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第30回出雲全日本大学選抜駅伝競走
10月8日(月・祝) 出雲大社正面鳥居前〜出雲ドーム
総合2位 東洋大 2:12’10(45.1km)
1区(8.0km) 相澤晃 23’21(2位通過・区間2位)
2区(5.8km)西山和弥 16’54(3位通過・区間6位)
3区(8.5km) 山本修二 25’23(3位通過・区間3位)
4区(6.2km) 小笹椋 18’09(2位通過・区間4位)
5区(6.4km) 今西駿介 18’30(2位通過・区間1位)
6区(10.2km) 吉川洋次 29’53(2位通過・区間1位)
第1中継所 1区相澤(奥)→2区西山
第2中継所 2区西山(奥)→3区山本修
山本修はエースの走りで東海大を捉える
拓大をかわし単独2位に順位を上げた小笹
第4中継所 4区小笹(右)→5区今西
第5中継所 5区今西(左)→6区吉川
一時は4秒差まで縮めるも青学大の背中には届かなかった
初の区間賞となった今西(左)、吉川
晴天に恵まれ、駅伝シーズン初戦の出雲駅伝が行われた。優勝を狙い、前半に主力に投入した東洋大は後半の追い上げもあと一歩届かず。優勝校青学大と12秒差で準優勝という結果となった。
平成の歴史とともに歩んできた出雲駅伝(以下、出雲)は第30回の節目を迎えた。台風の影響が心配されたが、当日は快晴に恵まれ絶好の駅伝シーズン開幕日よりとなった。「勝ちにいくオーダーで挑む」と酒井監督が話した通り、前半に主力を、後半には調子の良い選手を起用。全員が三大駅伝経験者という布陣で7年ぶりの優勝を狙った。
1区を任されたのは、昨年の全日本駅伝(以下、全日本)で1区区間賞を獲得し、安定感のある相澤(済3=学法石川)だ。集団の右側でレースを展開し、残り2㎞スパートをかけ、集団から抜け出す。その後、区間賞争いは青学大、城西大、東洋大の3校に絞られるが、ラストは青学大のスパートについていけず、トップと6秒差の2位で2区・西山(総2=東農大二)へ。ここで先頭へいきたいところだったが、「伸びなかった」と話すように前との差を縮めることができない。さらに後ろからは東海大が猛追し、3位で3区・山本修(済4=遊学館)にタスキを渡した。山本修は昨年も同様の3区を任され、今季は東洋大のエースとして挑んだ。西山からタスキを受け取ると、東海大を抜き2位に浮上。6㎞過ぎでデレセ(拓大)が区間賞の走りで一時は山本修を抜かすも、東洋らしい諦めない攻めの走りでデレセにくらいつく。最後はエース同士のデッドヒートのなか、4区・小笹(済4=埼玉栄)の待つ中継所へ。
初の4年生同士のタスキリレーで走り出した小笹は、駅伝では主力として活躍するも出雲は初出場。拓大とほぼ同時にスタートすると、「自分の走りをするだけだった」と話すように拓大を振り切り、3位拓大と24秒の差をつけ2位で5区・今西(済3=小林)にタスキを渡した。「ただ前を追うという気持ちだった」と話す今西は、向かい風のなか、はじめから攻めの走りで先頭を追った。昨年出雲で区間10位と悔しい思いをしたが、今年はタスキを受け取った時点で45秒あった差を27秒差まで詰め、自身初の区間賞を獲得する素晴らしい走りでアンカー吉川(ラ2=那須拓陽)へ。前半の追い風のなか一気に先頭との差を縮め、一時は4秒差まで詰めた。しかしそこから追いつくことができず、区間賞の走りながらも1位とわずか12秒差の2位でゴールテープを切った。
3冠を狙って挑んだ出雲。3区までで先頭に立つという当初のレースプランとはいかなかったが、東洋大は優勝校・青学大を最後まで脅かす存在となった。酒井監督は「負けたとはいえ収穫のある2位」と話すように、次の全日本を見据えている。目の前で優勝のゴールテープを切る姿を見た選手達の悔しさは糧となり、一段と強くなって全日本、箱根駅伝での優勝を目指す。
■コメント
・酒井監督
目標が優勝なだけに悔しい2番だった。負けたといえ最後に追いつけたことは収穫のある2位。後半の2選手はよく頑張った。前半がプラン通りにいかなかったこともある中、昨年の5番から考えたらよく走ってくれた。(今後の駅伝に向け修正点は)エース区間、主要区間での対戦成績が良くなかった。選手層は明らかに青学大の方が上なので。選手層が薄いぶんエース区間をとっていかないとチームで勝つことは厳しいと思う。(区間賞の2人について)2人ともいい走りをしてくれたが、今西も優勝しない区間賞は悔しいと思うし、吉川は4秒差まで縮まりながらも捉えられなかった。区間賞を取ったといえ、今回のレースをきっかけにさらに成長して欲しい。(次戦全日本へ向け)青学大は強いが、東洋大の走りはあきらめない走り。また全日本へ向け、しっかりと布陣を組んで挑みたい。
