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2019.01.04
陸上競技

[陸上競技]1分14秒のリード守れず総合3位フィニッシュ 小笹主将「力がある後輩たちなら来年は勝てる」

第95回東京箱根間往復大学駅伝競走 復路

1月3日(木)箱根町芦ノ湖駐車場入り口~大手町読売新聞東京本社前


総合3位 東洋大   10:58’03 

復路5位 東洋大   5:31’32


6区(20.8km) 今西駿介   58’12(1位通過・区間3位)

7区(21.3km) 小笹椋  1:03’45(1位通過・区間3位)

8区(21.4km) 鈴木宗孝  1:04’44(2位通過・区間3位)

9区(23.1km) 中村拳梧  1:12’20(2位通過・区間19位)

10区(23.0km) 大澤駿 1:12’31(区間10位)



主将を務めた小笹は、報告会で涙ながらに挨拶をした


歴代5位の力走を見せた6区の今西

7区の小笹は主将の意地を見せ、トップを守り切った

1年生ながら唯一箱根路を走り、区間3位にまとめた鈴木


中村拳は最初で最後の箱根路を力強く走り抜いた


3大駅伝デビュー戦でアンカーという大役を務めた大澤


総合3位という悔しさは、必ず次へのステップとなる


 往路優勝を果たし、2位の東海大に1分14秒のリードを持って迎えた翌日の復路。悲願の5年ぶり箱根駅伝(以下、箱根)王座奪還へ。選手たちは怯まず前へ足を進めるも、8区で東海大に逆転を許し2位に後退。その後の10区ではさらに青学大にかわされ3位に。最後まで東洋大らしい粘りの走りを見せたが、総合3位でフィニッシュした。


 復路のスタート・6区を任されたのは、前回大会でも同区間に起用された今西(済3=小林)。「自分が勝負を決めないと」。その言葉通り、最初の4kmを区間記録より15秒速いペースで通過。後続との差を引き離していく。しかし猛追する中島(東海大)も黙ってはおらず、二人の差は広がっては狭まってを繰り返していく展開に。終始、拮抗(きっこう)した走りが繰り広げられた。前回大会では、トップを力走するも15km地点で小野田(青学大)に逆転を許してしまった今西。しかし今大会は、一年間の成長を感じさせる歴代5位の走りでトップを死守。タイムは中島に比べて6秒劣ったものの、2位の東海大よりも1分8秒早く鉄紺のタスキを小田原中継所へと運んだ。


  例年、酒井監督が重視する “復路の2区”である7区。今大会、総合優勝に向け大事なカギを握るこの区間に起用されたのは、主将を務める小笹(済4=埼玉栄)だ。小笹は最初の1kmを2分40秒というハイペースで通過。「次の走者が鈴木で1年生だったので少しでもリードを保つ、もしくは広げなければいけないと思っていた」。主将として、1年生を思うがための力走だった。しかし膝の不安や、足の裏のマメがつぶれたことが影響し徐々に失速。2位を走る阪口(東海大)との差は、足を進めるごとに縮まっていった。それでも小笹は前だけを向き、懸命にひた走る。顔を歪め、フォームを崩しながらも、大きく腕を振り“怯まず前へ”。最終的に東海大に4秒差まで詰められたが、区間3位の力走で続く鈴木(済1=氷取沢)へとトップでタスキをつないだ。


 8区を出走したのは1年生の鈴木。陸上競技歴はまだ3年という異色のランナーが、箱根路へと駆け出していった。2位の東海大と“4秒”という差でスタートした鈴木は、虎視眈々(こしたんたん)と自分の走りを進めていく。しかし後を追う小松(東海大)がスタートから300m地点で鈴木に追い付くと、そこから鈴木をぴたりとマーク。並走状態が続いていった。「東海大を意識してしまって、自分の中で焦りの気持ちが出てしまった」。鈴木の心情は乱れていた。そんな中、ついにレースが動く。14.6km地点、鈴木の表情をうかがいながら走っていた小松が、一気にペースを上げたのだ。小松のスピードに鈴木は対応できず、ついに逆転を許してしまう。差は徐々に広がっていき、そのまま2位でタスキリレー。50秒差で9区の中村拳(済4=八戸学院光星)へと望みを託した。


