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2017.06.11
ボクシング

[ボクシング]11年ぶりの快挙!東農大からチーム全員で掴んだ大金星

70回関東大学ボクシングリーグ戦

6月10日(土)   後楽園ホール

 

東洋大 6-3東農大

 

LF】●豊島(判定)桑原○

【F】●馬場(判定)北浦○

B1渡来(判定)中島

B2福井(判定)韓

L1木村蓮(ABD)國分

L2】●吉田(判定)斎藤○

LW】○中川(判定)増田●

【W】○原田直(判定)村上●

【M】○松野(判定)黒柳●


原田直の右腕が上がった瞬間会場に大歓声があがった

チームに良い流れをもたらした渡来

4年生の意地をみせた松野


 リーグ戦もいよいよ折り返し地点となった3戦目。相手は過去11年間負け続けている東農大だったが6-3で勝利を収めた。チーム一丸となって掴んだ大金星だ。

 

 けがの影響で今回が今年のリーグ戦初戦となった主将の馬場(文4=王寺工)。しかし1Rの1分30秒で目の上を切るというアクシデントに見舞われ、まさかの敗北となってしまった。良くない流れのなか登場したのがバンタム級のルーキー渡来(営1=武相)。相手は昨年の全日本ランキングライト級3位という強敵だったが果敢に攻めた。打たせず打つボクシングをやりきり、判定は5-0で渡来の勝利。チームの流れを180度変える大金星となった。ルーキー作った良い流れに今年のリーグ戦全勝中の福井(営3=駿台学園)木村(営2=飛龍)中川(ラ3=高地)の3人がさらに勢いをつけた。監督も「安心してみてられた」と語る安定した試合展開だった。

 

勝利に向けてあと一勝。4-3でむかえたウェルター級には原田直(営3=崇徳)が登場。国際大会に出場経験のある実力者ながら、今年度は拓大戦で敗れるなど調子が出ていなかった。しかし開始のゴングが鳴るとその心配を忘れさせる圧倒的な試合を展開。相手から常に一定の距離を保ち、長いリーチを使った強いストレートを連発した。自身も「(1年生ながら優勝を果たした)国体ぶりに自分のボクシングができた」という出来の試合。内容も結果も100点の試合で会場を沸かせた。すでにチームの勝利が決まりボルテージが上がるなか、ミドル級の松野(営4=開新)が登場。相手は高校時代のウェルター級のチャンピオンの黒柳(拓大)。1Rは動きが硬く相手にペースを乱された。そんな松野の背中を押したのは、チームメイトの声援だった。2Rからは、動きの硬さもとれ徐々にパンチが決まり始めた。最後は力強いフックを決めて、見事勝利。「みんなの応援が本当に力になって、そのおかげで勝てました」と満面の笑みをみせた。

 

11年ぶりに東農大に勝利した東洋大。次に立ちはだかるのは絶対王者の日大だ。リーグ戦3連覇中の日大に勝つことはリーグ戦初優勝に向けて避けては通れない道だ。今回の勝利で勢いにのった東洋大は日大からも白星を奪えるのか。「初優勝は目の前にみえている」と語る三浦監督の言葉の通り初優勝の瞬間は着実に近づいている。

 



■コメント

・三浦監督

村田諒太がいた時以来の11年ぶりで東農大に勝利することが出来て、内容より結果というところで非常に良かった。(今回のメンバーは)怪我してる馬場をキャプテンですし、本人がどうしても頑張りますとのことだったのでフライ級に置いて、福井をバンタム級に置いて今のベストのメンバーでぶつかった。(特に良い試合をしたのは)馬場の不運な負傷で負けになってしまったが、その流れを変えた渡来の活躍はチーム全体に勢いをつける試合だった。渡来が流れを変えてくれた。福井は本当はフライ級に出すつもりだったが、急遽バンタム級でやってれと言った。誰とやっても自分を出し切ることが出来るので、安心して試合でも見ていることが出来た。試合を上手く運んで打たせず打つボクシングが出来ていて良かった。木村蓮の相手は本当はリオ五輪に出た森坂選手がいたのでチャンピオン同士でぶつけようと思ったが、怪我か何かで出れなかったので勝たなきゃいけない試合になった。その通りガンガン前に行って、ストップ勝ちしてくれたので良かった。中川は体の力を抜きながら良いボクシングしていた。相手が強くてもリラックスして、そういう戦いかたが出来るので安心して見てられた。原田直に関しては試合をこなすごとに段々と良くなってきている。今回も重心を落として良いボクシングが出来た。松野の相手は高校時代のチャンピオンの1年だったが、キャリアの差を見せつけてくれた。前半の1Rは取られたと思うが、指示通り2,3Rは前に行って勝ってくれたのですごい良かった。次の日大はチャンピオンチームだが、今日の試合で我々も勢いがついたので全力でぶつかりたい。初優勝も目の前にみえているから、ベストを尽くしたいと思う。

・馬場(文4=王寺工)
けがからの復帰で、ちょっと試合が始まったときに肩に力が入ってしまった。(顔を)カットしてしまい負けてしまったが、チームが勝ってくれたから、それがすごく嬉しかった。試合前は絶対勝ってチームに貢献するぞと自信はあった。(敗因として)相手がものすごくいい選手だったというのももちろんあるが、自分がきちんと調整できていなかったというのも大きいかなと思う。(教育実習は)思っていたより大変で、チームにとって大事な時期にキャプテンがいないというのは申し訳ないなと思っていたが、試合を見る限りみんなで団結してチームワークを発揮していたから問題はないと思う。(チーム全体として今日の試合は)最高だった。特に応援がすごく良くて、選手にとってすごく力になったと思う。チーム一丸となってるという感じがすごく伝わってきた。次戦相手の日大は、王者と言われるだけあってすごく良いメンバーを揃えてきているが、自分が試合を見てきた感じでは東洋の方が強いと思う。絶対に勝つ。

