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2018.11.19
ボクシング

[ボクシング]4選手が3位入賞で全日閉幕「また来年リベンジしたい」

第88回全日本ボクシング選手権大会

11月15日(木)~18日(日) 茨城県水戸桜ノ牧高校常北校

・F級

豊嶋(営2=横浜) 初戦敗退

・B級

堤(営1=習志野) 3位

・L級

木村(営3=飛龍) 3位

今永(営1=王子工) 3位

渡来(営2=武相) 初戦敗退

・LW級

佐藤(営1=作新学院) ベスト8

・W級

原田直(営4=崇徳) 3位

・M級

田中 初戦敗退


3位に入賞した4名(左から原田直、木村、堤、今永)


大型ルーキー今永はリベンジマッチに挑んだ


初出場の佐藤は初戦では接戦を制した


 88回全日本ボクシング選手権大会(以下、全日)が茨城県水戸桜ノ牧高校常北校で行われ、東洋大からは8人の選手が出場した。惜しくも決勝に進出した選手はいなかったものの、準決勝にはB級の堤(営1=習志野)、L級の木村(営3=飛龍)、今永(営1=王子工)、W級の原田直(営4=崇徳)が出場し、4人の選手が3位入賞で幕を閉じた。

 

 初戦ではL級でいきなり木村と渡来(営2=武相)の東洋大同士での対決。木村自慢のスタミナの前に一歩及ばず敗戦となった渡来だが「蓮太朗さんのプレッシャーに負けずうまくできたと思う」と試合を振り返った。またLW級では1年生の佐藤(営1=作新学院)が判定を3-2とした接戦を制した。1日目は他にも今永、原田直が勝利し2回戦進出を決めた。翌日の2回戦では堤が昨年度全日王者の風格をみせる試合を展開。相手に流れを譲らず攻め続け、鋭いパンチやアッパーが相手の顔に決まり勝利を収めた。木村は不戦勝、今永は接戦の末判定勝ちとなった。佐藤はケガで大事をとって欠場となったが、初出場ながらベスト8という結果で試合を終えた。そして原田直は「自分のボクシングができた」と語るように、距離を取ってのパンチが相手に何度も当たり勝利を収め準決勝に駒を進めた。

 

 迎えた準決勝。全日2連覇を期待されていた堤が右親指を骨折でまさかの試合欠場。木村と今永は昨年度の全日で敗戦した相手へのリベンジ対決となった。木村の相手は全日4連覇がかかっている強敵、森坂(東農大)。1R目から相手が打ったら打ち返すなど両者譲らぬ攻防戦を繰り広げた。相手の左ストレートが木村の顔に決まるも、負けじと攻め続ける。2R目では木村のフックが何度も決まり、3R目ではコーナーでの打ち合いや右ストレートがボディーに決まるなど、両者共に全く劣らない試合を展開。しかし激闘の末、4―1でレフリーが挙げたのは森坂の手だった。4度目の試合も惜敗となった木村だが「今までの中で一番良かった」と試合を振り返った。今永の相手は藤田(自衛隊体育学校)。1R目からボディーなどを果敢に攻めていく。しかし相手は格上の選手、なかなか思い通りにパンチが決まらない。最後は打ち合いとなり互角の戦いを見せたが準決勝敗退となった。今回の試合後、今永は「やっぱり強かった。まだ1年生なので、また来年リベンジできるように頑張りたい」と闘志を燃やした。原田直の試合は相手の距離での手数が多く、距離感がうまく掴めない試合となる。3R目ではストレートが相手の顔に当たるなど巻き返しも見られたが悔しくも敗戦した。

 

 惜しくも決勝進出者はいなかったものの、4人の選手が3位という結果を残した。今回の全日について「ここから掴んだものを次に繋げるかが大事。うちは若いチームだから今回出た選手は悔しさを忘れずに」と三浦監督。唯一の4年生で、大学生最後の試合となった原田直は「すごい仲間と環境に恵まれた。東洋に来て良かったなと思う」と4年間を振り返った。一方、次の目標について新主将となった木村は「まずはリーグ戦初優勝だけ」と強く意気込む。今回の全日でそれぞれが見つけた課題に向き合い、来シーズンに向けて彼らの挑戦は続く。



■コメント

・三浦監督

(全日1日目)良い選手もいれば、結果が出なかった選手もいるので、力を発揮させる難しさを感じた。(木村と渡来の同門対決について)非常に競った戦いとなった。お互いレベルの高い選手なので、お互いの良い所も見れたし、お互いの悪い所も当然出ました。なかなか心苦しい試合だった。

(全日2日目)堤はいい勝ち方をしたが左手1本で後半戦っていたので、ちょっとけがをしたのかなと思った。勝ち方は危なげなく勝って良かったが検査の結果、骨折ということで、明日の試合は欠場となった。それは残念だが、まだオリンピックに向けて頑張るので、まずは早く治してリスタートを切りたいと思う。今永の試合は病院に行っていて見ていなかったが、シード選手強豪な選手に勝って良かった。原田の試合も同じく見てないが、勝って良かった。蓮太郎は不戦だったが、後方をバックアップしていたので。チームとして全員勝ったことは非常に良かった。佐藤は昨日の試合で頭を切ったのと、目の結膜炎があって大事をとって欠場という形になった。秋山(自衛隊体育学校)とやりたかったが、やはり体が大事なので結膜炎では試合をやらせることもできないので、しょうがないという感じで欠場になった。

(全日3日目)木村は去年の全日本チャンピオン相手にアグレッシブに攻めて、どのラウンドも良いパンチを当てていた。勝ったかなとも思ったが判定は4-1で向こうにいってしまった。そう考えると攻撃は良かったが(パンチを)もらってしまう場面があった。今の攻撃力を持続させつつそのような場面を減らしていかないといけないなと思う。ただ、周りの関係者の方々からも「(木村が)勝っていたのではないか」という声をかけていただいたから自信として次に繋げてほしい。今永も、ものすごく強敵の藤田選手(自衛隊体育学校)を相手に色々戦っていた。相手はディフェンスが堅い選手だから、それをどう崩すのかがカギだった。その堅いガードの中、パンチは少しは当たったが老獪さとボクシングの見せ方という点で、相手の方が一枚上だった。ただ、まだ今永は1年生で、この舞台に上がってこういうパフォーマンスをできたというのは非常に良かった。その中で自分に足りないものをもっともっと追究していってもらいたい。原田も岡澤セオンという老獪なボクサー相手に、1目がちょっと微妙で2R目は(相手に)取られたという感じだった。ただ3の後半に大いに巻き返してどうかな、という試合だった。蓋を開けてみると1目を取られてしまっていた。最初のスタートの重要さ、多彩なフェイントからのリードブロー、リードワンツー、さらに打たせない。あとは試合の見せ方。周りにどう見せるかというところで、ジャッジは岡澤を良いと評価したと思う。まだオリンピックのチャンスはあるから頑張ってほしい。

(全日を通しての評価として)堤が1回戦勝った後に骨折が判明したというのが一番の誤算だった。後の選手は、佐藤が一勝したというのも良い勉強になったし、負けた選手も何かを掴んで持ち帰ってほしい。もう結果は変わらないから、ここから掴んだそういうものを次に繋げるかが大事。4年生は別だが、来年もあるしうちは若いチームだから今回出た選手は悔しさを忘れずに。どこの大学の選手も強くて厳しいから、死に物狂いで練習するしかない。それで来シーズンに繋げてほしいと思う。


TEXT=岡村珠里 PHOTO=梅山織愛