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2018.01.03
陸上競技

[陸上競技]1年西山が流れつくった! 一度も先頭譲らず4年ぶり往路V!!

第94回東京箱根間往復大学駅伝競走 往路

1月2日(火)大手町読売新聞東京本社前~箱根町芦ノ湖駐車場入口


往路1位 東洋大 5:28'29※往路新

1区(21.3km) 西山和弥 1:02'16(1位通過・区間1位)

2区(23.1km) 相澤晃 1:07'18 (1位通過・区間3位)

3区(21.4km) 山本修二 1:02'17 (1位通過・区間1位)

4区(20.9km) 吉川洋次 1:02'22 (1位通過・区間2位)※区間新

5区(20.8km) 田中龍誠 1:07'18(1位通過・区間9位)



4年ぶりの往路優勝に笑顔があふれた


西山は集団を崩し、単独トップで流れを呼び寄せた


昨年の悔しさを晴らす力走を見せた相澤


平塚中継所 リードを広げた3区・山本から4区・吉川へタスキリレー


吉川は区間2位の好走で2位以下を大きく突き放した


1位を守り切りゴールを迎えた田中龍


  ついに戦いの火蓋が切られた第94回箱根駅伝(箱根)。東洋大は10年連続3位以内を確実なものにし、虎視眈々と王座奪還を目指していた。5人中4人が下級生と若い布陣で挑んだ往路では1区の西山(総1=東農大二)がトップでタスキをつなぎ、流れをつくった。西山に続いて3区の山本(済3=遊学館)も区間賞を獲得し、4区の吉川(ラ1=那須拓陽)は1秒差で区間賞は逃したものの区間新記録をマーク。1区からの勢いに乗った選手たちは先頭を一度も譲らず、見事4年ぶりの往路優勝に輝いた。


 1区唯一の1年生である西山がその実力を見せつけた。栃木(順大)が集団を引っ張る形でレースは進み、西山は集団にしっかりついていく。15㎞過ぎても集団のままだったがプラン通り六郷橋で西山が仕掛けた。「六郷橋で仕掛けるタイミングで周りが離れたので良かった」と振り返るように誰も彼についていくことができず、単独首位に躍り出る。そのまま他大との差を徐々に広げ、毎年団子でタスキリレーとなる鶴見中継所に一人で飛び込んだ。壮行会で誓った区間賞を勝ち取り、まさに有言実行。7年ぶりに1年生が1区で区間賞を獲得する快挙を成し遂げた。最高の流れで2区の相澤(済2=学法石川)へタスキをつないだ。昨年も2区にエントリーしていたが直前の体調不良により変更を余儀なくされた相澤は「悔しい思いをしたのでその借りを返そう」という強い思いで花の2区を駆けていく。神大や青学大、東海大も2位集団にすぐ上がり、この区間の区間賞有力候補と言われている鈴木健(神大)が追ってくる展開に。それでも相澤は序盤からリズムをつかんでレースを進め、67分18秒の好タイムをマーク。1位をキープし3区の山本につないだ。

 この箱根路が山本の覚醒の場となった。2位の青学大と22秒差でスタートするも一時は8秒差まで詰められる。「すごいプレッシャーの中でのレースだった」と振り返るも落ち着いてレースを進め、それ以上差を縮めさせなかった。そして18㎞過ぎには28秒差に、最終的には46秒差をつけ4区にタスキをつなぐ。出雲駅伝や全日本駅伝でわずかに届かなかった区間賞を箱根でついに獲得。また青学大のエース田村からリードを奪う走りを披露し、エースの称号を手に入れた。「認められてうれしく思う」と語り、次は“大エース”への進化を誓った。

