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2018.11.27
硬式野球

[硬式野球]10日間連続インタビュー〜激動の秋季リーグ戦を終えて〜第7日 甲斐野央

「戦国東都」と語られる通り、6校による接戦が続いた秋季リーグ戦。惜しくも優勝には届かなかったが、立正大2連勝を始め、リーグ戦を通して数々のドラマが生まれた。激戦を終えた選手達は何を考えるのか、彼らの思いをお届けする。

2年時の甲斐野

4年間で大きく飛躍。体重も15㌔増加した

第7日目は福岡ソフトバンクホークスに晴れてドラフト1位で指名を受けた甲斐野央(営4=東洋大姫路)投手。TOYOのユニフォームに袖を通した7年間。学生野球の舞台を終えた今、最後の1年間を初の単独カラー面となったスポーツ東洋ドラフト号外を片手に語る。(取材日・11月13日、聞き手=須之内海)

――まず、今季を振り返ってどんなシーズンでしたか

不完全燃焼やな。出だしは良かった。今まで勝てなかった立正相手に勝てたからな。最後の最後詰めが甘いというか。シーズン終盤に悪い試合が重なったな。


――秋は観客や報道陣の数が増えましたが

せやなぁ。報道陣の方はたくさんおって「多いな」って思ったんやけど観客はそんなに。壮行試合がえぐいくらいに人おったやん。その影響はあるな。


――壮行試合は格別でしたか

大体の人が高校生を応援してるビジターみたいな感じやん。緊張はせんかったけど、面白かったな。


――終盤はテレビ取材もありましたが、テレビカメラは慣れましたか

だいぶ慣れたで。話すときは関西のイントネーションは出さないかな。ヒーローインタビューとか真面目なとこの時は標準語で話す。バラエティーとかで日常会話が出ることがあれば普通に話すけど。


――周りの環境が変わったシーズン途中には弱気な言葉も出ましたね

あれは本心。3戦連続救援失敗の初戦やろ?「ドラフト無理なんちゃうか」ってな。あの時は本心で言ってた。秋の間も評価は動くのにあれはガタ落ちやなって思ってた。


――言葉の面では“輪”という言葉が最後に頻出したように感じますが

輪に入らなきゃって思ったのは今年の秋になってからのこと。チームが一体になってる中で俺1人だけ外に出すぎやなって思って。みんなが前を向いて進んでる中で1人だけ後ろにいる感覚。輪に入れてないなっていう感じだったかな。でも、それでも良いと思ってた。俺は俺で仕事が違うところにあるから。打たれたらしゃーないけど、多すぎて。だからそういう風に言うようになったんだと思う。


――いろいろな感情を抱いてのドラフト会議だったわけですね

正直、2位指名かと思ってたところはあった。上茶谷が決まったあたりやな。そしたらソフトバンクから指名がきて。本当に良かった。


――ちなみにソフトバンクホークスのイメージは

投打両方が日本でトップクラス…日本一やからトップか。第一はそこやな。そういうチームに飛び込んで頑張りたいという気持ちと食い込めるのかなという不安が入り混じってる。


――先日、キャンプを視察していかがでしたか

いや、メニューすごいでほんまに。ランニングとかめっちゃすんねん。あとは武田さんと大竹さんのキャッチボールとか見て、こんな球放るんやなって。


――これからはチーム内の年齢幅が増えますが

人と話したりコミュニケーションをとったり。そういうの得意やからな。年下も年上も。俺のこと嫌いな人はおると思うんやけど、現段階で自分は学ぶ側だから色んな先輩と話を聞きたいなとは思ってる。


――話を一番聞きたい方は

森さんかな。プロで抑えをやる人のメンタル面が気になる。けがをしない体づくりとかについても聞きたい。


――甲斐野投手と甲斐(福岡ソフトバンクホークス)選手のバッテリーが巷では噂になっていますが。甲斐選手の印象・イメージは

それな(笑)ほんまに甲斐さんに迷惑っていうか、失礼やろ(笑)毎回聞かれる度に「甲斐さんに失礼なんで」って言ってる。甲斐さんのイメージはたくさんの投手の球を受けてきている選手だから疑問をぶつけたらすぐ答えてくれそう。あたりまえだけど、経験とかは自分が今まで放ってきた捕手では断トツだし楽しみ。


