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2位。またしても1部復帰の目標をかなえることはできなかった平成27年度東都大学野球春季2部リーグ。課題はあった、一方で随所に光るプレーもあった。この結果を選手たち、そして指揮官はどのように捉えているのか。8日間に渡ってお伝えする。
最終日は、高橋昭雄監督。待ち望んだエースの覚醒の一方で、打撃不振に頭を抱えた今季。監督生活最長の6季連続2部リーグでの戦いが決まった今、指揮官が選手に伝えたいこととは。(取材日6月21日、聞き手・浜浦日向)
――2部2位という結果をどう捉えていますか。
非常に悔しい。春に上がって秋に日本一を目指そうとやってきたが、それがかなわなかった。新チームになった時に(入れ替え戦含めて)12勝0敗じゃなきゃ1部にはいけないと伝えた。だから総力戦で必死になってやろうと。それが3敗してしまった。
――今季の敗因を挙げるとすれば。
いかんせんスタートの立正大の黒木相手に苦戦しちゃって、そのままのバッティングで終わってしまった。全体が悪かった。勝たなきゃいけない、負けられないその圧力に負けた。精神的にも肉体的にもまだ未熟だったのかな。
――今季は4番の笹川が大学生活初めて0本塁打。主砲の不振はどう見えましたか。
やっぱり一番の痛手は笹川。手術したから、責めるわけじゃないけど痛かったよ彼のブレーキは。一番やらなきゃいけない男ができなかったわけだから。一番悔しいのは笹川かもしれないぞ。
――ただ、どんなに不調が続いても笹川を4番から外すことはありませんでした。
今までのことがあるから。彼が中心になってやらなきゃいけない。その思いをしっかり持ってもらうために。やっぱり笹川がしっかりしなきゃこのチームはだめ。(起用に)全然迷いはなかった。苦しいときにポテンヒットでもいいから一本、そういうたくましさが今シーズンはなかったな。
――苦しい中で見えた希望の光は。
本当にうれしいのは原が一人前以上、うちのチームの大黒柱になったこと。
――春先はオープン戦での好投もあったが、活躍はどれほど計算していましたか。
今まで柱として投げたことがない。だから非常に不安視はあった。でも、ボールが徐々に良くなってきていた。2点くらいは取られるかなと思ってスタートしたら、1対0で星を重ねていった。こんなに良いとは思わなかったね。
――最も成長を感じた試合は。
やっぱり開幕の立正大戦での2完封。キャンプから、1勝1敗になってもそこでお前が勝たなきゃいけないと言っていた。そしたら、あんなに苦しい中最後の最後まで投げ切ってくれた。あれで負けちゃったら4位くらいで終わっていたかもしれない。大きかったよ、よくやった。でも、まだ終わっていないから。1部に上がって、彼がちゃんと立派にプロ野球に入って初めて努力が実ったといわれる。道半ばだ。
――秋に向けて、取り組むべきことは。
とにかく野手に注文したいね。今度は原は打たれると思うから、相手だって研究してくるでしょう。だから野手が春の3倍、4倍はサポートして5対3とか、苦しいけど野手が頑張って原を盛り立てていく。そういう野球にならなきゃ。
――優勝へあと一歩届かない、その一歩は何だと考えていますか。
執念かな。それが弱いよ。負けたらどうしようって。そうじゃない、勝つんだっていう執念が足りない。
――2部に降格して5季、苦しい時間が続きますが。
みんな上がりたいんだよ。学生だって、コーチだって。だからあいつらのために早く1部に上がってやらないと、苦労が報われないですよ。勝ったら必ず負けが来る。絶対勝ったり負けたりなんだから、負けて悔しがっていたらいかん。負けたら必ず勝つ。次は必ず勝つときが来るから信じてやることだ。本当にきついよ、人間を鍛えてくれるよ野球は。今さら67歳が鍛えてもしょうがないんだけどな。
――67歳、東洋大学一筋の監督生活も44年目になりました。
今はこれでもかって煮え湯を飲まされているけれど、必ず良くなると思ってやっているから。じゃなきゃできないだろう?諦めていたらとっくに引退するよ。まだおれは諦めていないから。まだできる、もっとできるぞって。選手には皮肉なことも言うけれど、神宮球場でやらなきゃ自分が光らないぞって。舞台が人を作るんだよ。桧舞台っていうのはよくいったもんで、1部という舞台で自分を発揮しないと伸びていかないんだよ。だからなんとしても、神宮の舞台でこいつらの野球が見てみたいんだ。
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春を終えて 8日連続独占インタビュー企画
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