 レースも終盤を迎えた4区をもう一人の期待のルーキー吉川が出走。最初の1㎞を予定よりも速く入り、青学大に反撃の隙を与えない。吉川は攻める姿勢を緩めることなく快走を続け、2位以下を大きく突き放す。この区間は新記録を多くの選手がたたき出し、吉川も区間新をマークするも1秒差で区間2位。区間賞は逃したが後続に2分差をつけてタスキをつなぎ、その実力を見せつけた。これまで1位でつないできた鉄紺のタスキはアンカーの田中龍(済1=遊学館)に託された。仲間の思いも背負い、ここは何としてでも1位を死守し往路優勝を成し遂げたいところ。しかし、青学大が猛追しその差は徐々に縮まってしまう。後ろとの差に焦りを感じつつも、声援を力に変え仲間の待つゴールへ進んでいく。最終的に36秒差まで詰められてしまったが、トップを守り切り往路優勝を成し遂げた。

 

 往路では「平地勝負」のプラン通りに1区から4区でしっかりリードを奪い、完璧なレースを展開。酒井監督は「1区西山の区間賞に始まり、2区の相澤も区間3位、3区山本は区間賞、4区吉川も区間2位と守りに入らず序盤から攻めの走りができて良かった」と語り、今後のチームを率いるメンバーの成長を感じさせた。一度も先頭を譲らず4年ぶりの往路優勝に輝いたが、2位青学大はすぐ後ろにいる。現時点で復路は小早川(済4=武蔵越生)以外は箱根未経験者がエントリー。監督は「一層気を引き締めて復路は復路で“その一秒をけずり出せ”を体現できる走りをしていきたい」と意気込んだ。往路での勢いに乗り若き力で伝統をつなぎ、王座奪還へ挑む。



■コメント

・酒井監督

(往路優勝の気持ちは)往路優勝は一つの目標でもあったので、達成できてうれしい。しかし復路は復路でしっかり取り組んでいく。(往路の戦略は)平地区間に山本を配置したので、平地で勝負すると。山に大砲がいないので平地勝負というプランだった。やはり柏原、設楽を5区に配置したときの往路優勝とはまた違う中身の往路優勝だった。(往路を振り返って)1区西山の区間賞に始まり、2区の相澤も区間3位、3区山本は区間賞、4区吉川も区間2位と守りに入らず序盤から攻めの走りができて良かった。区間も成績だけではなく、追い風もあったがタイムも非常にレベルの高い走りができた。(復路に向けて)往路が終わって2位との差が35、6秒あるがセーフティーリードではないので、一層気を引き締めて復路は復路でその一秒をけずり出せを体現できる走りをしていきたい。


・1区 西山和弥(総1=東農大二)

(往路優勝した気持ちは)やっぱりうれしい。(レースプランや展開は)状態も良くなかったので、本当は六郷橋を過ぎて集団が固まっていたらもう集団でいいと、残り1㎞まで付けばいいと言われていた。しかし、六郷橋で仕掛けるタイミングで周りが離れたので良かった。(区間賞獲得は)出雲、全日本と獲れなかったのでうれしい。有言実行できた。(インパクトは残せたか)自分も主軸となる選手にずっとなりたいと思っていたので、相澤さん、奏太さん、修二さんからするとまだいまいちインパクトは足りなかったと思うが、少しはつけられたかなと思う。(復路の選手に向けて)2位との差が35秒とヒヤヒヤなレース展開になると思うが、信じてサポートしたい。


・2区 相澤晃(済2=学法石川)

(2区に起用されたときは)昨年エントリーされて、当日変更で変わってしまい悔しい思いをしたのでその借りを返そうと思って走った。西山が自分が想定した以上に離してきてくれて、そのおかげでリラックスして入れた。最初速く入ってなるべく追いつかれないようにと思って走った。それで最初からリズムをつかんで最後まで走れた。(意識した選手は)鈴木健吾(神大)さんや塩尻(順大)さんといった学生を代表するトップランナーがいて、自分もその胸を借りて追いつかれたらしっかりそこについていこうと思っていた。最後きつくて詰められてしまったが、自分としては最低限走れたと思う。(タイムは)自分が思っていた以上に速かった。追い風だったということもあるが前半から設定タイム以上で走れていた。最後粘り切れなかったところはまだ甘いが、途中までは服部勇馬(H27年度済卒=トヨタ)さんと同じくらいのペースで走れていた。またここから1年しっかり練習して、来年はその記録を抜ければいいなと思う。(往路優勝した気持ちは)ずっとテレビで往路優勝する東洋の姿を見ていて、今自分がその一員になれてうれしい。(復路の選手に向けて)往路でいい流れがつくれたので、6区からその流れを持続させて、最初から攻めの走りをしてその1秒をけずり出して、一つでもいい順位でタスキをつないでほしい。