 復路で最も距離が長い9区を任されたのは、今大会が3大駅伝デビュー戦となる中村拳。大学生活を締めくくる大舞台へ、勢いよく飛び出していった。トップを走る湊谷(東海大)と1分も差がない状況の中、前半は湊谷とほぼ同じペースでレースを進めていく。しかし、総合優勝に向け大きなプレッシャーがかかるこの場面。最初で最後の箱根出走となった中村拳は、普段通りの走りを見失い始めてしまう。後半、さらにペースを上げたいところであったが徐々にペースダウン。前との差はみるみる広がり、ついには3位を走る吉田(青学大)にも迫られてしまう展開に。「練習とかは順調にできていたが本番で力を出すという能力が足りなかった」。経験の無さが露呈し、苦しいレースとなってしまった。それでも4年間、必死に追いかけてきた夢の舞台である箱根。中村拳は思うように脚が動かない中、必死に2位を守り抜き大澤にタスキリレー。東海大との差は3分35秒に広がり、青学大は8秒後ろに迫っていた。


 勝負を決めるアンカーは、中村拳と同じく3大駅伝デビュー戦となる大澤(済2=山形中央)が出走。勝負の中でも、経験を積ませたいという酒井監督の狙いゆえの起用であった。大澤は、8秒後ろに迫る鈴木(青学大)にも怯むことなく比較的ハイペースなレースを展開。しかし、2.2km地点で鈴木に追いつかれると、徐々に後退していってしまう。ペースを上げ、再び2位に踊り出たいところであったが逆転ならず。大澤は悔しさをにじませながら総合3位で大手町のゴールテープを切った。「4年生を優勝させたかったという気持ちが大きかったので、非常に悔しい」と大澤。しかしこの悔しさが、さらなる飛躍の糧になるに違いない。


 往路連覇を果たしたものの、復路5位、総合3位に終わった東洋大。総合優勝を目指していただけに、悔しい結果となった。「後輩たちが来年は優勝してくれると思うので、安心して卒業できる」とエースの山本修。主将の小笹も「誰か一人主将が決まったらその主将についていって同じ方向を向いて一つの目標に向かっていったら、力自体はすごくあるので来年は勝てると思う」と語り、後輩たちへ望みを託した。4年生が大手町で流した悔し涙。後輩たちはその涙をしっかりと胸に刻み、来季に向けて歩みを進めていく。

 「東洋大らしい攻めの走りや諦めない姿勢がなければ総合優勝は厳しいので、その場面をもっと増やしていきたい」と酒井監督。6年ぶり、悲願の箱根王座奪還へ。2020年1月3日、大手町で監督を胴上げする選手たちは、鉄紺のウエアを着ているに違いない。


▪コメント

・酒井監督

(復路の結果を受けて)優勝を狙っている中で9、10区の区間2ケタは痛恨のミスだった。ですが、ゴールにつくまでもよくやったし、タスキをつなぐこともできたので、選手はよくやってくれたと思う。(10年目の箱根駅伝は)大いに往路優勝、11年連続3位以内というのは選手、チームスタッフ、周りの人たちを含めて感謝したいなと思う。(区間変更の狙いは)鈴木は単独走が得意な子なんですが、流れを重視して8に置いて、10に関しては大澤を起用したが2年生の中で経験を積ませないという狙いだった。もう少し出して欲しかった。(4年生のラストレースを見届けて)小笹は走る前からひざの不安があって、マメもつぶれて本来のフォームを崩して苦しい走りになった。それでもよく頑張ってくれたと思う。拳梧に関しては残念ながら力を発揮できなかった。調子自体も悪くなかったし、強いて言うなら経験がなかったということ。3大駅伝の経験がないことが優勝争いで出てしまうし、彼に重荷になってしまった。4年生は様々な取り組みをしてきた中で、変化に柔軟に対応してくれた学年だなと思う。最後に人数は減ってしまったんですが、一人ひとりの役割は十分大きかった。(来季のシーズンに向けて)東洋大らしい攻めの走りや諦めない姿勢というのは今回も現れる場面はあったのかと思う。これがなければ総合優勝は厳しいのでその場面をもっと増やしていきたい。悔しさと経験をバネにしながら卒業生は社会人で活躍をしてくれるので、その土台をあらためて箱根駅伝一戦一戦大事にしていきたいと思う。


・6区 今西駿介(済3=小林)

