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第100回日本陸上競技選手権大会
兼 第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)代表選手選考競技会
6月24日(金)~26日(日) パロマ瑞穂スタジアム
▼2日目
男子100m 決勝
3位 桐生 10"31 ※リオ五輪内定
男子400m 決勝
1位 ウォルシュ 45"35 ※リオ五輪内定
悔しい結果となった桐生
ウォルシュは標準記録を突破し優勝
リオデジャネイロ(以下リオ)五輪内定が続出した日本選手権2日目。東洋大のエース桐生(法3=洛南)とウォルシュ(ラ2=東野)がリオ五輪へ最後のレースに挑み、見事日本代表の座を手に入れた。
注目の100m決勝。3強の山縣(セイコー)、ケンブリッジ(ドーム)そして桐生が横に並んでスタートラインに立った。勝負の鍵となるスタートをしっかり決めた桐生。しかし体が起き上がったときには山縣が前をいく。スピードに乗って追い付けると思われたが、その後ろからケンブリッジが追い上げてきた。ケンブリッジに抜かされるとトップ争いから離されてしまいそのまま3位でゴールとなった。前日の準決勝では予選の課題を修正し、手応えを感じて決勝を迎えられただけに心残りな結果に。レース後、いつもはどんな結果でも冷静にインタビューに答える桐生だが、今回は「あまりにも情けない」と悔し涙を流した。優勝とはならなかったが、リオ五輪代表に無事内定。この悔しさを糧にリオ五輪でリベンジを果たしたいところだ。
「自分のことを信じていたので、最後の最後でいけると思っていた」。400m決勝に出場したウォルシュはリオ五輪へのラストチャンスをものにした。今まではスタートしてから前を走る選手を抜かすと抑えた走りになっていた。しかし決勝では土江コーチに言われた通り、他の選手を見ずに勢いよく飛び出したそのままスピードを抑えることなく走り続ける。ラスト100mから苦しい走りになってきたが「家族とか友達とか応援してくれる人たちの顔が浮かんできて、絶対にいくぞ」と思いを固めゴールへ駆け抜けた。フィニッシュタイムは“45秒35”。ついに標準記録を突破し、リオ五輪への切符を手に入れた。何度も標準記録を切るためにレースを踏み、走りを磨いてきた成果が表れた瞬間だった。若きエース、ウォルシュは「最後の100mでたれてしまうからそこを修正していき、リオのファイナルに上りたい」とリオ五輪での活躍を目標に掲げる。
喜びや悔しさが溢れた決勝。東洋大のエースから日本代表として世界へ挑む。リオ五輪で勝負に出るため、今回得た課題から二人はさらに強さを追求していく。
・桐生(法3=洛南)
(思い描いていた五輪決定は)こんな感じではなかった。こんな形で五輪を決める予定ではなかった。一番嫌な決まり方。想像していたオリンピックのここで勝つという展開ができなかった。それでもオリンピックは決まったのでそこではしっかり調整していきたい。(注目されたレースだが)気持ちは高まっていて固さとかはなかった。インタビューも笑顔で受ける予定だったのにこんなことになって人前で泣くのは嫌だし、泣くなら勝って泣きたかった。あまりにも情けない。応援してくださった方たちに申し訳ない。コーチやトレーナーさんにも優勝してくると言って来たので申し訳ない。(レース前の気持ちは)準決勝よりいける気がしていた。他を意識せずに自分のレースができた。(五輪への気持ちは)練習とかしっかり前を向いてやっていきたい。(これまでの気持ちは)しっかり五輪決めるという気持ちは変わらなかった。悪い緊張ではなかったのでこういうレースを走れて良かった。
・ウォルシュ(ラ2=東野)
(良かったところは)観客が良かった。夜もテンションが上がるし、雰囲気が去年とは全然違う。(決勝に向けての準備は)昨日前半あまり乗れなかったので、スタートダッシュはやった。(前半200mまでは)抑えるとかなくて、最初スピードに乗ったらそのままいく感じだった。(最後の直線に入ったときは)家族とか友達とか応援してくれる人たちの顔が浮かんできて、絶対にいくぞという感じでいった。コーチに他は見ないで自分の走りだけすればいいと言われていたから周りとか見ないで、自分の得意な前半からいく感じを出してそのままいった。(今までは)前を抜いたらバックストレートで抑え目にいっていたがそれもしないでいった。(標準突破へ何度も挑戦していったが)一つ一つ試合をやっていく中で、よくなった部分もあるしだめな部分もあったので、それを一つ一つ修正して最後いい結果になった。(崖っ淵感は)自分のことを信じていたので、最後の最後でいけると思っていた。(日本一になったことは)勝っただけでリオいけなかったら意味なかったので最大の目標はリオの標準を切ることだった。日本一というのは後からくると思っていた。(オリンピックでは)最後の100mでたれてしまうからそこを修正していき、リオのファイナルに上りたい。(金丸選手については)日本一を取るのだったら11回も日本一になってる金丸さんと戦って日本一になりたかった。(力になった家族とのエピソードは)お母さんはいつもジュリアンだったらいけると言ってくれていたので、お母さんの顔は一番最初に浮かんだ。(オリンピックで楽しみなことは)強い選手と戦ってもっと自分が強くなるからいいと思う。
TEXT=福山知晃 PHOTO=畑中祥江