――バッテリーは直近で3選手と組みましたが。それぞれの話を聞かせてください

(西川)元気さん(H29年度営卒=Honda鈴鹿)はバッター見る目No.1やな。右の好打者だし、相手打者を見る目がある捕手。(佐藤)都志也(法3=聖光学院)は意思疎通が1位かな。俺らが投げやすい球を投げさせてくれるイメージ。海野(東海大)は最初は全く合わなかったんやけど、順応力がトップ。言ったらテンポとか構えを変えてくれて、最後は息が合った感じやな。それぞれの良さがあると思う。


――浦岡(営4=東洋大姫路)選手は

あいつは本当に脇役に徹するタイプ。投手を上に押し上げ続けんねん。終盤は俺の専属ブルペンキャッチャーみたくなったんやけど、俺が聞かない限りは何も言わん。良いとも悪いともコメントしてこない、何か聞けば答えるくらい。そんな感じの捕手。でも、プライベートでは仲ええで。


――浦岡選手とバッテリーをという気持ちは

どうなんやろ。結局、リーグ戦では一回もなくって。まぁ、そんなに”組みたい!”って感じはないかな。たぶんあいつもそうだと思うで。聞いたら「別にそんなに思わなかった」とか言うんちゃうかな。


――話が戻りますが最終戦、気丈に報道陣の前で振舞ったあと球場の外では涙がこぼれましたね

あれはあかんな。球場の前で握手して、泣いてんねん。あれはずるいわ(笑)もらい泣きするにきまってるやんな。


――大学野球は引退し、一歩引いて見たチームはいかがですか

こないだ試合があって出だしは良くなかったけどな。そんなの全然関係ない。今はレベルが低いとか言われても本番はリーグ戦やしな。そこにどう持っていくかが大事。去年のこの時期は実戦がなかったけど、実戦も大事にして欲しい。


――鴨川キャンプで「1年生はまだまだ」とおっしゃっていましたが

俺そんな言葉のニュアンスで言ったっけ?


――どちらかというと伸びしろという印象でした

せやな。本当に1年生はまだまだ伸びしろがたくさん。そういう意味での「まだまだ」。そういう意味では変わらんよ。今の段階でまとまるのは逆にあかんと思う。俺自身がそうだったんやけど、経験を積むのが大事やな。特に投手陣はみんな頑張って欲しい。


――期待している後輩はいますか

山内(営1=東洋大姫路)やな。高校の後輩として頑張って欲しい。きっと俺が1年生の時に原さん(H27年度営卒=東京ヤクルトスワローズ)にそうやって言ってもらったら嬉しかったと思う。この言葉を糧にとは言わんけど、ほんまに頑張って欲しいと思う。


――今年は先発が2枚いました。その中でエースは誰だったと思いますか

二人ともやろ。上茶谷(法4=京都学園)も梅津(営4=仙台育英)がいなかったら良くならなかったと思う。エースは一人っていう人もおるけど、先発二人だったからこその今年だったと思う。


――甲斐野投手に憧れる野球少年これから増えると思いますがメッセージはありますか

まだまだこれからやからな。活躍して小さい子に憧れられる存在になりたいな。メッセージはその時に(笑)壮行試合の時に話した、あの子も喜んでくれてるかなぁ。兄貴は連絡取れるから今度聞いてみる。


――個人的には1年間取材をしてきて、スポトウとしても4年間取材があったと思いますが

スポトウの人らはみんな頻繁にグラウンドにもおって、年齢的にも近いから話しやすい。個人的には去年の今頃から1年間やってきてバッテリーみたいなもんやな。たぶん話さなくてもこういう事言うやろって予測できると思うねんけど、そういうところがバッテリーみたいだなって思う。


――東洋大学・甲斐野央投手を応援してきてくださった方々に一言お願いします

TOYOのユニフォームに袖を通して7年になりますけども、その誇りを忘れずに福岡に行ってまいります。自分らしいく頑張っていくので、これからも応援よろしくお願いいたします。


◆今後の掲載予定

11/28 上茶谷 大河 投手

11/29 梅津 晃大 投手

11/30 杉本 泰彦 監督