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2023.10.13
サッカー

[男子サッカー] 「でも、自分は得点王を狙っています」残り6試合での逆転得点王狙う小野田の2試合連発弾で首位・筑波大に執念のドロー

第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第16節

10月7日(土) 筑波大学第一サッカー場


筑波大1-1東洋大


〈得点者〉(アシスト) 

57分 小野田(徳永)


〈出場メンバー〉

▽GK

川上康平(国4=JFAアカデミー)


▽DF

田頭亮太(国4=東福岡) 

稲村隼翔(国3=前橋育英)

富田英寿 (国4=柏U-18)→55分 徳永祟人(国2=前橋育英) 

山之内佑成(国2=JFAアカデミー)


▽MF

高橋輝 (国1=大宮U18)

中山昂大  (国3=大宮U18)

清水祐輔(国4=柏U-18) →86分 渡井翔琉(国3=千葉U-18)

新井悠太(国3=前橋育英)→70分 増田鈴太郎(国3=東海大相模) 


▽FW

小野田龍剛(国4=常葉大橘)→77分 湯之前匡央(国2=柏U-18) 

村上力己 (国2=尚志)→43分 梅津凜太郎 (国3=鹿島Y) 


2戦連続ゴールを記録した小野田

山之内は攻守に躍動し筑波大を苦しめた


関東大学サッカーリーグ(以下、リーグ戦)第16節の相手は、リーグ戦での総得点41と破竹の攻撃力を見せつけている筑波大。4失点した前節の反省から「筑波らしさを出させない」ことを徹底して臨んだ一戦だったが、前半に先制点を奪われてしまう。しかし、57分に小野田が2戦連続となるゴールを叩き込み、首位相手に殊勲の勝ち点1を挙げた。


 前節、今季の試合で初の4得点以上の大量失点を喫(きっ)した東洋大。井上監督が試合後のインタビューで語った「筑波らしさを出させない」という目標の下、首位・筑波大に挑んだ。筑波大はロングボールを多く用いて攻めてきた明大とは違い、グラウンダーのパスをつなぎ、丁寧なビルドアップから攻撃を展開する。対する東洋大は、前線からの小野田と村上の素早いプレスに加え、中盤以降も相手に合わせて上手くスライドすることで、筑波大のサイドを自由にプレーさせないことに成功。東洋大の得意とする、前節よりも「前進」したプレーが目に見える形でゲームが進んだが、30分に新たな課題が散見された。自陣からのビルドアップの際に、中盤の受け手とパスのタイミングがズレてしまい、ボールを奪われる。ドリブルで切り込んでくる相手に対して、バイタルエリアからペナルティーエリア角の角度のないところまで追い込んだが、左足を振り抜いた強烈な一撃で失点。ゴラッソともいえるゴールだったが「自分たちのイージーミス」と山之内も振り返った、つなぎのミスが悔やまれる結果に。それでも、波状攻撃を仕掛けてくる筑波大に対し無失点で前半を抑え、メンタル面での強さを見せた。


 試合前やハーフタイムに、筑波大の部員がピッチに大量の水を撒いていた。プロサッカーではスペインのバルセロナなど、地上でのパスをつなぐことを重視するチームが、ボールの滑りを良くし、グラウンダーの短いパスや長いパスをつなぎやすくするためにピッチに水を撒くことは多い。筑波大の長所であるポゼッションが発揮しやすいピッチとなっているわけだが、それは東洋も同じこと。「我々もどちらかというとグラウンド上でプレーすることを志向している」との井上監督の言葉通り、後半は東洋大イレブンの行いたいプレーである、ボールを大切にする攻めを見せる。なかなかその攻めが得点につながらない中で、均衡を打ち破ったのはエースとしての風格の増す「あの男」だった。57分、自陣からのクリアに対して、小野田が相手DFと競り合う。ワンバウンドしたボールに対して、真っ向勝負で競り合いに来た相手を背負いながら反転。最後は倒れ込みながらもシュートを放ち、泥臭く同点弾をもぎ取った。前節はSTとしてプレーした小野田だったが、今節はSTとして行う、2トップの片方のFWとの縦関係のプレーとCFとして行う味方FWとの横並びのプレーを両立。得点シーンは、小野田が大学でCFとしてのプレーの幅を広げるために、重点的に練習した「背負うプレー」の理想形であった。その後は、完全に試合を東洋大のペースに持ち込み、山之内や交代で入った増田のスピードを生かしたサイド攻撃を起点として、筑波大を追い詰める。しかし、逆転弾までは入れることができず、1-1のドロー決着となった。