・渡来(営1=武相)

馬場キャプテンが必ず勝つと思っていたが、いきなり1ラウンド目で負けて、結構不利な状態から始まったが自分で流れを変えようっていう気持ちでやった。なんとか勝って流れを変えられたのでよかった。(今の所リーグ戦無敗で、)この勢いで残りの日大、駒沢どっちも勝って、またどっちもバンダム級で出るようだったらどっちも階級賞取れればなと思っている。(相手がライト級3位という事で、)若干のプレッシャーはあったが、逆にここで1年の自分が勝ったら大金星だからなんとしてでも勝ってやろうという気持ちでやった。

・福井(営3=駿台学園)
正直、勝ったから許せる内容だったけど、具合が悪すぎて試合を覚えてない(笑)火曜日くらいから熱が下がらなくて、まだ引きずっていたが、「これは具合悪くないんだ」と言い聞かせてリングに上がった。(試合の出来栄えは)最悪でした。イメージしていたことができなかったし、練習してきたことも出せなかった。唯一右でダウンとれたことくらい。馬場さんが事故的な感じで負けた後に美響(渡来)が一年ながらいい流れ作ってくれて、そこで空気読めないことするわけにはいかないなと思って。農大戦はとにかく勝ち星を挙げたことだけが合格点です。(日大戦に向けて)坪井さんって国内の試合で負けたことない。多分フライ級でくると思うので、初黒星を自分がつけられるようにしたい。

・木村(営2=飛龍)
(相手のスタイルを)オーソドックスだと思っていたがサウスポーだった。オーソドックスへの対策しか考えていなかったから修正できず、力みすぎてしまい自分の距離でできなかった。ボクシングで勝ったというよりパワーで勝った。本来ならそこで修正できるようにならなくちゃいけない。結果的には2RでのKOだったから良かったが、自分の内容的には20点くらいで、全然納得できてないし悔しい。でも農大に11年ぶりに勝てたことはすごく嬉しい。日大に勝てたら優勝が見える。自分の距離で手数を沢山出して次戦も勝ちにいく。

・中川(ラ3=高知)
相手が一年生というのが、勝たなければというプレッシャーになり少し不安だった。動き的にはよく動けたとは言い難いが、やりたい動きができてきた。前までは遠い距離ばっかだったのを、中間距離での勝負もできるようにするのが課題だった。それができたというのは良かったと思う。まだそれをずっと続けるスタミナが足りないので、これから強化していきたい。打ち合いの中で1Rは自分のペースでできていたから、それが3R分続けられるように頑張る。リーグ戦での全勝を狙っている。次の試合はライトかウェルターかわからないが、狙える位置にあると思うから勝ちたい。

・原田直(営3=崇徳)

やっと動けるようになったなと感じた。良いところ出てて、一昨年の国体以来で自分のボクシングがみせれた。攻撃を意識して今まで練習してきたけど、高校時代みたいに足をしっかり使って自分の距離をしっかりキープして自分のボクシングを貫こうってやったらハマってくれて自分のペースで出来た。今日は本当にいろいろ背負いこまないようにして、自分のボクシングだけを考えてやった。今何対何だから自分が勝たなきゃとかは思わず、とりあえず自分が勝とうってことを考えてやった。練習から基本に立ち直ろうって思って、自分が勝ってる時のボクシングを考えてた。シーズンオフとかなら自分に足りない所をガーって鍛えればいいが、今はそういうことすると狂っちゃうなと思ったので。(次に向けて)感覚を変えないで自分の距離を入らせないっていうのを大前提にやりたい。今日の勝利は自分が勝ったことより東農大に勝ったっていうのが本当に最高。

・松野(営4=開新)
1ラウンド目とかすごく硬くてダメだなぁと思っていて、でも体の力で負ける気はしなかったし、2ラウンド目からは体でプレッシャーかけることを意識していた。キャプテンの馬場ちゃんが1ラウンド目終わるくらいに「まっつん硬いよー!」ってリング外から声援送ってくれて、リラックスできた。この一言がすごく効いた。キャプテンの言葉と、みんなの応援が本当に力で、そのおかげで勝てました。原田がいい勝ち方でつないでくれたのと、いい応援とで、勝てました!(農大戦勝てたことは)すごくうれしい。それに尽きます!
・村田(H19年度営卒)
(試合見ていてどうだったか)よかったよね〜!11年ぶりだから。僕が大学3年生のときぶりなので、すごくうれしいです。日大は勝つことあっても農大に勝つことってなかなかなかったから。今日も応援したくてきました。龍成が負けたとき、この流れはマズイかなぁと思ったけど、渡来がすごいいい流れを引き戻してくれて、ああいうスーパー1年生みたいなのがいるし、逆に他の選手も彼を見習って追いつけ追い越せで切磋琢磨してほしいなと思う。(優勝すれば村田さん越えですが)本当にね、越えてほしい!比較とかではなくて、いち大学のOBとして大学の活躍ってとてもうれしいからね。


TEXT=梅山織愛  PHOTO=玉置彩華、中村緋那子、松井美乃