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2023.08.11
サッカー

[男子サッカー] 「もっと自分たちから火を付けていく」東国大に0ー2で敗北も勉強になる一試合に

第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第13節

8月5日(土) 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場


東国大2-0東洋大


〈出場メンバー〉

▽GK

川上康平(国4=JFAアカデミー)


▽DF

田頭亮太(国4=東福岡)

稲村隼翔(国3=前橋育英)

徳永祟人(国2=前橋育英)

山之内佑成(国2=JFAアカデミー)


▽MF

中山昂大  (国3=大宮U18)

本間洋平(国4=札幌U-18)→85分 山岸楓樹 (国4=前橋育英) 

高橋輝 (国1=大宮U18)

新井悠太(国3=前橋育英)→57分 増田鈴太郎(国3=東海大相模) 

▽FW

小野田龍剛(国4=常葉大橘)→71分 梅津凜太郎 (国3=鹿島Y)

村上力己 (国2=尚志)→75分 鍋島暖歩 (国2=長崎U-18) 


中盤から積極的にボールを配給し続けた中山


強風と天然芝のピッチに苦しんだ高橋輝。次節での挽回を誓った


前節の国士大戦の勝利で、関東大学サッカーリーグ(以下、リーグ戦)折り返し後の初戦を白星で飾ることに成功した東洋大。第12節は、ホームグラウンドを共に埼玉県に置く東国大とのダービーマッチだ。リーグ戦も残り10節を切っており、負けられない戦い。しかし、東国大のインテンシティの高さに苦しめられ、前半終盤に先取点を奪われてしまう。後半に惜しいシーンも作ったものの、再び追加点を奪われ0-2で3試合ぶりの敗戦となった。


 普段は各大学のグラウンドで行われることの多いリーグ戦だが、東洋大にとって第5節の東国大戦(味の素フィールド西が丘)以来となる天然芝の競技場での開催となった今節。夜開催かつ風も強めに吹いていたことで、前節試合後のインタビューで井上監督の懸念していた暑さの問題はなく、万全の状態で試合に臨めると思われた。しかし、この「風」と人工芝である東洋大グラウンドと違い、天然芝である「ピッチ」が予想外の敵となる。前半から東洋大はCB稲村や徳永のロングフィードを東国大陣内に蹴り込み、競り合い後のセカンドボールを拾いに行く。しかし選手、監督共に口にした「ハードワークの差」を東国大が見せつけ、なかなかマイボールの時間を増やすことができない。それでも東洋大はロングフィードに加え、十八番であるサイドからの攻撃を使い、東国大守備陣打開を試みる。ここで東洋大のサイド陣を苦しめたのが前述の風と天然芝のピッチだ。片方のサイドに敵守備陣を集中させてサイドチェンジをしようとするプレーが幾度となくみられたが、いつもはつながるはずのパスが今節はつながらない。「思ったより伸びてきました」と高橋輝も語った通り、ただでさえ勢いのあるサイドチェンジのパスに風まで加わると、ボールは想定外の伸びを見せる。これが今節なかなかサイドでのパス交換に苦戦が見られた理由でもあったのだ。それに対し、あまり滞空時間の長くないパスを積極的に用いて攻めてくる東国大。39分にはペナルティーエリア内でのワンツーからシュートを放ってくる。ここは川上が好セーブを見せたものの、こぼれ球を押し込まれ失点。前半終了間際でのビハインドという苦しい状況でハーフタイムを迎えた。


 ハーフタイムには、井上監督から「相手に量の部分で上回られている」との話を受けた東洋大イレブン。それぞれ気合を入れ直して迎えた後半だったが、東国大のプレーの強度は上がり続け依然として苦戦を強いられる。そこで井上監督は後半中に4枚の選手交代を行った。エネルギッシュな選手たちの投入により、東洋大は息を吹き返す。22分には、高橋輝がスルーパスを受け、GKとの一対一を迎えるもDFに追いつかれ得点には至らない。後半の終盤にも、山之内のクロスからチャンスとなるシーンもあったが、ゴールが遠かった。試合は前半の失点に加え、49分の被弾も重なり、0-2でリーグ戦3試合ぶりの敗戦を喫(きっ)する結果となった。


 試合後のインタビューでも各選手から「気持ち」や「ハードワーク」の部分で負けていたことを認識する声が多く聞こえた今節。中山は「監督に言われてから自分たちが動き出した試合だった」と悔やんだ後に「もっと自分たちから火を付けていく」と来年は最上級生としてチームを引っ張っていくであろう男の責任感を見せた。何回も言っているかもしれないが、東洋大サッカー部の強みは、試合後に選手それぞれが自らに何が足りないのかを自覚し、次節には改善できている真摯(しんし)さ。もう二度と今節のような負けはしたくない。そんな思いがインタビューでの選手たちから聞こえてくるような面持ちだった。味わった悔しさを糧に残り9試合、全力で勝利をつかみにいく。


■コメント  

・井上監督

相手の方がよく動けていて、前のボールへの集散も速かった。後半はそういった量のところでも、相手を上回ることはできたが、0対2になってからの展開だった。前半の量的なところは改善が必要かなと思います。

(相手はロングボールを蹴らせてくる印象がありました。そこに対する競り合いの部分に改善点はあるか)

長いボールを入れてくるところはある程度競れるとは思うが、そのボールを回収できるかどうかというところで、特に前半は相手のほうが回収率が高かったと思う。ハーフタイムでも相手に量の部分で上回られているという話をし、そこを後半の改善点として挙げました。それでも、失点の場面もそうですが、(ボールを)背後に入れられたのに対して、最終ラインではなく、中盤の選手が埋めきれずにシュートを打たれた。そこは課題かなと。

