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2015.09.14
陸上競技

[陸上競技]松永が優勝!マイルも3位表彰台へ上がる

第84回日本学生陸上競技対校選手権大会

9月13日(日)ヤンマースタジアム長居


▼3日目

男子1万m競歩 決勝

1位 松永 39'18"04 

4位 及川 40'11"73


男子4×400mリレー 決勝

3位 東洋大(辰野―池田―櫻井―ウォルシュ)3'07"35 ※東洋大新


男子走高跳 決勝

9位 山下義 2m13


他種目優勝

1位 東洋大 4種目 ※日大、順大と同順位


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松永(右)はラスト2000mで切り替え日本一を勝ち取った

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表彰台に上がり笑顔を見せたマイルメンバー

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これまでチームを盛り上げ、支えてきた短距離部門の4年生


 2日目までのいい流れを受け取り、大会3日目は競歩で松永(工3・横浜)が優勝。またマイルも3位に入賞し、表彰台へ上がった。4種目において優勝者を出した東洋大は多種目優勝1位に輝き、3日間の戦いを終えた。 


  

 序盤からハイペースなレースとなった。松永は山西(京大)と競り合いながらトップを進む。ところがレース中盤。関カレでは他を寄せ付けない圧巻の走りを見せ、ユニバーシアード3位という実力を持つ松永が、山西に前へ出られ離されてしまった。 しかしそのまま負ける松永ではない。「学生には負けたくない」。残り 2000 mでスピードを上げて抜き返し、再びトップに立つとそのままペースを落とすことなく、大会新記録でゴールした。 松永は1通間程前から左ももに不調を抱えており、一時は欠場を考えるほどであった。万全の状態でなくとも結果を出したことに「安定した強さが出てきた」と酒井監督は評価する。
 一方、関カレでも競った野田(明大)との3位争いとなった及川(済2・愛知)は、「絶対に3位に入ってやる」と気持ちを強く持つが、終盤で引き離され4位に沈んだ。
  
  予選を組トップで通過した4× 400 mリレー。1走の辰野(法4・西武台千葉)が「いい位置でバトンを渡せた」と流れをつくる。先輩から託されたバトンを1年生二人がつなぎ、優勝の夢はアンカーのウォルシュ(ラ1・東野)へゆだねられた。バトンを受け取ると一気に2校を追い抜きトップへ躍り出る。しかし、序盤のハイペースが響きラストで巻き返され3位でフィニッシュ。ウォルシュは「辰野さんに恩返しとして金メダルをあげたかった」と悔しさをにじませた。「またこの舞台に帰ってきて優勝したい」。3走を走った櫻井(総1・國學院栃木)は誓う。マイルは4人中3人が1年生と、まだまだ伸びしろのあるチームで東洋大記録を叩き出した。優勝を目指し、走りに更なる磨きをかける。 
  
  
 3日間の戦いで東洋大は短距離、長距離、競歩の3部門から優勝者を出し、オールラウンドなチームであることを改めて確認することができた大会となった。今大会で得た課題を改善し、今後は新人戦や駅伝などそれぞれの目標へ突き進む。

■コメント

・酒井監督

松永はユニバーシアード後で、来年のリオを考えて20kmをやっている中ではあったが、 学生のタイトルは経過としても取っておこうと。 桐生、戸塚、弾馬に続いて4人目の優勝者になることが最低限の目標の中で、39分30秒切りと大会新は予定通り。(評価は)ゆさぶりが長かっことと、逆に自分がやられたときに焦りが出てしまったことが課題。ただ状態が決してベストではなく、その中でもう一度巻き返して優勝したパフォーマンスは非常に評価できる。勝って当たり前という中で勝つことは大変な力が必要なので、安定した強さが出てきたのたと思う。及川は関カレでも野田(明大)に負けているので、現状の中では頑張ったと思うが表彰台に上がるためには39分台がまず必要。対応できるスタミナと筋量のある体をつくっていきたいと。部門として、目指す大会はそれぞれ違うがしっかり練習できている。これからもインカレと世界を目指してしっかりやっていきたい。


・土江コーチ

(マイルを振り返って)優勝できるチャンスのあるレースで、結果的に負けたが日本の大学の頂点を争うことができた。4年生が辰野一人、あとの3人が1年生ということで、4年生の思いと将来的な可能性の両方を感じることができたいいレースだったと思う。(準決と走順を変えたのは)レースを展開する上で、前で展開したいと思っていた。昨日の段階では3走を走った池田がかなりよく走れていたので、前に持ってきて前で展開をしようという意図があった。結果的に今日は櫻井もかなり走れていたので、大きな違いにはならなかった。(走高跳は)跳んだら自己ベストというところで失敗してしまったが、来年のキャプテンになる選手でもあるので、自分としてはまだ上を狙えると思っている。残念な部分はあるが、ベストが出るかというところの勝負がこういう場所でできるというのは非常に良かったのではないかと。(3日間を振り返って)多種目優勝ということで、100m、三段跳、5000m、競歩でまんべんなく戦えた。チャンピオンが出たということなので、すごくバランスのいいチームということだし、それを確認できたので良かった。惜しいレースもマイルやウォルシュが予選落ちしてしまったり、いろんな失敗もあったりしたので、そういった選手はまた来年に向けて頑張りたい。


