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2018全日本大学女子選抜駅伝競走
12月30日(日)富士山本宮浅間大社前~富士総合運動公園陸上競技場
総合9位 東洋大 2:28’02(43.4km)
1区 (4.0km) 田浦英理歌 13’17(12位通過・区間12位)
2区 (6.8km) 和田美々里 21’49(11位通過・区間8位)
3区 (3.3km) 室伏杏花里 10’37(9位通過・区間11位)
4区 (4.4km) 伊東明日香 14’56(7位通過・区間8位)
5区 (10.5km) 白川恵理菜 36’13(10位通過・区間10位)
6区 (6.0km) 山口いずみ 20’36(9位通過・区間6位)
7区(8.3km) 森田歩実 30’34(区間6位)
富士山女子駅伝は過去最高の9位で幕を閉じた
初めて1区に挑戦した田浦
1区・田浦(左)→2区・和田
3区・室伏(左)→4区・伊東
4区・伊東(左)→5区・白川
5区・白川(右)→6区・山口
6区・山口(左)→7区・森田
目標の8位入賞にあと一歩及ばなかった
晴天の中、全日本大学女子選抜駅伝(以下、富士山女子駅伝)が行われた。多くの応援を背中に富士山の麓を選手たちは駆け抜けた。入賞にはあと1歩及ばずも、過去最高順位の9位で今年最後のレースを締めくくった。
重要なスタートは自身初めての1区という田浦(食1=ルーテル学院)が出走。序盤転倒があるも「それが良い感じに緊張をほぐしてくれた」と田浦は振り返った。その後も冷静にレースを進め先頭と19秒差の12位で2区和田(食2=順天)にタスキをつないだ。和田は調子の良い状態ではない中で、ライバルたちに負けない走りを見せた。順位を1つ上げタスキリレー。3区は4年連続富士山女子駅伝を走る室伏(食4=白鴎大足利)だ。最短3.3kmのスピードレースで、室伏は積極的に前を追った。室伏は1年時に繰り上げスタートの苦い経験をし「富士山駅伝にかける想いが強い」と語った。その悔しさを力にして成長した室伏は順位を2つ上げ笑顔で伊東(食1=順天)にタスキを渡した。全日本女子大学駅伝(以下、杜の都)で力を出せなかったという伊東を永井監督は4区に起用した。「1秒でも早く次の人に渡そうと思って走った」と言う伊東は1年生ながら快走を見せた。順位を2つ上げエース白川(食3=常総学院)へ。
各校のエースが集う最長5区は白川に託された。白川は「11月12月で距離を踏む練習ができず不安が大きかった」という。2つ順位を落とし苦しい展開となったが、最後までエースの力走を見せた。ラストイヤーを迎える来年もエースは成長していくだろう。6区は山口(食3=順天)が出走。前半向かい風の中、山口は淡々とペースを刻んだ。後半追い風になってきてからも切り替えて区間6位の走りでアンカー森田(食4=浜松商)にタスキを渡した。森田にタスキが渡った時点で入賞まであと1つの9位。森田も室伏同様、1年生の時に繰り上げスタートを経験。しかし「そこから意識が変わった」と森田は今まで走り続けてきた。3kmすぎから上りが続く過酷なコースで森田は4年生の意地を見せた。最後トラック勝負になってからも諦めず懸命に走った。8位の日体大と1秒差の9位でゴールした。目標としていた8位入賞までにあと1秒という結果だけに森田は悔しさをにじませた。
東洋大としては苦手意識があったという富士山女子駅伝。10月の杜の都、今回の富士山女子駅伝と入賞まであと1歩の9位という結果で駅伝シーズンを終えた。「入賞にはとどかなかったが意味のあるレースになった」と永井監督は振り返った。優しい学生が集まったという4年生が引退し新チームがスタートする。今季果たせなかった入賞という目標は3年生以下の後輩たちに託された。この悔しさを力に鉄紺女子は更なる成長をしていくだろう。
■コメント
・永井監督
