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第101回日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走兼第21回世界大学クロスカントリー選手権大会 日本代表選手選考競技会
2月24日(土) 国営海の中道海浜公園クロスカントリーコース
シニア男子10km
3位 西山 29’58
4位 今西 30’01
6位 渡邉 30’06
30位 大森 31’06
44位 小室 31’30
序盤からレースを引っ張り続けた西山
今西も上級生の意地を見せた
渡邉は不調ながらも健闘した
男子長距離部門から西山(総1=東農大二)、今西(済2=小林)らがシニア10kmに出場し、渡邉(済2=吉原工)も加えた3名が入賞したため、4月にスイスで行われる世界大学クロスカントリー選手権大会(以下、世界クロカン)の代表選手に選ばれた。さらに西山は3位に入り日本選手権大会10000mの参加標準記録を満たしているため、同種目で今年の日本選手権に出場することが可能となった。鉄紺の逆襲を誓って始動した新チームの主力選手たちの活躍は、東洋大を勢いづけている。
今大会には実業団や各大学からトップランナーが集結し、毎年ハイレベルなレースが繰り広げられる。東洋大からは5名の選手が出場し、一歩も引かぬレースを見せた。その中でも特に西山はレース序盤から先頭に立つ積極性を見せ、終始先頭集団を引っ張る。4周目に突入すると、西山が尊敬している大迫(ナイキオレゴンプロジェクト)が一気に前に出て単独トップに立ち2位集団となるものの、自分のペースを保ち続け3位でフィニッシュ。「まだまだスピードや持久力が足りていない」と後半のレース運びに課題を残しつつ、世界クロカンや春先のトラックシーズンに向けスーパールーキーの2年目に期待が高まる。
さらに昨年の箱根駅伝(以下、箱根)を経験した今西と渡邉も、前方でレースを進めそれぞれ4位と6位に入り好調をアピールした。大森(済1=佐野日大)、小室(済2=仙台育英)らは後半の失速が響き悔しい結果となったものの、酒井監督の「トラックにクロカンのスピードをつなげていきたい」という狙い通りこの貴重な経験を次に生かすべく、個々の課題を確認する場となった。
シーズン前半のトラック競技でそれぞれがいい結果を出すことが、その先の駅伝シーズンにつながる。うれしさと悔しさが入り混じった箱根から2ヵ月が経過し、新体制となって目指すのは“王座奪還・3冠”である。そんな中での1年生の目覚ましい活躍に渡邉は「自分たちの学年も一緒にチームを盛り上げていきたい」と、刺激を受けていた。常に進化し続けるチームは一丸となって、来るシーズンを戦い抜く。
■コメント
・酒井監督
(今大会の出場の意図は)やはり代表を取りにくると。そこを狙っていたが学生クロカン、またアジアクロカンまで取ってくれたのでそこは非常によかった。春先のトラックにクロカンのスピードをつなげていきたいなという意図で、メンバーは選んだ。(収穫や課題は)クロカンは強化にすごく良いのでそういう場でもしっかり走れるというのは、フィジカルの強化が進んでいるし力が付いているということは、他のチームメイトに対しても彼らにできるなら俺もと箱根にしっかり一年間かけて王座奪還できるように、また出雲駅伝・全日本駅伝を取りにいくにはスピードが大事で、こういうクロカンでまずきたえていきたいという狙いもあったので、今日は良かったと思う。(新体制となったが)まず3冠をしっかり掲げられるようにまずチームの土台を固めていきたいなと。まだ3冠を掲げられる状態ではないが、新入生も入ってきてしっかり新チームをいいチームにしていければと思う。
・西山(総1=東農大二)
学生トップで世界クロカンに出られることはとてもうれしい。クロカンはとてもいい練習になったが、後半に抜かれてしまったのはまだまだスピードや持久力が足りていない自分の力不足だった。それでも先輩たちと3人で世界クロカンに出られることになって良かった。(憧れの大迫選手と走って)やはり大迫選手は自分の憧れでどんなところでも必ず勝ち切るところはすごく尊敬している。(新体制となって)1年生の間はのびのびと走っていたが、これからは後輩ができるので後輩に示しのつく走りをしていきたい。(今後の目標)シーズン前半はトラック競技に集中して、昨年よりもいい結果が出せるように頑張りたい。
・渡邉(済2=吉原工)
直前の状態がよくなくて正直狙えるような状態ではなかったが、練習の一環で出ようということでしっかり追い込むことだけを考えて走った。(収穫や課題は)やはり練習をしていたらもっといい順位が取れていたのかなと思うが、そこは自分の力不足もあって次の世界クロカンにつながるレースとなったので、それまでにしっかり足を治して練習できる状態にしていきたいと思う。(今後の目標は)トラックシーズンが始まるのでトラックでしっかり結果を出すことと、昨年1年生が走って駅伝では助けられた形になったが、自分たちの学年も一緒にチームを盛り上げていきたい。
・小室(済2=仙台育英)
ハーフなどの長い距離を走っていてまだまだ長い距離に対応できていないので、苦手意識をなくすとかそういう意識で走っていた。もう一つの目的としては春先にトラック競技に移るにあたり、3000m障害をやる上でクロカンのアップダウンは大事になると思うので、春先につながるレースというのを目標にやっていた。(新体制になったが)3年生になるにあたって新入生も入ってきて一番余裕ができる学年だと思うので、人数の少ない4年生のサポートをしつつ後輩たちにも目を配りながら横のつながり、縦のつながりをしっかりして全体でまとめていくようなイメージでやりたい。(今後の目標は)昨年は関東インカレで7番で悔しい結果だったので今年はきっちり表彰台に上って、また日本選手権もあると思うので今2年連続で出場して入賞もしていて、8番6番できているので今年こそは日本のトップランナーとしっかり戦っていけるようになりたい。
TEXT/PHOTO=稲村真織