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秩父宮賜杯 第50回全日本大学駅伝対校選手権大会記念大会
11月4日(日) 熱田神宮正門前~伊勢神宮内宮宇治橋前
総合3位 東洋大 (106.8km) 5:15’57
1区(9.5km) 田上建 27’44 (11位通過・区間11位)
2区(11.1km) 西山和弥 33’11 (14位通過・区間14位)
3区(11.9km) 今西駿介 34’43 (8位通過・区間4位)
4区(11.8km) 浅井崚雅 35’22 (10位通過・区間7位)
5区(12.4km) 小笹椋 36’27 (5位通過・区間3位)
6区(12.8km) 鈴木宗孝 38’05 (5位通過・区間5位)
7区(17.6km) 山本修二 52’02 (3位通過・区間3位)
8区(19.7km) 相澤晃 58’23 (区間1位)
1区・田上(左)→2区・西山
2区・西山(左)→3区・今西
4区・浅井
4区・浅井(左)→5区小笹
5区・小笹(左)→6区・鈴木
6区・鈴木(右)→7区・山本修
7区・山本修(左)→8区・相澤
青学大、東海大に敗れ3位という結果に終わった
相澤は2年連続の区間賞を獲得した
天候が悪い中、第50回全日本大学駅伝(以下、全日本)が行われた。3大駅伝初出場の選手を2人起用し優勝を目標に挑んだ今大会。序盤は出遅れるも、今西(済3=小林)と小笹(済4=埼玉栄)のごぼう抜き、終盤では2人のエースが粘りを見せ3位でフィニッシュ。優勝を狙っていただけに、3位という結果に選手たちは悔しさをにじませた。
流れを決める1区を任されたのは3大駅伝初出場の田上(ラ2=九州学院)だ。ペースがめまぐるしく変わる中、田上は集団の中央でレースを進めた。8km手前で小野田(青学大)が仕掛けると集団はばらけ始め、田上は19秒差の11位で2区・西山(総2=東農大二)へタスキをつなぐ。出雲駅伝(以下、出雲)のリベンジを誓った西山は序盤から積極的に前を追った。一時は先頭と5秒差まで詰めたが区間14位、順位も14位に落とし苦しい走りに。3区は出雲でも区間賞を獲得した今季絶好調の今西(済3=小林)だ。今西は「とにかく青学大とのタイムを離されないように走った」と振り返るように6人抜きの素晴らしい走りを見せた。前半の勝負区間である4区は浅井(済2=一関学院)に託された。塩尻(順大)の猛追、さらには法大の追い上げもあり2つ順位を落としたものの、懸命な走りでタスキをつないだ。この時点でトップ東海大との差は2分27秒。前半区間では酒井監督が「耐えられなかったことが敗因」と言うように4区までに10位と出遅れる展開となった。
後半区間の先陣を切ったのは5区・小笹(済4=埼玉栄)だ。淡々と自分のペースで前を追い1つずつ順位を上げていった小笹。主将らしい気合いの走りで5人抜きの快走を見せ5位に順位を上げた。また小笹は大会当日に22歳の誕生日を迎え、「全日本は苦い思いでしかないのでいい誕生日になったら」と全日本に臨んだ。その言葉通り4年間の全日本の中で1番の走りとなった。小笹からタスキを受け取ったのはエントリーメンバー唯一の1年生6区・鈴木(済1=氷取沢)だ。「緊張というより楽しみの方が大きかった」と1年生らしいフレッシュな走りで順位をキープしたままエース山本修(済4=遊学館)にタスキリレー。7区・山本修は5km前で4位の駒大をかわし、さらに3位の帝京大を猛追した。6kmを過ぎると帝京大を抜き去り3位に順位を押し上げた。終盤でも1秒をけずりだす走りでエースの意地を見せ、アンカー相澤(済3=学法石川)にタスキを渡した。最長区間の8区は自ら志願したという相澤だ。前半から前の2チームを必死に追い、ゴール後に倒れこむほど力を出し尽くした。区間賞を獲得し、2位の東海大と1分10秒ほどあった差を15秒差まで詰めたが、追いつくことができず3位でフィニッシュ。終盤に怒濤(どとう)の追い上げを見せたが、目標の総合優勝には届かなかった。