(先ほど、2点を入れられた後に、盛り返すような場面も見られたとおっしゃっていましたが、それは交代選手がきちんと役目を果たしたということか)

それもありますが、前半は長いボールを入れられることもそうですし、あまり前に出力を向けていけなかった。それはFWをサポートすることもそうですし、最終ラインから、攻撃に人数をかけるというところも含めて。消極的とは言いませんが、少しセーフティーな戦い方をしていることが相手にとっては危険ではなかったのかなと思います。

(次は攻めの姿勢を強めていく)

そうですね、そうしないと。今日は自陣での展開が前半は多かったので。

(次節に向けて)

(中大戦後には)約6週間リーグ戦が空くので、その前のこの3試合を重要視していた。今いる順位に、勝ち点的には数チーム集まっていますので、勝ち点3を積み上げて上位から離れないように。きちんと付いていくという展開で後半戦を迎えられるようにしたいなと思います。


・高橋輝 (国1=大宮U18)

前半から走りのハードワークの部分では、相手に上回られてて、そこで先制点も決められた。後半は盛り返そうと思ったのですが、早い時間に追加点を決められて。相手の方が戦ってたし、セカンドボールとかも全部拾ってた。戦術の前にそこの部分で負けちゃった試合だったかなと。すごく悔しいです。

(同じタイミングで2部から上がり、ずっと切磋琢磨(たくま)してきた東国大相手にはどうしても勝ちたかった)

勝ち点も試合前は同じだった。なので、自分たちが上に行くには必ず勝たなければいけない試合だった。ここで負けてしまったことはすごく痛い敗戦だと思います。

(逆サイドからのロングボールのトラップに全体的に苦戦していた。難しさもあったか)

思ったよりボールが伸びてきていましたね。普段スタジアムとかであまりプレーをしない中で、慣れというか。そこの部分が前半あまり順応できなくて、そこで手こずってしまった部分はありましたね。

(普段の東洋大グラウンドと比べての違いは)

風があったのと天然芝と人工芝という違いもあるし、ボールが滑りやすい部分での難しさはありました。

(芝の違いはかなり大きいですよね)

すごい大きいですね。

(風に乗るとボールもいつもより伸びる)

伸びますね。思ったより伸びてきました。

(ハードワークの部分での差を感じたとおっしゃっていましたが、他のチームに比べても東国大のフィジカルは強かった)

全体的に東国大はそうですね。前線にも大きくてフィジカルの強い選手がいるし、全体的にハードワークしてくるチームで。その部分において自分たちの弱さや甘さが出てしまったかなと思います。

(フィジカル面では他のチームに比べてどこが秀でていましたか、筋肉量などか)

筋肉量も多少あるとは思うのですが、意識の問題だったり。筋肉量などは試合中に変えることのできるものではない。ハードワークするという意識の部分とかをチーム全体で上げられたら変わった試合なのかなと思います。

(次節、中大戦への意気込みをお願いします)

中大もアミノで負けてしまった相手で、絶対にリベンジしたい思いはあるし、本当に自分たちが上に行くためには絶対に負けられないので、もう一度一週間みんなでいい準備をして、勝てるように頑張りたいです。


・中山昂大  (国3=大宮U18)

戦術というよりかは気持ちの面で負けていた試合だったという印象です。全体的に前半よりも後半、監督に言われてから自分たちが動き出した試合だったので、それをもっと自分たちから火を付けていく。それをやるべきだったと思います。

(来年から中山選手は最上級生の4年生になる。自分たちで火を付けていくことの大切さを実感した試合だったか)

今はまだ4年生がいる中で、4年生に頼っているだけではなくて、自分たちで今日みたいな試合を変えられるように。学年関係なくそこはやっていきたいなと思います。勉強になった一試合でした。

(高橋輝選手が天然芝のピッチや風の影響でのプレーのしずらさもあったとおっしゃっていた。中山選手もそこは感じましたか)

いつも練習は人工芝でやっているので、気持ち伸びたりは。でも、そんなに意識せず自分はできたかなと思います。

(芝によって蹴り方などは変えていますか)

そんなに変えないかもしれないです。でも今回のようなピッチは、(ボールが)伸びるというのがアップしていて分かったので、ちょっと弱めにパスを出したりとか、回転かけて止めたりとか。そのようなことは要所要所で考えながらプレーしています。

(リーグ戦第10節の拓大戦からボランチでのスタメンが増えている。東洋大はサイドがキーポイントになるチームですが、サイドにパスを出すときに意識していることは)

サイドは確かにキーなんですけど、そこだけに特筆せずに。中でもボールを受けてFWが孤立しないようにすることを意識してプレーしています。サイドにボールが入った時は強みというのが分かっているので、できるだけ近くでプレーして。相手も今日2、3人(サイドに)付いてきていた。そうなると逆に自分が空いてくるので。

(中山選手がフリーになればミドルを積極的に打つ選択肢も出てくる)

今日はあんまりしてなかったのですが、もっと自分がフリーになったら。自分のストロングでもあるので、どんどんシュートを打っていきたいなと思います。

(次節の中大戦に向けて)

来週の試合が終わったら中断期間になる。その前に悪い流れを断ち切って、しっかり勝って中断期間を迎えたいなと思います。


[次節試合予定] 

第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第14節

8月12日(土) vs中大 中央大学多摩キャンパスサッカー場 18:00キックオフ


TEXT/PHOTO=髙橋生沙矢