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2018.06.01
硬式野球

[硬式野球]頼れる捕手・佐藤 輝く2本の本塁打でVを呼ぶ

平成30年度東都大学野球1部春季リーグ戦・亜大3回戦

5月31日(木) 神宮球場

〇東洋大9-0亜大

値千金の本塁打を放つ佐藤


初回、先制右前適時打を放ちガッツポーズを見せた


   優勝をかけた大一番に、頼れる扇の要が攻守で輝いた。初回、先頭打者の竹原(法4=二松学舎大付)が出塁し、飯塚(営3=藤代)の犠打で進塁。そこで打席に向かったのは捕手・佐藤(法3=聖光学院)。「なんとか先制してピッチャーを楽にさせてあげたい」。女房役として何よりもその思いが強かった。2球目を右前に落とし、見事先制に成功する。四回にはスライダーを打ち返し、右翼席に2点本塁打を叩き込む。その喜びを噛みしめるようにダイヤモンドを一周した。また、九回にも相手投手の放った2球目を打ち返すと、打球は弧を描いて右翼席に吸い込まれていき、神宮の空に今試合2本目のアーチをかけた。チームメイトはサイレントトリートメントで本塁打を祝福。素知らぬ顔で佐藤を迎えたベンチは一呼吸おいてから佐藤を褒め称えハイタッチを交わし、ベンチ中に笑顔が広がった。


   また、チームの扇の要としてここまで投手陣をリードしてきた佐藤。「あんなにいいピッチャー陣を負けさせてしまうことが怖かった」。ドラフト注目投手も揃った投手陣をリードするに当たり、捕手として一球一球の配球の重みを実感していた。普段から準備を大切にする3年生捕手は、今季は何よりも守備の面での準備を大切にした。相手打者の分析、投手とコミュニケーションをとることなど準備できることは準備し尽くし、そこに妥協は無い。亜大戦で3連投の上茶谷(法4=京都学園)には試合ごとに配球を工夫した。亜大2戦目の際には「佐藤の配球がすごく良かった」と上茶谷も佐藤を絶賛した。


   「この大一番で打てたのは本当に良かった」。高校時代から決勝などの大事な試合で打てなかった。しかし今回の優勝決定戦では1本の適時打と2本の本塁打で5打数3安打4打点の大活躍。その実力を遺憾なく発揮した。まだここで終わりではない。日本一という頂を目指し、攻守に渡りこの男がチームの支えとなる。


◼️コメント

・佐藤(法3=聖光学院)

(先制適時打は)昨日の試合は1得点だったということもあり、なんとか先制してピッチャーを楽にしてあげたかった。自分の中にも余裕が出てきてリードにおいても打席にも楽に入れた。(四回の2点本塁打は)狙ったとかではなく、(相手)ピッチャーが変わりっぱなで、その前に飯塚(営3=藤代)が初球のまっすぐを打ってくれていたので、逆に変化球を狙いやすくなった。飯塚に感謝する部分もありながら、スライダーを打つことができた。(九回の本塁打は)ちょっとポイントを前にしてそんなに力を入れずに振ろうと思っていた。

今年はピッチャー陣が注目されていてどうリードするかっていうのが自分の中であった。あんなにいいピッチャーを負けさせてしまうことの方が自分の中で怖かった。ショートバウンドのストップなど、どうしてもピッチャーに不安な思いをさせたくなかった。キャッチャーに入って守備面での準備を一番大事にしている。亜大戦一試合目で負けてから、ビデオを見直したりピッチャーとコミュニケーションをとったりをしたからこそ、2安打完封リレーができたのかなと思う。(サイレントトリートメントは)最初はえ?と思いました(笑)。一回ベンチの下に下がって、わーってなったのでそこから飛び出しました。九回のときも同じことをされて、その時はベンチに座ってレガースとか外していたら、わーって(笑)。(以前の試合では本塁打を打ったら敬礼されていましたが)栗山(埼玉西武ライオンズ)さんのを真似させてもらいました。やりたいなと思って先輩とかに話したら、やろうぜって。やるって決めてからホームランを打った時はとてもうれしかったです。(優勝が決まりかけられた言葉は)「ナイスバッティング」って言われたのが一番うれしかった。高校の時から大事な試合で打てなかった。ここをとるという気持ちで全員でやってきてこの大一番で打てたので本当にうれしかった。ここで終わりじゃなくて日本一が目標なので、そこに向かって一個ずつやっていきたい。


TEXT=川口朋珠  PHOTO=齋藤洋