酒井監督は「後半しっかり巻き返しができたことが箱根に向けての収穫」と振り返るように課題と悔しさだけが残ったわけではない。アンカー相澤の区間賞には東洋大の1秒をけずりだす走りが表れていた。田上、鈴木といった新戦力がしっかりと経験を積めたことも箱根駅伝(以下、箱根)に向けて大きな収穫となった。「今年は総合優勝で終わりたい」と酒井監督は箱根への意気込みを語った。箱根では出雲、全日本の悔しさをバネに成長した選手たちに期待がかかる。
▪コメント
・酒井監督
優勝を狙っていただけに悔しい結果だった。後半はしっかり巻き返しができたので、そこは箱根に向けての収穫。やはり前半はちぐはぐな戦い方だったので、しっかり駅伝らしい流れをつくって戦えるようなチームの雰囲気や、練習していることを出せるようにやっていきたい。(当日変更の狙いは)前半しっかり耐えて後半勝負していこうというオーダーだったが、前半が耐えられなかったところが今回の敗因。吉川、渡邉が外れたことで(新戦力を)試すことができたということもあったが、その分耐えなければいけない西山、昨年走った浅井が順位を下げてしまったところが流れという点ではだめだった。田上、鈴木といった選手はしっかり経験を積めた。(相澤の区間賞について)外国人選手がいなかったので、区間賞は最低限の目標だった。タイムも山本、相澤と残り10kmで1分はつくりたかった。やっぱりたらればの話になってしまうが、しっかりやれば青学大も捉えられたのではないかと思う。(今後の意気込みは)私は彼らの力を信じている。昨年の箱根往路優勝から出雲、全日本といい順位できているので、今年は総合優勝で終わりたい。
・1区 田上建(ラ2=九州学院)
(1区に起用されたときは)男鹿駅伝のこともあって1区をあのイメージで距離も同じだったので走るようにと言われていたが、やはり青学大さんとか東海大さんに、どれだけ差を付けずに渡すことがカギだと言われたいた。今回、青学さんと15秒差で渡してしまって、目標は区間5位だったので届かなかったが、しっかりラストの課題も見つかったので、次の箱根駅伝などに向けて練習を頑張りたい。(レースを振り返って)7km地点までは走れていたが、ラスト2km過ぎくらいで青学大さんが切り替えて、そこで自分も切り替えて動きをつかせることができずに、付いていけなかったことは課題として残る。
・2区 西山和弥(総2=東農大二)
田上がどの位置に持ってきても先頭集団にいくというのが監督と話していたこと。(出雲では悔しいレースとなったが)出雲は悔しかったので全日本ではリベンジしようと決めていたが、どこか失敗がうまく離れなかったかなというふうに思う。(2区での起用について)吉川が出られなくなったということで自分がやらなければという気持ちでいたが、それが全然空回ってしまった。(レースを振り返って)本当に不甲斐ない走りだった。(チームの順位について)自分の走りでこうなってしまったので申し訳ない気持ち。(箱根が控えているが)もう一回立て直して何が悪いのか追求して頑張っていかないといけない。
・3区 今西駿介(済3=小林)
予想外の事態でタスキを受け取って、監督から徐々に詰めていけばいいと言われたので突っ込まずに後半で上げるようなイメージでレースを進めた。とにかく青学大とのタイムを離されないように、6、7区で1分30秒差ならいけると言われたのでそこを意識して走った。6人抜く事ができたが、早大の中谷に離されてしまったのでまだまだだと思った。
・4区 浅井崚雅(済2=一関学院)