 確かに筑波大はFW・内野航太郎(1年・筑波大)、MF角昂志郎(3年・筑波大)など主力の選手がアジア大会に出場していた為、フルメンバーではない。しかし「普段出てなかった(選手は)さらに頑張ってくる」と井上監督の語るように、前節・国士大を3ー1で粉砕した力はホンモノ。そんな攻撃陣を1点で抑え切ったのは、確実に今後への収穫になる。加えて、今節の課題である自陣でのイージーミスを減らしていければ、5試合ぶりの勝ち点3が近づくはずだ。運命のインカレ出場枠決定まで、残り6ゲーム。イレブンは全勝のみを見据えている。


■コメント 

・井上監督

難しい試合でした。前半立ち上がりから25分くらいまでは、相手のやりたいことをそこまでプレーさせずに、東洋の時間でゲームを進めることができたかなと思う反面、自分たちのミスを起点に失点。その後少し落ちた時間帯があって。それでも2失点目をせず、自分たちのミスがあった中で崩れ切らないでハーフタイムを迎えたことは、ちょっと良かったかなと思っています。後半頭を切り替えた中で、FWの小野田が貴重なゴールを決めてくれて。どちらに転んでもおかしくないようなゲーム展開だったかなとは思いますけど、守り切って勝ち点1を奪ったのではなくて、点を取りに行ってという中での勝ち点1。この1をプラスに捉えて、残りの6試合につなげられたらなという思いでおります。

(明大戦の後に語っていた「筑波らしさを出させない」ことにつながってくるのか)

彼ら(筑波大)はアジア大会に選手が出ていて、レギュラー選手が抜けている中でもクオリティーの高い選手が出ていますし、当然普段出てなかった(選手は)さらに頑張ってくるでしょうし。その中で前節の彼らの戦い方も非常に質が高いなとみていました。それをどう出させないようにしようかと考えました。相手はそこまで長いボールを多用するチームではないので、時間帯によってはそういう(ロングボールを使った)戦術を用いているところもありましたけど。その中で、どの位置で守備のユニットを組もうかとか、そういう話をトレーニングの中でやってきたところではあります。

(筑波大は試合前やハーフタイムにピッチによく水を撒いていました。試合への影響はありましたか)

いや、ここ(筑波大学第一サッカー場)はグラウンドを新しくされて、かなり充填のもみじとかも多めに入れられているのか、かなりフカフカした感じはあるんですけど。彼ら(筑波大)の戦い方もどちらかといえば上のボールでは無くて、グラウンドでボールを走らせて、というスタイルを好むチームだと思うので。それ自体は我々にとってはマイナスではなかったかなと思います。我々もどちらかというとグラウンド上でプレーすることを志向しているので。

(自分たちがつなぐときはむしろプラスに働いた)

そうですね。

(小野田選手の得点シーンについて。彼の武器である体幹の強さが遺憾なく発揮されましたが、この好調は先日おっしゃっていたSTへのポジション変更が大きいのか)

今日はどちらかというとFWが縦関係というよりも、後半彼がやったように、横並びに居てという選択をして。前半は縦関係だったんですけど、後半は横並びになるような形にして、(小野田は)相手を背負ってもプレーできる選手。そういうところも出していこうという中での、あのシチュエーションだった。そこは彼の強さや反転力がかなり生きた部分かなと思います。後は、あそこで躊躇(ちゅうちょ)せずに打ったことが一番のいい結果に結びついたところかなと。

(FWならあの場面で打ち切ることがとても重要)

そうですね。相手をかわし切らなくても、あのタイミングで打たれるとGKの準備がちょっと遅れたりすることも起きてくるので、感覚的にはFWらしい得点だったのではないかなと思います。

(交代で入った増田選手。かなり攻守に効いていましたが、どのような指示を投入時にしましたか)

それまでに出てた新井とは違うタイプなので。攻撃でサイドバックの背中を取りに行ってほしいということと、左サイドの守備のところで。相手もサイドバックを交代して、縦に動くタイプの選手だったので、そこは自由にやらせないようにと。攻撃と守備の事を確認してピッチに送り出しました。

(井上監督の思う増田選手の武器は)

彼はスピードだと思いますね。爆発力。それが短い距離だけじゃなくて長い距離でも出せる。

(次節の東海大戦に向けて)

東海大も相手によって戦い方を少し変えたりする中で、どのように東洋に対してやってくるかなというのもあるのですが、我々も今日途中交代を強いられた選手や次出場できない選手もいるので。その中で相手の変化にどう対応していこうかというのと、代わりに入る選手の特長を生かしながらという戦い方を、一週間トレーニングしながらいい策を考えたいなと思っています。


・小野田龍剛(国4=常葉大橘)

