日はできた。(オフシーズンの目標は)スタミナをつけること。今日は落ち着いてできたからそんなに疲れも出なかったが、いざという時に行けるようにスタミナをつけていきたい。


TEXT=福田桃香、玉置彩華 PHOTO=福田桃香、中村緋那子、梅山織愛、玉置彩華