(レースプランは)前に10人くらいいたので、最初は速めに入ってそこからリズムに乗って1人ずつ順位を拾っていくというプランだったが、走ってみて少しは縮まったと思うんですけど、順位を2つ落としてしまったことは課題だと思う。(レースの収穫は)練習を積めてきた中で結果を出せなかったので、レースをもっと経験して3大駅伝に合わせないといけないと思った。
・5区 小笹椋(済4=埼玉栄)
(レースプランは)7、8区に(山本)修二と相澤と主力が入っているがそれに頼らない走りを全員でしようと話していたので、まずキャプテンである自分が率先してその走りをしようと思って走った。(レース展開は)最初の3kmの入りも監督から言われていたのでその通りに入って、あとはもう淡々と自分のリズムを押して行くだけだったので、前に何校か目標があったのですごく走りやすかった。(5人抜きという結果に対して)順位を上げていくことも目標だったが、先頭の東海大、青学大と差を詰めていくことが1番の目標だったのでまだまだかなと。(バースデーランとなったが)皆さんが応援して下さって、個人的には全日本駅伝は苦い思い出しかないのでいい誕生日になったらなと思って走った。
・6区 鈴木宗孝(済1=氷取沢)
(レースの展開)とにかく前だけを見て走ろうと思って走った。(初の3大駅伝だったがどういった気持ちで走ったか)あまり緊張はしなかった。何も分からないのでとりあえず走ってみようという気持ちで初めての感覚をつかもうと思った。緊張というより楽しみの方が大きかった。(レースでの収穫と課題)3大駅伝というか何かがかかっている駅伝に始めて参加できたこと自体が収穫。その中でももう少し帝京大に追いつけるくらいの脅威になれなかった。他校の脅威となる選手になりきれなかったのが課題。
・7区 山本修二(済4=遊学館)
(レースプランは)先頭と1分半以内だったら自分と相澤で詰めていこうという話だったが、それ以上に差があって前が見えない状況だった。それでも自分の役目としてはしっかり先頭に追いつくことだったので初めから攻めの走りをしていこうと思ったが中々前を追うことが出来なかった。森田(青学大)にも26秒負けて、目標にしていた区間賞、日本人トップを取れなかったので力不足。1区から7区終わった時点でまだ青学大に誰も勝てていないので、まずは個の力を高めてそこからチーム力を上げていかなきゃいけないと思った。(どのような気持ちで走ったか)出雲の借りを返す、12秒で負けたその悔しさを返そうと思って攻めの走りをしていった。(箱根にむけて)今回主力の吉川と奏太(渡邉)がいなくて、中々苦しいオーダーだったと思うが、それでも全体的に力はついてきていると思うので自分たちの力を信じて一から鍛え直し、箱根駅伝では往路優勝、復路優勝、そして完全優勝できるように頑張っていきたい。
・8区 相澤晃(済3=学法石川)
(アンカーは志願したのか)出雲終わって12秒差で負けて、自分がアンカー走って優勝したいなと思った。(レースプランは)前半からしっかりハイペースで入って後半粘るというレースプランだった。前半はしっかり自分が考えていた通りに入れてよかったが、後半以降準備不足で思うように走れなくて、すごく自分の中で悔しかった。(2年連続の区間賞となったが)昨年は1区で今年はアンカーということで、2年連続区間賞を獲れたことは嬉しいし、主力として区間賞を獲ることは最低限の走りだと思っていたので、最低区間賞獲れてよかった。(総合3位という結果について)優勝を目指していての3位だったので、すごく悔しい。(箱根に向けて)箱根では今年往路優勝したが復路で負けて、総合2位という悔しい思いをしたので、来年はしっかり自分も区間賞を獲ってチームの総合優勝に貢献できる走りをしたい。
TEXT=両角あずさ PHOTO=小野由佳莉、稲村真織、谷口奏生、両角あずさ、長枝萌華、並木星夏、小島敦希、大谷達也