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第100回日本陸上競技選手権大会
兼 第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)代表選手選考競技会
6月24日(金)~26日(日) パロマ瑞穂スタジアム
男子100m 予選
2組
1着 桐生 10"37 ※準決勝進出
男子100m 準決勝
2組
2着 桐生 10"29 ※決勝進出
男子400m 予選
3組
1着 ウォルシュ 45"54 ※決勝進出
男子800m 予選
1組
4着 眞柄 1'51"31
男子1500m 予選
2組
9着 小室 3'49"68
3組
6着 堀 3'46"69
予選の課題を修正した桐生
リオ五輪参加標準記録まで0.14秒まで迫ったウォルシュ
眞柄は2度目の日本選手権 惜しくも決勝進出を逃した
リオデジャネイロ(以下、リオ)五輪の最終選考となる日本選手権が開幕。1日目からリオ五輪出場権獲得に限りなく近い100mの桐生(法3=洛南)、400mのウォルシュ(ラ2=東野)が登場した。両者とも決勝進出を決め、大会2日目に勝負の決勝。リオ五輪内定へ向かう。
男子100mの桐生は先日の個人選手権で10秒01の派遣設定記録を突破しているため、今大会で8位以内に入ることでリオ五輪内定をほぼ確実にする。しかし、彼が目指すものは優勝してリオ五輪に行くこと。予選では後半を流す余裕の走りで難なく準決勝に駒を進めた。しかし、「予選はバラバラ過ぎた」と走りが安定しなかったことを課題に挙げた。迎えた準決勝では今季2敗喫している山縣(セイコー)と同組でのレース。準決勝にして最強のライバル対決に会場の注目が集まる。「スタートから中間の乗りを意識した」と予選よりもスムーズな加速を見せた。ラスト20mは横を確認しながら駆け抜けたため、山縣に0.03秒の先着を許した。準決勝ということもあり、勝負よりも自分の走りを確認した桐生は「今日走っていい感じのレース展開が分かってきた」と手応えを掴んだ。2日目の決勝はケンブリッジ(ドーム)、山縣との3強対決となる。日本選手権で1年ぶりの日本一。そしてリオ五輪への切符を確実に手に入れたい。
男子400mではウォルシュがリオ五輪の参加標準記録を狙って出場。日本選手権11連覇中の金丸(大塚製薬)との対決に注目が集まった。今季日本ランキング1位のウォルシュだが、先日の個人選手権ではわずかに標準記録突破を逃し、今大会がラストチャンスとなる。ウォルシュよりも一足先、1組目に出走した金丸がまさかの予選落ち。衝撃の展開だった。3組目にはウォルシュの他、持ちタイムが45秒44の藤原(ユメオミライ)が登場。「藤原選手がいたから前半意識していた」と前半から攻め、1着でゴールに飛び込んだが、電光掲示板は45秒54。参加標準記録の45秒40には0.14秒届かず、悔しさを露わにした。強豪たちを上回り、予選をただ一人45秒台で1位通過したウォルシュは「僕の時代が来る感じ」と自信を覗かせた。あと一歩タイムが及ばなかった原因に前半の走りを挙げた。藤原を意識した結果、いつものフォームが崩れてしまったのだ。決勝では前半の走りを修正し、「(参加標準を)絶対切りたい」とラストチャンスに全てを掛ける。
二人の他にも800mに眞柄(済3=三条)、1500mに掘(済3=大牟田)、小室(済1=仙台育英)が大舞台に挑んだ。眞柄は2度目の日本選手権となり、決勝進出を目標にレースに挑んだ。同組の日本記録保持者、川元(スズキ浜松AC)に遅れることなく落ち着いたレースを展開するとラスト200mのスパートにも対応した。しかし、100mを残したところで他の選手とスパイクが接触するアクシデントに見舞われリズムを崩すと4着でゴール。惜しくも決勝進出を逃した。今回はA標準突破し出場したことで「昨年よりはモチベーションを高められていた」と手応えのあるレースをしただけに悔やまれる。一方、1500mの小室は1年生にして日本選手権に出場を決める実力者である。レースでは集団の中で勝負したものの、ラストスパートで遅れてしまった。小室は3日目の3000m障害にもエントリーしており、リベンジを果たしたい。堀はこの種目の資格記録3位に入っており決勝進出が濃厚であった。スタートから1000m過ぎまで先頭で集団を率いる。しかし、ラスト500mでスピードに付いていけず、後方からかわされてしまった。3名とも決勝進出は逃したが、大舞台でも臆せず積極的なレースを見せた。この経験を今後に生かし、来年以降に勝負したいところだ。
2日目は100m、400mの決勝が行われる。日本一の称号、リオ五輪内定に期待がかかる。
◾︎コメント
・桐生(法3=洛南)
予選はバラバラ過ぎた。準決勝はスタートから中間の乗りを意識した。狙い通りにできた。80mから横を見て走ったが、それでもブレない動きができていた。決勝は気持ちを乗せること。気持ちが乗ればもっとスタートからバーっといける。準決勝は山縣さんを意識するよりも自分の走りを意識した。決勝では考えるよりも自分の今持ってる力を出し切りたい。たくさんのお客さんや応援してくださる人の声に応えられるようにしたいと思う。決勝は明日は明日の風が吹くというか、どうなるかわからないけれど、3強と言われるケンブリッジさん、山縣さん、僕で競いたい。今日走っていい感じのレース展開が分かってきたので、明日はもっと爆発したい。
・眞柄(済3=三条)
焦らず落ち着いてレースをすれば自分のレースができると思った。1週目の通過もそこまで早くなくて、それでも焦ることなくいけることができた。ラスト200mの争いにも参加できて、そこまで良かったと思うが、ラスト100mのもう一度切り替える場面で他の選手とスパイクが引っかかるような感じで足が接触してしまった部分があって、そこでリズムが崩れてしまった。ラストがもうひと伸びできなかったところが悔しい。日本記録保持者の川元(スズキ浜松AC)さんがどのように走るかによってレースが変わってくると予想していたので、自分で臨機応変に対応していくことをレースプランとしていた。(2度目の日本選手権だが昨年と比べて)昨年は初めてということもあり、B標準での出場で、地元開催で出場できればいいという感覚だったが、2度目でA標準での参加ということで決勝進出を狙っていた。昨年よりはモチベーションを高められていたと思う。
・ウォルシュ(ラ2=東野)
前半気持ち的に良くなかった。予選の前半はいつもと同じフォームじゃない。崩れていた。45秒40は切っていると思っていたが切れていなかった。藤原(ユメオミライ)選手がいたから前半意識していた。疲労は全くなくいい感じできている。レースを重ねてきて前半しっかりいかないとタイムが出ないことが分かった。五輪は昔から出たかったのでそれだけ考えてた。僕の時代が来る感じ。ラストチャンスなので明日は絶対切りたい。
TEXT=畑中祥江 PHOTO=福山知晃