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第94回東京箱根間往復大学駅伝競走 区間エントリー
1月2(火)~3日(水) 開催予定
1区 21.3㎞ 西山和弥(総1=東農大二)
2区 23.1㎞ 相澤晃(済2=学法石川)
3区 21.4㎞ 中村駆(済2=西京)
4区 20.9㎞ 吉川洋次(ラ1=那須拓陽)
5区 20.8㎞ 田中龍誠(済1=遊学館)
6区 20.8㎞ 今西駿介(済2=小林)
7区 21.3㎞ 渡邉奏太(済2=吉原工)
8区 21.4㎞ 浅井崚雅(済1=一関学院)
9区 23.1㎞ 小早川健(済4=武蔵越生)
10区 23.0㎞ 中村拳梧(済3=八戸学院光星)
補欠
小笹椋(済3=埼玉栄)
山本修二(済3=遊学館)
定方駿(工2=川棚)
土壁和希(総2=つるぎ)
大澤駿(済1=山形中央)
野口英希(工1=松山)
※正競技者と補欠競技者の当日変更は4名まで可能。正競技者間での区間変更は認められない。
チーム一丸となり、鉄紺の伝統をつないでいく
第94回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根)の区間エントリーが29日発表された。10年連続3位以内そして王座奪還を目指す東洋大は1区から1年生を配置するなど、下級生の勢いを感じさせるオーダーだ。
スタートから流れをつくっていきたい1区に起用されたのは西山。5000m、10000mともにチームトップレベルのタイムを持ち、前戦の出雲駅伝(以下、出雲)や全日本駅伝(以下、全日本)でもその力を十分に発揮しているスーパールーキーだ。それでも彼自身は出雲と全日本の走りに満足はしていない。西山は箱根での目標を「区間賞」と語る。毎年、ラストスパートで集団から抜け出し、秒差でタスキリレーとなる鶴見中継所。集団での位置取りやラストスパートが区間賞のカギを握る。エースが集まる花の2区は相澤が担う。この区間は区間賞有力候補の鈴木健(神大)に加え、塩尻(順大)やニャイロ(山学大)といった強者ぞろいだ。相澤は今季5000mと10000mで自己ベストの更新、全日本では大学駅伝初めての区間賞も獲得し、彼らと渡り合える力は十分だろう。昨年度の箱根路は体調不良で出走はかなわなかった。初めての箱根でエースの集う2区に起用されたが、各校の実力者に粘り強く付いていければ、区間上位に食い込むことができる。全日本のようにレース終盤に集団を崩し、中継所へ飛び込んでいきたいところだ。3区は中村駆が起用され、2年生同士のタスキリレーとなる。2区ではエース同士のし烈な争い、そして東洋大は4区と5区に1年生が起用されているため、この区間でしっかり上位を守り切ることが重要だ。
そして昨年度からコースが変わり、終盤に山に向かう上り坂が控えている4区に吉川がエントリーされた。出雲、全日本にも出走している期待のルーキーだ。アンカーを務めた全日本では服部勇馬(H27年度済卒=トヨタ)が1年時にマークしたタイムを上回り、区間4位でレースをまとめ上げた。ロードでの強さに加え、上りの適正もあるためこの区間に打ってつけの逸材だ。往路最終5区には箱根が3大駅伝デビューとなる田中龍が起用。彼は7月に行われた男鹿駅伝でも上り区間を任され、チームを1位へ押し上げ優勝に導いた。出雲、全日本の出走はないが箱根の山に焦点を絞ってきた選手だ。初めての3大駅伝だがチームスローガンの“怯まず前へ”を体現した走りでゴールへ駆け上がる。
復路でポイントとなるのは7区だ。ここは過去に設楽悠太(H25年度済卒=ホンダ)や服部弾馬(H28年度済卒=トーエネック)といった実力者たちも出走しており、東洋大が重要視する区間だ。そんな7区に配置された渡邉は今季、出雲と全日本で主要区間を任されてきた。出雲では苦しい走りとなったが、全日本ではその雪辱を果たし区間2位と好走を見せた。1年時から駅伝を経験し、2年時ではロードでの自信をつけた彼が復路でキーマンとなるに違いない。また酒井監督が「復路の核となってほしい」と期待を寄せる小早川は9区にエントリーした。ここは復路のエース区間で距離も最長の23.1㎞。昨年度、野村(済4=鹿児島城西)が区間賞を獲得し、2位に順位を押し上げるなどドラマが見られた。当時その野村からタスキを受け、ゴールへ駆け抜けた小早川。今回出場のかなわなかった同期の思いも背負い、次は小早川が「区間賞」を目指し最後の箱根路に挑む。
6区には今西、8区には浅井が起用された。この二人はそれぞれ出雲、全日本で3大駅伝デビューを果たすも悔しい結果となった。それでもその後の選考レースである上尾ハーフで好調をアピールし、見事エントリーを果たした。この時チーム内1位でフィニッシュした浅井は初めてのハーフマラソンでありながら、63分台をマーク。2位となった今西も自己ベストを更新した。山下りの6区、終盤に遊行寺の上り坂がそびえ立つ8区とそれぞれ難所ではあるが、調子を上げてきた彼らの駅伝での借りを返す走りに注目だ。そしてアンカーに起用された中村拳。前2戦でメンバー入りを果たすも出走はなかったが、上尾ハーフでは浅井や今西に次いで63分台をたたき出した。箱根路こそ出走し、同期の小笹や山本に続く存在へと進化を遂げていきたいところだ。
エースの山本や駅伝経験者の小笹が補欠に控えており、当日どの区間に配置されるのか注目だ。「後続の選手がリラックスして走れるように走りでサポートしたい」(山本)、「チームに勢い付けられるような走りをしていきたい」(小笹)と意気込む二人。箱根未経験の下級生のために上級生がしっかりとチームを導いていくことは必須となる。
「この中から必ずヒーローが出る」と話した酒井監督。目標の10年連続3位以内を確実なものにし、王座奪還を目指す。そして東洋大の第2期黄金期の幕を開けるニューヒーローは誰なのか。大勝負の箱根で新たな東洋大の歴史が築かれる。
TEXT=福山知晃 PHOTO=大谷達也