・1区 相澤晃(済3=学法石川)
(レースプランは)前半スローペースが予想されたので、ラスト2kmで後続を離す予定で走った。(レース展開は)スローペースで予想通り行って誰も出る気配がなかったので、ラスト2kmで仕掛けた。(今日に向けてどのような練習をしてきたか)1週間前に10000mの記録会にでたり、実践に向けて練習をしてきた。(今日のレースの収穫と課題)しっかりきついところで積極的に行けたけど、走り込みが足りないので全日本駅伝に向けて練習していきたい。
・2区 西山和弥(総2=東農大二)
(レースプランは)3kmで仕掛けようと思ったが思いのほか乗らずに不甲斐ないレースとなった。1kmを早めに入ろうと思って2分45秒くらいで予定通りだったが、そこから伸びなかった。原因をしっかり確認して立て直したい。
・3区 山本修二(済4=遊学館)
(レースプランは)チームのレースプランとしては3区を終えた時点でトップに立ち後続と突き放すということだったが、1、2、3区と全て青学に負けているので、力不足だった(レース展開について)風が強かったので出来るだけ早く追いついて後半勝負と思っていたが、なかなか前を追うことができずにずるずるといってしまった。(タイムと区間順位について)タイムもそうだが区間賞も取れなかったので力不足。
・4区 小笹椋(済4=埼玉栄)
(レースプランは)自分の中では2分50で入ってそこからずっと2分50前後で押していくイメージだったが、少し風だったり暑さだったりで途中ペースがわからなくなってしまって、本当に自分の力不足を感じている。(山本修とのタスキリレーについて)修二とタスキをつなぐのが初めてたったので、もらったときはすごく自分も頑張らなければというふうに感じたし、修二はやっぱりエースの走りをしてきてくれたので自分もそれに乗っかっていこうというふうには感じた。(拓大と競る展開だったが)もう自分の走りをするだけだったので、自分のペースだけを考えて走ったのでそれに途中から離れてくれたので、自分の走りの中で引き離そうと考えていた。
・5区 今西駿介(済3=小林)
(レースプランは)あまり考えず、前に青学さんがいたのでただ前を追うという気持ちだった。(レース展開は)正直、入りの2キロで入りすぎて、気持ち的にもキツかったが、応援の人たちがどんどん詰まってると言ってくれたので、心もどんどん余裕が出てきて、前を追うという気持ちも出てきた。声援にとても感謝している。(区間賞を取ったが)自分自身初の区間賞なので、これを自信にして次に活かせると思うが、今回一勝できなかったのは悔しい気持ちでいっぱい。(全日本に向けて)今回は出雲で青学さんに負けてしまったが、全日本で勝つイメージや、次こそは勝てるという確信が持てたと思うので、次こそは絶対に優勝する。
・6区 吉川洋次(ラ2=那須拓陽)
(レースプランは)前半監督からも、飛ばし過ぎずにゆっくり入って自分の区間の長い距離の良さを生かせというレースプランだった。思ったよりも自分が考えすぎていて、少し勝とう勝とうという気持ちが出てしまって、すぐに前と詰まってしまった。逆にしっかりと自分の見える範囲で抑えておきたいというのとあった。そこで粘れなかったというのが反省点でもあるし、自分が強くしなければならない部分だ。(レース展開は)1、2、3区で離してというのが東洋の勝つパターンだと思うが、思ったほど自分も動かなかったし、西山だったり他のメンバーもベストな状態じゃなかった。その中でも2位という結果は、結果としてマイナスに捉えずにプラスに捉えていきたい。(区間賞の走りだったが)チームに1位なれなかったのが大きかったし、ゴール目の前で竹石(青学大)さんがいたという、自分にとってすごく悔しい光景だったので必ずこれを強みにして、全日本では最初にテープに触れるようにもう一度強くしていきたい。
TEXT=長枝萌華 PHOTO=大谷達也、小島敦希、小野由佳莉、長枝萌華、並木星夏、稲村真織