最後まで諦めずに、サポートに回った選手も含めていい駅伝ができたのではないかなと思う。1区に田浦、4区に伊東、1年生2人が練習でいい走りをしていて、思い切って田浦1区、全日本女子駅伝で力を出せなかった伊東を4区に使った。田浦は転倒があったということだったが、転んでからの動きはよく持ち直したと思う。いい経験ができたのかなというところと、伊東も今季最後の駅伝で来季につながるような、力を出し切った走りができたと思う。この2人に関しては来年に向けて戦力として収穫だと思う。(ラストレースになった4年生について)森田、室伏、そしてサポートに入った江口、曽我キャプテンが1年の時に経験した悔しさが次の年の杜の都のシード権獲得につながった。今回入賞ができなかった悔しさも来年の駅伝につなげていくためには、4年生がやってきたことはこれからもつながっていくのかなと思う。4年生は優しく、明るい雰囲気を作ってくれる学年。その反面、勝負に対する厳しさというものが物足りなかったが、チームの和を大切にする、優しい学生が集まった学年だった。(来季に向け)この駅伝はごまかしがきかない駅伝。距離も長いし、杜の都よりも一区間多い7人なので、東洋大としては苦手意識があった。苦手意識という意味ではエースの白川自身感じていると思うが、練習量をしっかり上げていかなければいけない。この駅伝を戦い抜く過程の中に杜の都があるという考えを持っていかないと時間が無いので、全体を通して富士山を戦える力をつければ杜の都も上位にくい込めると思う。今年は両方9位ということで入賞には届かなかったが、意味のあるレースになったと思う。新体制を迎え、これから上級生を中心にどうしたいかを聞いて、目標をしっかり立てていきたい。そしてこれまで4年生が1年やってきたことをもう一度見直しながら良かったところ、悪かったところを少しでも良くしていくことをみんなで考えていきたい。
・曽我主将(食4=須磨学園)
(富士山駅伝に向けて主将としてどのようなチーム作りをしてきたか)この一年間とりあえず、エースとか強い人とか走れている人だけが頑張るチームではなくてとにかく全員が頑張れるチームをどんな形であれ目指した。全日本の後もそこは崩さなかった。特別なことは何もせずにもう一度そこに帰ってもう一度頑張ろうということでやってきた。(4年生としては)ここで競技引退の人もいれば実業団で続ける人もいるが、この4年間大学でやってきてもう一度監督を喜ばせたいという話があった。(出走した室伏選手、森田選手の走りを見て)4年間ずっと一緒にやってきてすごく思い入れが強かったというのはあるが、2人とも順位を上げたりすごく頑張ってくれてよかったと思う。(後輩に向けて)4年生が抜けて、また雰囲気とかも変わると思うが昨年の結果があって今年の結果、今年の結果があって来年の結果とつながっていくと思う。今年個人では悔しい思いをした人もたくさんいて、その思いを忘れずにいてほしい。また、1秒の重みということをもう一度頭に刻んで、新しいチームで新しい歴史を刻んでいってほしい。
・1区 田浦(食1=ルーテル学院)
初めての1区だったので、1秒でも早く2区の美々里先輩に渡そうと思って走った。最初コケてしまって焦ってしまったがそれが良い感じに緊張をほぐしてくれて冷静に走ることができた。(1区と決まったのは)富士にきてからのことだった。高校時代に1区を走り、結果が悪く良い印象がなかったが、今回走ってすごく良いという訳ではないが、楽しんで走ることができてよかった。(結果については)今回の富士山女子駅伝も、全日本女子大学駅伝と同じ9位だったが、今回は大差ではなく少しの差だったので、自分がもう少しいっていれば変わっていたかなと思うと来年頑張っていきたい。全日本で9位でシード権をとることができなかった。今回の目標も入賞だったので悔しい。(今年1年を振り返って)今年は5000mを初めて走って自己ベストを出して良い感じだったが、チームでは目標を達成することができなかったので悔しい。(来年へ向けて)来年は4年生が抜けて結構いたい感じだが4年生の代わりに走れるような人達がでてきて、その穴を埋められるようになって来年の全日本、富士山は入賞出来るように頑張りたい。
・2区 和田(食2=順天)
あまり調子の良い状態で迎えることができなかったので、レースプランというのは考えていなくて、もらったところで粘って最後まで走り切ろうと思った。(レースの展開は)周りが速い人ばかりだったので、集団の中で付くところ、付かないところを見極めてレースを進めた。突っ込みすぎないよう、自分の限界まで走れるようにすることを心掛けた。去年は短い区間での出場だったが、今年はしっかり距離も伸びた区間を任せてもらえたので、少しでも順位を上げたり、後半に向けてのいい流れをつくれるような走りがしたいと思って挑めた。(今回の課題は)下りが続くレースが初めてで、ラストに入っての切り替えというのができなかった。今後はどんなレースになっても、ラストの切り替えという部分はしっかりと意識したいなと思った。(来季に向けての目標は)トラックは5000m15分台をしっかり出して、駅伝では今季長い距離に対しての不安があるレースになってしまったが、その不安をなくして、アップダウンに強く、チームの流れをつくれる選手になりたいと思う。
