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第100回日本陸上競技選手権大会
兼 第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)代表選手選考競技会
6月24日(金)~26日(日) パロマ瑞穂スタジアム
▼3日目
男子5000m 決勝
10位 服部 13'52"90
男子3000m障害 決勝
8位 小室 8'52"39
男子走高跳 決勝
10位 山下 2m15
初出場にして8位入賞を果たした小室
山下は2m15を3回目でクリア 今後は2m20以上を目指す
リオ五輪を目指し取り組んできた服部
日本選手権最終日は東洋大から3名の選手が出場。中でも3000m障害の小室(済1=仙台育英)が初出場にして8位入賞を果たした。
初日の1500mに続き3000m障害に登場した小室は「最低でも入賞」を目標に掲げて挑む。初日の1500mでは緊張していたという小室も、2レース目ではリラックスして臨んだ。スタートラインには潰滝(富士通)や塩尻(順大)など実力のある選手が並び、その他もほとんどの選手が小室より持ちタイムの速い選手達だ。スタートから集団前方に位置付ける。1000m過ぎには集団が二分し、小室もやや遅れるが先頭集団の後方に食らい付いた。2000m手前では集団から離れ単独走となる。7位の位置をキープしていたが残り1000mを切ったところで一人にかわされ8位。そのまま入賞ラインを死守し、見事入賞を果たした。自身では最低限としていた入賞だが、レベルの高いレースの中で1年生から戦えたことは自信になるはずだ。今後は駅伝に備えた練習も開始される。「東洋に入ったからには箱根、出雲、全日本駅伝に1年目からメンバー争いに食い込んで区間を貰えるようにしたい」と意気込み、力のあるルーキーの活躍に注目がかかる。
5000mには今季リオデジャネイロ(以下、リオ)五輪出場を目指して取り組んできた服部(済4=豊川)が登場。今レースが最後の挑戦となる。「集団に付いていく展開はプラン通りだった」と集団の中でレースを進める服部だったが、ラスト1200mで苦しい表情を浮かべ、失速。10位でリオ五輪への挑戦が幕を閉じた。春先から多くのレースを重ね、自己新記録を更新するなど内容の濃いレースを多く消化してきたが、なかなか13分25秒というリオ五輪参加標準に届かず。「標準を切れなかったことが一番の練習不足」と標準を切った上で日本選手権で戦うべきであったことを敗因に挙げた。しかし、リオ五輪に向け取り組んできたことは服部を確実に成長させている。ゴールデングランプリ13分34秒64の自己ベストをマークし、標準まで9秒のところまで迫った。五輪への挑戦は4年後の東京五輪にも生きてくるはずだ。
走高跳の山下(法4=小樽水産)は昨年の日本選手権では6位入賞を果たしている。昨年は大雨で足場の悪い中での試技だったため、実力者が次々と脱落したが、今年は快晴。多くの選手が軽々と2m05、10、15を跳びこえていく。山下は2m05を1回目、2m10は2回目でクリア。試技ごとに梶原監督からアドバイスをもらい、助走を修正したところ「2m15の3本目ぐらいでやっと自分らしい跳躍ができてきた」と2m15は3回目で成功させた。しかし、次の2m20を跳ぶと入賞が見えてくるところで、惜しくも跳べず。「正直一本一本怖くて、跳べるという自信はあったが、プレッシャーもあった」と心境を語った。日本選手権を迎える2日前までの不調、加えて今後の陸上人生が関わってくる部分でも不安があった。「今後は陸上続けていく中で一つ一つ大事な試合になってくるので、目の前の試合に集中していきたい」と語るように、今一度勝負強さが持ち味の山下が実力を発揮し、「2m20以上」を跳び越えていきたい。
記念すべき第100回日本選手権を終え、東洋大の選手たちはそれぞれの目標を持ち戦い抜いてきた。リオ五輪で最高のパフォーマンスをするため、東京五輪へ向かうため、今後の陸上人生のため、再び走り出す。
■コメント
・山下(法4=小樽水産)
目標は入賞することだった。2m15が1本目で跳べず3本目で跳んで、2m20になった時にしっかり跳んで入賞したかったが跳べず、悔しい。正直一本一本怖くて、跳べるという自信はあったが、プレッシャーもあった。その分大事にもしていた。2m20は手応えはあったが、どこかで不安があり跳べなかったと思う。最初、2m05ははまっていて、その後風も強くなり助走を少しずつ離していた。2m10、15はうまく合わせることができなかった。2m15の3本目ぐらいでやっと自分らしい跳躍ができてきた。本来なら2m10開始で15、20、25と跳んでいきたかったが合わせることでいっぱいだった。反省していかなければならない。(監督からは)力み過ぎている部分や、風が強くなっているから助走を一足離していこう、助走の出だしで跳ね過ぎているなどいろんなアドバイスをもらって、やっと合わせられるようになった。もっと自己修正ができなければならない。(日本選手権を迎えるまでの練習は)正直、前々日ぐらいまで不安が大きく、不調だった。状態が悪い中でもうまく本番にもってこれたので、その意味では良かった。やっぱり大事な大会では1週間前から調子を合わせていかなければならないと思う。(不安の原因は)不調からもあり、今大会での入賞が今後の陸上人生に関わってくるという部分の不安。(今後は)次は7月の半ばの北海道選手権になる。そこでしっかり優勝して国体を決めたい。今後は陸上続けていく中で一つ一つ大事な試合になってくるので、目の前の試合に集中していきたい。2m20以上を跳ぶことを意識していきたい。
・服部(済4=豊川)
集団に付いていく展開はプラン通りだった。ペースに対しては全然問題なかったが、練習不足やコンディションの問題だった。これまで13分25秒を狙ってきていた。シーズン最初で標準を切れていれば良かった。標準を切れなかったことが一番の練習不足。切れなくて試合に臨んできたが、疲労などがあった。
・小室(済1=仙台育英)
最低でも入賞というのは目標の中に入れていて、そこまで良くなかったがあわよくば表彰台に上れればいいかなと思ってた。最低限の目標は達成できたと思う。1000m過ぎで離れてしまったので、そこが自分の体力不足なのかなという感じもあり、最低限の目標を達成できたが同じ学年の荻野(神大)に負けたことはかなり悔しい。荻野に世界ジュニアも取られているのでこれ以上は負けられない。自己ベストは出したかった。東洋の記録が43秒なので目標の中には入っていた。(1日目の)1500mは始め3000m障害の刺激としてこの場の雰囲気に慣れること。最初はとても緊張していたので、1500mを一本走ることで刺激にもなったし、緊張も解けたと思う。予選落ちでもいい形で予選落ちできた。3000m障害につながる走りができたと思う。(今後は)東洋に入ったからには箱根、出雲、全日本駅伝に1年目からメンバー争いに食い込んで区間を貰えるように。区間を貰ったからには東洋の優勝に貢献できるような走りをしたい。まだ夏合宿もあるのでしっかり走り込んでメンバーでしっかりと自分の役割を果たせるように頑張りたい。
TEXT=畑中祥江 PHOTO=福山知晃