明治戦から切り替えて挑んだ首位との戦いでしたが、勝ちきることができなかったというのは、チームとしても悔しい結果になってしまいました。

(やはりあの試合は首位・筑波ということもあって勝ち切りたかった)

はい。インカレの枠も決められており、前回の試合の負けで勝ち点差も開いている中、負けられない試合だったので、少しでも多く勝ち点を取りたかった試合です。

(これから目指すのは全勝)

そうですね。インカレ目指すなら全勝する位の試合をしていかないとインカレに出ることはできないと思っているので。みんなで力を合わせて全勝したいです。

(夏の中断期間中にSTにポジション変更をした話を井上監督から聞きました。プレーのしやすさは感じますか)

元々、ST気味のポジションが好きで。それを監督に伝えて、自分が動きやすいようなポジションに入れてもらったんですけど、そっちの方が自分的にはやりやすくて。ボールを持った時に、キープした後周りを見れる余裕もできますし、FWの選手を生かすこともできる能力があると思っているので、自分的にはそっち(ST)の方がやりやすかったです。

(視野の広いプレーができるようになるということか)

最前線だと後ろ向きのプレーとかが増えてくる中で、トップ下の位置に入ると、前180度全部見ることができますし、後ろから受けた時もターンできるスペースがあるので。

(小野田選手自身はゴールだけでなくアシストも意識していますか)

いや、自分はゴールしか意識したことはあんまりなくて。アシストはゴールの近くにいるので、できているという感じですね。

(得点シーンでも隣で梅津選手が並走していたが、彼は意識せずに自分で打ち切った)

あの時は完璧にCFみたいな意識でしたね。

(あの試合も出場はST)

最初はSTの位置に入っていたんですけど、相手のシステムを見ながら最前線のポジションがいいなと思ったシーンでは、積極的に自分も最前線のところに入った形ですね。

(STとしてのプレーもできて、2トップで並んだ際のプレーもできるようになった。プレーの幅は広がっているということか)

高校生や中学生の時はSTとしてプレーしていて、大学からCFでもプレーするようになった。この大学生活でCFとしてのプレーの幅も広がっていると思います。

(大学の中でCFとしてのプレーの幅を広げる為に行ったことは)

背負うプレーだったり、裏への抜け出しだったり。シュート面というのはCFとして必要だったので、特にシュートを一番意識したかもしれないです。

(今季中大戦でも裏抜けを見せて、今節でも相手を背負ってゴールを決めて見せた)

最近は成果が目に見えて出てくるようになったので、良かったなと思います。

(それは夏の中断期間のトレーニングの影響も大きいのか)

ずっと意識してきたことではあったんですけど、中断期間でいろいろと自分のプレースタイルや、他のトッププレーヤーと比べた時に、吸収できるものもありましたし。もう一度自分を見直せたという面では、中断期間の見直しがとても大きかったと思います。

(筑波というリーグ首位のチームから得点を奪いました。特別なうれしさはありましたか)

筑波相手にというわけではないですけど、ゴールを取るということは、一サッカー選手として、FWとしてとてもうれしいことなので、すごい良かったですね。

(これからも得点量産を目指す)

そうですね。得点王にはなりたいですけど、現実的には少し難しい。でも、自分は得点王を狙っています。

(毎試合ゴールで得点王が理想)

毎試合1点、もしくは2点決めていきたいなと思っています。

(次節東海大戦に向けて)

前回は2ー1で勝ちましたけど、全然楽な相手ではないですし、やりずらさというイメージが東海大にはあるので、もう一度全員で気を引き締めて、ここから全部の試合で勝ちたいと思います。


・山之内佑成(国2=JFAアカデミー)

立ち上がりはいい流れでゲームを作れたんですけど、自分たちのイージーミスから失点してしまって、苦しい展開となりました。でも、後半チームのやり方をどうするのかを統一して。同点には持っていけたのですが、最後2点目を取れるかという状況で、少し雑になってしまったり。全体的には良くもなかったし、悪くも無かったのではないかなと思います。

(前半は前線がプレス、中盤以降は上手くスライドをする守備がかなり効いていましたね)

今週の練習からウィングの子と結構話しながら、どうするかを決めていたので、やりやすさはありました。

(新井選手もヴェルディから帰ってきてからコミュニケーションの大切さを実感した話をしてくれました。どのくらいの頻度で会話をしますか)

そんなたくさん取るという程でもないですけど、大事なところはちゃんと話し合って、なるべく悠太君(新井)のやりやすいようにしています。

(今節はどんなことを話しましたか)