・3区 山本修二(済3=遊学館)

往路優勝を狙って挑んだレースだったが、計画通りの走りをすることができて力を合わせた結果が往路優勝につながって本当にうれしく思う。(レースプランは)1区、2区をいい順位で持っていき、3区、4区でリードし5区でそのリードを使って逃げ切るという戦法だった。1区、2区と先頭でタスキをつないでくれたので自分もリラックスして走れた。一度も先頭を譲ることなく逃げ切れたということは良かったと思う。(途中青学大の田村選手に追い上げられたが)10秒ほどまで一気に縮まってすごいプレッシャーの中でのレースだったがそこから詰められることはなく、自分の走りをすれば区間賞も狙えなくもないと思っていたのでしっかりと自分の力を信じて走った結果、区間賞を獲れて良かった。(エースという言葉について)記者会見の際に改めて監督にエースと呼びますかという質問があったが、その際に呼びますと言われたのでついに認められてうれしく思う。次は「大エース」というものになれという指示が出たので、大エースというものはどういうものなのかを考えてそのような存在になれたらと思う。(復路の選手に向けて)復路にも力のある選手が残っており、復路には2年生以上の選手が多くしっかりと安定した走りをしてくれると思う。信じて笑顔でゴールを迎えられるようにこれからしっかりとサポートにまわってチームを支えていきたい。


・4区 吉川洋次(ラ1=那須拓陽)

往路優勝は狙っていた順位だったのでこれからの自分たちの自信につながった。修二さんが青学大の田村選手と競って僅差で来るというレース展開を予想をしていたが、だんだんレースの流れも変わって1分近く差がついてきた。梶谷選手(青学大)がつかせたら強い選手だということはわかっていたので、スピードに乗せて入って最初の1kmくらいから予定よりも速く入って、相手の気持ちをメンタルからダメージを与えられるような走りをした。あとは自分の持ち味であるペースを淡々と刻む走りができれば自ずとタイムがついてくると思った。最初区間新記録と言われたときはとてもうれしかったが、結果1秒負けてしまって区間2位だったので、まだまだ自分に甘えるなと誰かが言ってくれているのだと思う。しっかりとまたこれを強みにそれでも悔しさとしてワンランク上へ上がれるように来年もう一度リベンジできるようにしたい。(復路の選手に向けて)自分たちはすごくいい流れでつなげたと思うので、何としてでも東洋らしい走りで総合優勝を目指してほしい。また1年生の大事なメンバーである浅井が控えているので、とにかくリラックスして楽しんでほしい。自分もしっかりと応援して自分の役割を果たせるように、応援が自分の役割だと思うのでチームの一員として頑張っていきたい。


・5区 田中龍誠(済1=遊学館)

初めての箱根駅伝で優勝というのはすごく光栄でうれしい。(ゴールテープを切った瞬間は)不安が大きかったので逃げ切れたというのに一安心した。5区を走るということでトレッドミールで傾斜をつけて練習したり山対策の練習をしてきた。(レースプランは)最初に上りがあるのでそれまで力を残しておくというのも一つだと思うが、残しすぎてもダメだと思うので、最初からある程度のペースで入って上りをしっかり我慢するという計画を立てていた。監督や応援の人などからタイム差を言われていて、どんどんタイム差が縮まっていたので途中やばいなと思うことはあったが、その分応援もすごく力になったので最後まで我慢することができた。(復路の選手に向けて)タイム差はあまりないが復路にも力のある選手がそろっているので自信を持って走ってもらいたい。



TEXT=福山知晃 PHOTO=仲宗根優介、玉置彩華、青池藤吾、吉川実里、梅山織愛、小島敦希

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