・3区 室伏(食4=白鴎大足利)
(レースプランは)3.3kmという短いコースだったので前半から積極的に行こうと思って走った。(レース展開は)みんな結構つっこんでたので最初、自分もその流れに乗って行ったんですけど、オーバーペースで速かったのでそこは冷静に対応して、自分は集団に付かず1人のペースで最初の1kmから走ったんですけど、そしたら前にいるチームをとらえることができたのでそこから自分のリズムがつかめて最後まで走ることができた。(3区起用について)今回の富士山までに全日本が終わってから登録のメンバーには入っていたんですけど、出走メンバーには私がギリギリの状態だったので走れるかわからなかったので、それで3区走らせていただけることになったので感謝してる。(チームと個人の結果について)短い区間でタイムからしたらもう少し速く上で走れたと思うのでそこはラスト1kmのペースを上げるところができてなかったのでそこは課題なんですけど、チームとしては8位をずっと狙っててあと少しのところだったんですごく悔しいんですけど、やっとチーム全員で入賞に向かって一人一人が1秒でも前にという気持ちで走った結果だったので、これで私たちは終わるんですけど後輩たちが次に繋げてくれると思うので来年の後輩たちがチームの目標を達成してくれると思う。(1年生の時に繰り上げスタートを経験してそこからの成長は)1年生のその時は1区でスタートを切ったんですけどその時にビリだったので、だからこの富士山駅伝にかける思いがすごく強くて、自分たちが4年生になった時に4年生みんなで頑張ってそれをチームに伝えていくっていう風にやってきたので、それが形となって後輩達と一緒に入賞目指すチームになれたのは大きいと思う。(大会前に4年生で話し合ったことは)4年生全体で話し合ったことはないんですけど、全員がラストのレースだったので、最後笑って終われるようにまずは目の前のことからやっていって、それで大会当日を迎えて大会は笑って終わろうということで話はしていた。(4年間を振り返って)私は1年生の時から4年生まで結構試合に出させていただいたのて、思うようにいかなかった時期もあるんですが4年間を通してたくさんの方々に応援していただけてとても感謝してる。(後輩へ向けて)私たち4年生が抜けても頼れる後輩たちばかりなので来年はまず全日本から上を目指して、そして富士山女子駅伝で入賞以上を目指してほしいと思う。
・4区 伊東(食1=順天)
(本日のレースプランは)関東女子や杜の都はあまり結果がよくなかったので、あまり自分を追い込みすぎないで楽しく走ろうということで何も考えずに走った。(レース展開は)前が近くに見えていたので、そこまで追いついて1秒でも早く次の人に渡そうとと思って走った。前だけでなく、前の前まで見えていたことが順位を上げることができた要因であると思う。(課題と収穫は)最初飛ばしすぎてしまって後半失速してしまうところが杜の都に続きあったので、そこは直して行きたい。(来年の目標は)今回チームとして9位で終わってしまったので、入賞できるように一年間頑張っていきたい。
・5区 白川(食3=常総学院)
(レースプラン)富士山での最長区間は初めてだった。10.5kmということでメンバーを見て、他の大学は皆んなエースが集まっていた。その中で走れるのは嬉しかった。だが、11月12月で距離を踏む練習をしていなくて、不安が大きかった。走る前も距離に対する不安があった。それでも今できることは精一杯やろうと思って臨んだ。(実際のレース展開)東農大や大阪学院大とほとんど一緒にスタートした。そこについて行きたかったが、力の差を感じて置いていかれたのが悔しいというか、自分の力がないと実感させられたレースだった。(収穫と課題)ほとんどが課題。10kmを走るだけの体力や筋力がまだまだないと実感した。つぎは4年生でラストのトラックシーズンが始まる。そこに向けてもう一度体づくりをする。距離を踏まなきゃ長い距離を走れないというのが分かったので、ロングジョグをしたり距離走を練習に入れていきたいと感じている。(新体制について)新体制についてはどうなるか全く分からない状態。自分は今できることを精一杯やって走りでチームを引っ張っていける存在になりたい。(来シーズンに向けて)今年一年間を振り返ると満足の行く試合が数少ない。一年間苦しんだし、悔しい思いをした。来年は4年生で全ての試合が本当に最後になる。一つ一つの試合を大事にして、満足のいく結果。駅伝に関しては必ず後輩にシード権を残して卒業したい。