・辰野(法4・西武台千葉)

いい形ではないけれど自分の走りを最後にまとめられたのではないかなと思う。(1走の起用は)ずっと自分で適正ではないと思ってきていて、監督にもいやだいやだと言いながら故障などもあったので、1年生ぶりくらいにやった。いいところでバトンを渡すことができたと思うので、良かった。(4年間を振り返って)辛かった。本当に大学の陸上はけがとの戦いでいいところが全然なかったけど、こうして最後に1年生に助けられながらも入賞できて良かった。


・松永(工3・横浜)

1週間半前から左ももの調子が良くなくて欠場も考えていた状態だったので、優勝できて良かった。(自己評価は)優勝はもちろんタイムを狙おうと思っていたが、足の状態もあり、しっかりと仕掛け切れないレースとなった。イーブンペースを刻んで、ラスト上げて自己ベストを狙おうと思っていたが、前半から予想以上に速かった。(中盤は)後続を突き放せなかったり、まさか離されるとは思っていなかったのでひやひやしたが、無理はしない程度にラスト2000mで切り替えられたのが良かった。学生には負けたくないし、自分は学生の中では一段階抜けていると思っているので、ここで負けていたら今後の世界大会では通用しないという思いはあった。合格点は与えられる。(今後に向けて)出場したユニバや世界陸上を見ていて、どれだけ持ちタイムが速くても強さがなければ世界では戦えないと思ったので強さを磨いていきたい。


・及川(済2・愛知)

調子が良かったので、松永さんまではいかなくても2番手にいきたいと臨んだ。(レースプランは)付いていくレースになると思っていた。明大の野田くんと京大の山西、自分、松永さんの4人になると思っていたので、その二人より前の位置でレースをしたかったが、早い段階で松永さんと山西のペースアップに付いていけなくなったので3位狙いに切り替えて歩いた。(途中からずっと野田さんと二人だったが)絶対3位に入ってやるぞという気持ちで後ろに付いて相手の様子を見ながら、あまり体力を使わずに勝負を仕掛けるところをうかがっていた。相手もきつそうだったが結果的に自分もきつくなって最後はやられてしまった。今年度はあまり動きが良くなくて苦しい状態が続いたが、夏合宿後半から調子も動きのレベルも上がってきて今回もいい状態で臨めた。負けはしたけれど手応えはつかめているので、この動きのイメージを持ちつつしっかり長い距離への用意をして、今回負けた野田、山西に20kmで勝てるように頑張っていきたい。


・池田(法1・岩村田)

予選ではいい感じで走れていて、自分の中でもベストで走れた。決勝は初めて2走を走って、走り方とかまだ慣れてないのとタイム的にもチームに貢献できなかったので、今後はしっかり経験を積んで頑張りたい。(予選と走順が変わって)内側に入ってガンガン前に攻めていくレースが好きだが、2走は100メートルだけレーンに沿っているので、少しだけ気持ち的に走りにくかった部分もある。 (レース前は)監督に普段は前半に体力を溜めて後半に飛ばすレースをすると言われていたので、前半から積極的にいこうと思っていた。最高学年の偉大な先輩からいい位置でもらったので、これはしっかり後につながなければという気持ちでいっぱいだった。(3位という結果は)チーム的には良かった。嬉しい。自分が昨日より0.9秒も落ちているのでそれをもう少し上げられたらもっとチームに貢献できたと思う。全国の決勝の舞台は高校のときに一回あったが、こんな大きな舞台で走らせていただいて本当にいい経験をさせてもらった。(今後は)1年生が3人のチームなので、これからしっかり引っ張って新人戦や今後まだ大会があるので、最後まで走り切って冬期練習に臨みたい。


・ウォルシュ(ラ1・東野)

4年生が最後なのでいい思いをさせたいなと思っていた。最初抜かして、そのままゴールできると思っていたが、最後にたれて抜かされてしまって悔しい。(気持ちのこもった走りだったが)マイルの走り方に慣れていなくて作戦とかできないので、突っ走っていこうと。辰野さんには今までお世話になってきたので恩返しとして金メダルをあげたかった。(今後は)この同期3人で勝ちたい。(インカレは)楽しかった。これからは来年のリオに出れるよう標準を切って頑張りたい。次は関東新人で100mと200mを走るので、新しい自分を見せたい。


・櫻井朴(総1・國學院栃木)

昨日の予選は2走だったがチームで一番ラップが遅くて足を引っ張ってしまったので、今日は切り替えて臨もうと思っていた。今日3走だったのは、監督が昨日のラップを見て池田と自分の調子のよしあしで交替した。ただ3走になったからといってやることに変わりはないと思ってラップの自己ベストを出せたので、今日は自分の仕事をしっかりできたかなと思う。(バトンパスは)辰野さんがいい位置で持ってきてくれて、あとは1年二人でつないでジュリ(ウォルシュ)につなぐというだけだった。(3位という順位は)本当は優勝を狙っていたが1年生から表彰台に立ててうれしい。(マイルメンバーに選ばれた要因は)フラットは本当は遅いが、練習からがんがんアピールし続けた結果かなと思う。1年で3位だったので、2、3、4年とまたこの舞台に帰ってきて必ず優勝したい。


TEXT=吉川実里 PHOTO=石田佳菜子、野原成果