守備だと、(相手の)サイドバックが高い位置を取った時に(新井が)そのまま付いて行くのか、僕がケアをするのかというところをはっきりとさせました。攻撃の部分では、悠太君がやりやすいように、サポートに行くときと辞めるときを判断してやってました。

(新井選手には広いスペースをあげた方が良いのか)

そうですね。なんでもできるので。少しのスペースでもできるんですけど、(スペースが)空いてるとサポートしないようにしています。

(山之内選手の攻撃参加が後半から増えてきました。ご自身の武器としてやはり攻撃力はある)

攻撃の選手ではあまりないんですけど、攻撃でチャンスにつなげられるようには意識しています。

(増田選手が山之内選手の上がった裏をカバーしてくれたことで上がりやすかった面もあるか)

だいぶスペースが前に出たので、自分もやりやすかったです。

(後半、山之内選手の内側のラインからの上りでだいぶ筑波は苦しんでいた)

同点だったんで、なるべく勝ち点3を取れるように。その結果かなと思います。

(前節4失点から今節は首位の筑波相手に1失点で抑え切った。守備の変更点はありますか)

全員がハードワークというのを、もう一回自分たちのベースを上げ、体を張って。最後の最後まで粘り強く守備することを全員で統一してやったので、前節より守備の強度というのは変わったのではないかなと思います。

(インテンシティー強く行った部分も大きい)

そうですね。

(山之内選手も後半全く運動量が落ちませんでしたが、ランメニューを増やしたりなどはありましたか)

低酸素の中でランニングしたりというようなトレーニングをしているので、それがだいぶ出てきたのではないかなと。

(低酸素の中でのトレーニングというのはどのような感じですか)

酸素が少ない中で、高強度でランニングできる時間を増やせるように、長いランニングをやったり、短いランニングをしたりしています。

(南米でも高地で試合をすると苦しいという話も聞くが似たようなことか)

そうですね。そんな感じだと思います。

(次節、東海大戦に向けて)

自分たちの目標であるインカレに出れるように、勝ち点3が必要になってくるので、チーム全員で今日の試合のように強度を保ち、勝ち点3を取れるように頑張りたいと思います。


・新井悠太(国3=前橋育英)

立ち上がりは結構いい入りができて、相手の陣地でいろんなバリエーションを用いてプレーすることができたが、ちょっと自分たちのイージーなミスから失点してしまって。そこから相手陣でプレーすることができなくなり、相手がボールを保持し、良い状態でプレーをされていたと思うんですけど、その中で崩れずに1失点で抑えられたことは良かった。後半に1点取り返すことができて。自分が代わってからみんな流れが良くなって、相手陣でプレーすることが多くなったが、(点を)取り切れずに1-1で終わってしまったという試合でした。

(前半、筑波の池谷選手にボールを取られたシーン。あそこの対人は抜ききることを狙ったのか)

前に入れたかなと思ったら相手も並走してきていて、体をぶつけようと思ったら、相手も体格の差があり、競り負けてしまったという形ですね。

(筑波の選手のフィジカルは強かったか)

だいぶ自分は競り負けるシーンが多くて、タイトにプレッシャーがきたときに当たり負けするシーンが多かったです。

(逆にそこで上手く相手の当たりを反転しながら生かす、という話も新井選手はしてくれた)

そうですね。体格が小さい分、そこら辺は相手より賢く。そういった(フィジカル)のところで勝負せずに、違う方法で相手を裏返す力はこれからも必要になってくると思う。正面からぶつかるんじゃなくて、いろいろな方向から試しながら、相手の嫌がるプレーやゴールにつながるプレーをできたらと思います。

(本当にトライ&エラー)

試合中も、これがよくてこれがダメというのはコートの中でプレーしている選手しかわからないと思うので。このプレーだけというのは決めてなくて、ポジショニングを何回も内側に取ったり、外側で試してみたりというのは何回もやっているつもりではありますね。

(確かに試合中新井選手は立ち位置を頻繁に変えている)

相手がどんな陣形で守備をしてくるのかというのは、コートの中で変わってくると思うので、何回も試していくうちに、相手の隙やスペースが見えてくる。そういったところを意識しながらプレーしています。

(カットインも綺麗な形で打てていた)

でも、あれも正直意図したプレーでは無くて。たまたまボールが前に転がってきただけ。もうちょっとドリブルの間合いというのを作りたかったシーンではありました。


[次節試合予定] 

第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第17節

10月14日(土) vs東海大 東洋大学朝霞キャンパスサッカー場  14:00キックオフ

※試合を観戦希望の方は事前申請が必要となります。

※関東大学サッカー連盟公式Youtubeチャンネルにてライブ配信が予定されています。  


TEXT/PHOTO=髙橋生沙矢