監督の指示だと6、7区で決まるというふうに言われていたので自分が勝負を決めないといけないと思った。(序盤かなりハイペースだったが)ぶっとばした。最初の5kmで腹痛も起きてしまってちょっと精神的に苦しくなったが、そこから差が離れてるというふうに聞いて気持ちを立て直すことができて記録的には満足。(人間じゃない走りができたか)「人間じゃなくなりたいです」と言いたかったが「人間になりたいです」と言ってしまって、それがちょっといろいろなところで使われてしまった。やっぱりその上をいかれたので自分がもし区間賞を獲れていたらそうだったと思うが、その上を小野田さんにいかれてしまったのでやっぱりまだ人間ですかね。


・7区 小笹椋(済4=埼玉栄)

次の走者が鈴木で1年生だったので少しでもリードを保つ、もしくは広げなければいけないと思っていたが逆にリードを縮められてしまってチームにも鈴木にも迷惑をかけてしまって、また6区までのいい流れを止めてしまったので不甲斐ないなと思う。(総合3位という結果について)流れが大事だなとすごく感じて、流れを自分が止めてしまって自分以降の復路の走りで順位が下がってしまったので、責任を感じている。(4年生に向けて)人数も少ない学年ですごくある意味ではまとまりやすかったのでチームワークもあっていい学年だったので、選手として走れなかった4年生もサポートだったり支えてくれたりしてそういったみんなのためにも、優勝したかったが力不足で悔いも残る結果になってしまって、4年生は主将としてあまり引っ張りきれなかったのでそういう面でも支えてくれたのですごく感謝している。(酒井監督に向けて)期待していただいたほどの成長はできなかったと思うがそれでも最後まで期待してくれて、本当に人間性の面でも競技面でも成長できた4年間だったと思う。監督や監督の奥さん、スタッフ、コーチ、支援してくださった皆様に4年間お世話になったと改めて箱根駅伝を走って感じたので、本当に感謝している。(後輩たちへ)誰が主将になるかはまだわからないが、一人一人がすごく力もあるしいい奴ばっかりなので今西なんかも「来年は優勝します」と言ってくれたので、誰か一人主将が決まったらその主将についていって同じ方向を向いて一つの目標に向かっていったら、力自体はすごくあるので来年は勝てると思う。(東洋大学に入って)応援してくれる人の多さ、支援してくれる方の多さ、ファンの多さというのをすごく感じていて、そういった人たちへの感謝の気持ちだったりそういう状況が当たり前じゃないんだという考え方というかそういう気持ちを4年間で培ったと思うので、社会に出てもそこから気持ちを忘れずに今後の陸上人生だけでなく、僕の人生につなげていきたいと思う。


・8区 鈴木宗孝(済1=氷取沢)

遊行寺の坂が課題だと思っていたので自分の中では遊行寺を過ぎた辺りから仕掛けていこうと思っていた。ただその前から東海大を意識してしまって、自分の中で焦りの気持ちが出てしまったことがよくないと思った。(トップでタスキをもらったが)東海大との差がそれほどないことは聞いていたのでとにかく焦らず、まずは自分のペースで速いピッチでおしていこうと思っていた。(区間変更については)ちょうど昨日の夜に、監督から直接電話があって、「いけるか」というふうに言われたので、僕はいくしかないなと思っていた。準備はしていたが、監督から言われてみると、もう一度走ってやろうという気持ちが出てきた。


・9区 中村拳梧(済4=八戸学院光星)

後半にしっかり上げたいレースだったが、前半からもういっぱいいっぱいになってしまってらしくないレースになってしまって申し訳ない。(最初で最後の箱根駅伝になったが)練習とかは順調にできていたが本番で力を出すという能力が足りなくて、往路を走ったみんな、今まで走ってきたみんなに本当に申し訳ない。(後輩たちへ)来年は絶対往路優勝だけじゃなくて復路優勝と総合優勝をすることができると思うので、来年は絶対に勝ってほしい。(監督へ)4年間育ててくれて感謝しているし最後結果で恩返しすることができなくて、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。


・10区 大澤駿(済2=山形中央)

(レース前に監督からの声掛けは)青学大と東海大が前後に来ているので最初は少し速いペースでいかないといけないと。(青学大が数秒後ろにいた中でのスタートだったが)結構速めのペースで入ったつもりだったが、すぐに追い付かれてしまったので、そこは自分の力不足だと思った。(総合3位という結果について)4年生を優勝させたかったという気持ちが大きかったので、非常に悔しい。(今後は)次は優勝できる姿を見せられるように、1年しっかり鍛錬していきたい。


TEXT=小野由佳莉 PHOTO=松本菜光花、小野由佳莉、渡部穂乃花、水野桜、森美香子、齋藤洋、越塚日南

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