・6区 山口(食3=順天)
朝監督から自分一人でなんとかしようと思わずに、チーム全体を信じて自分の力を出し切れば8位に入れるからという話があったので最初から突っ込まずに落ち着いてレースをしようと思って、自分は結構同じペースを刻んでいくのが得意なのであまり突っ込まずに落ち着いて入った。(順位を一つ上げる走りだったが収穫は)最初3kmがかなり向かい風で後半は少し追い風になったので、切り替えていつも以上に粘れたことは大きかったかなと思う。(苦しい走りになった白川選手からタスキを渡されて)いつも(白川)恵理菜に頼りきりのチームになっているので、今回も10kmは恵理菜以外にいないという感じでの決定だったので、そこに負担ばかりをかけないようにそれぞれ他の区間でも恵理菜に頼らない走りをこれからできるようにしたい。(6区で起用されて)自分の予想では4区か6区というのは結構前から思っていたので、今まで去年一昨年とけがに悩まされてギリギリ間に合って3km区間というのを繰り返していたので、今年はもっと長いところを走ろうと思っていて監督の意見と自分の意見も合ったかなという感じ。(けがの少ないシーズンだったということか)去年の全日本をけがで外れて以来痛いところはなくけがなくできた、1年を通して。(ラストランになる4年生の森田とタスキをつないで)3年間一緒に過ごして一番仲がいいと言ったらあれだが本当に大好きな学年なので先輩とタスキをつなげたことが本当に良かったと思うし、走っているときも結構そのことばかり考えていて4年生ラストランということを考えていて、それが力になったと思う。(過去最高順位ではあるが入賞まであと一歩の9位という結果について)目標は8位入賞だったが、それをあと一歩手前で逃すというのがやっぱり今の実力なのでそれをもっと確実なものにして、次の全日本では2年連続で悔しい思いをしているので8位以内とは言わず、もうちょっと上を狙っていけるようなチームをあと1年間かけてつくっていければと思う。自分たちも4年生になるので、最後の力をしっかり出して後輩に残せるように頑張りたい。(来年は最終学年になるが)1番はやはり全日本大学女子駅伝での結果を残すことなので、それに向かって春先から夏のシーズンはしっかり自分の5000mでのベストを出して駅伝にいい流れをつくれるように頑張りたい。
・7区 森田(食4=浜松商)
前半は落ち着いていって後半にかけてしっかり粘っていくレースにしようと思った。(実際に走ってみて)やっぱり後半の上りで足が動かなくなってしまったので、そこが8位と9位で9位になってしまった差かなと思う。(最後の大学駅伝となったが)8位入賞をチームの目標にしていたのでそこを獲りたかった、しかも秒差もないぐらいの差で負けてしまってとても悔しかったがやっぱりこのチームで4年間走れたきて本当に良かったなと思う。(1年生時の今大会で繰り上げスタートを経験しているがそこから得たものは)自分が区間ビリくらいで走ってしまったことで後半区間にタスキをつなげなくて、そういう区間ビリというのもタスキを渡せないというのも人生で初めてで本当に悔しかったし先輩たちに迷惑をかけてしまって、そこから意識も変わってしっかり自分の力を出し切れるようにという思いが一つ一つのレースで強くなった。(大会前に4年生で何か話したか)全日本で悔しい結果になったので、富士山は全員で笑顔で終われる駅伝にしようと話した。(今大会は毎年地元での開催だが)沿道からもいっぱい応援していただいて、それがラストや中間の粘りにもつながったと思う。(後輩へ)今年は全日本も富士山も9位で本当に悔しい結果になってしまったので、後輩たちは悔しい思いをしないようにここからまずは全日本に向けて頑張ってほしいと思う。
TEXT=両角あずさ PHOTO=大谷達也、長枝萌華、両角あずさ、小島敦希、並木星夏、稲村真織