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「日本一」という最大の目標を掲げ、闘志を燃やし続けた今年度。関東大学リーグ戦(以下、リーグ戦)ではさまざまな熱戦を繰り広げるも、目標の「日本一」の通過点である大学選手権出場がかなわずに幕を閉じた。かなわなかった日本一に悔しさが残ったが、新チームは2024年の逆襲へ、4年生はそれぞれの進む道へと歩み始めている。ここでは、2023年度の主将を務めたタニエラと副主将の杉本に大学ラグビーの思い出や今後のビジョンなどをそれぞれ前編・後編にわけ、4日間にわたってお届けする。
1日目は、昨年度突破できなかった壁を乗り越えるために、最終学年をバイスキャプテンとしてプレーでチームメートを引っ張った杉本海斗(ラ4=東京)。リーグ戦、最後の2試合(東海大戦、日大戦)では「自分らしさが出せなかったと」悔しさをことばしるも、「大学でかなわなかった日本一は社会人で」とリーグワンでの活躍を誓った。前編では、1年~副主将就任時の振り返りを中心にお届けする。(取材日・12月16日、聞き手=木村彩香)
ーー新型コロナの影響による制約があった期間での生活をどうとらえていたか
3月に1〜2週間入ったんですけど、コロナで全員解散という形になって、4〜5か月実家で過ごしていました。その間に、フィットネストレーナーの方をよんで、自重でできるトレーニングメニューを自分たちでやっていました。
7〜8月ごろに合流したんですけど、秋にシーズンが始まるので、試合に出るメンバーと出ないメンバーにわかれて、マスクや消毒だったりを徹底して練習するという形だったので。
自分たちは試合に出るメンバーに途中合流したので、ラグビーの面では充実した面もあったのですが、まだ一年生というところでコロナが影響して、他のメンバーの子たちは、充実した、しっかりとできた年ではなかったんじゃないかなと思っています。
ーー1年次のリーグ戦22年ぶりの優勝、また入れ替え戦が中止になってしまった点については
1年生で優勝をできたのはよかったのですが、優勝が決まる試合前にケガをしていて、入れ替え戦に向けて調整していたので、他のチームのコロナによって入れ替え戦がなくなってきつい気持ちだったんですけど、今振り返るとその時の4年生の気持ちを考えると、試合すらできずに終わってしまったので、今自分たちも四年生なのでその時の4年生の気持ちはしんどい気持ちで、やるせない気持ちで大きかったのだと思います。
ーー1部昇格が決まった瞬間の気持ちは
1年ぶりにようやく入れ替え戦ができる形になって楽しみだったのと、やっぱり去年の先輩たちの思いが強かったので、メンバーやサポートメンバー含めて昇格に向けてやっていて、みんなすごく喜んでいて。そういう面では一年前の先輩たちに恩返しというか、やっとその人たちが目指していたものを達成することができてよかったなと感じています。
ーー先輩方はどのような存在だったか
ラグビーの面ではやっぱり心強い先輩たちだったなと感じていて、練習中やトレーニング、自主練も付き合ってもらったりとか、心強い先輩たちでした。
寮生活の中でも結構仲良くさせていただいて、偉大な先輩でもありながら、友達のようでもあって、すごく尊敬できる先輩が多かったです。
ーー今シーズンで最も印象に残っている試合は
日大戦が印象に残っています。試合でなにもできなかったので、途中で交代して後半はほとんどベンチで応援していました。なんて言えはいいのかわからないのですが、見ていて本当にみんな頑張ってくれていたのに、自分はなにもできなくて。
本当になんて言えばいいわからないのですが、最後まで戦いたかったという思いと、申し訳ないという気持ちと、後輩含めてみんな頑張ってくれていたので。
最後残念な結果になってしまったんですが、戦ってくれたメンバーには感謝しています。
ーーリーグ戦開幕直前の心境は
開幕前は楽しみでやってやるという思いが強くて、対戦相手はわかっていたので、そこに向けて全員でいい準備ができていて、楽しみな気持ちでいっぱいでした。
ーートライ数リーグ内2位であったが
トライ王になりたかったので悔しい気持ちでいっぱいです。
ーー高順位の結果の秘訣は
シーズンが始まる前に自分のノートに目標でトライ数やキックの成功率であったりとかを書いていて、それを1試合終わるごとに記録していました。目標のトライ数は超えていたのですが、途中でトライ数や総得点を意識し始めて、トライ王や得点王だったりを、大学生活最後というのもあって狙っていました。しかし、最後の2試合でやっぱりどうしても自分らしさが出せなくて。WTBというのはやっぱりトライをする役割だと思っているので、それができなかったのは悔しいです。
ーー副将就任後にプレーで見せていきたいと語っていたが、新たな気づきなどはあったか
就任した当時も言ったんですが、いろんな経験をさせていただいたので、そういうところでは辛い場面などはプレーで見せたかったのですが、チームの士気を上げるのはなかなか難しくて。ネラも発言だったり、チームをプラスの雰囲気に持っていく発言だったり、どういうところが悪かったのかというところを日に日にできるようになったなと感じていました。
ーーコミュニケーションで意識していたことは
輪になる時に深呼吸を2〜3回やるんですが、1年生の時からキャプテンがやってくださっていて、そこは継続しようと決めていました。そこを意識して、みんなの息を合わせてから、頭に話した内容が入るように、落ち着かせてというところを意識していました。
会話の内容はその時々で違うのですが、やっぱり悪い部分や修正しなきゃいけない部分はちゃんと言って、良いところは全員でどんどんポジティブに、テンションが上がるように、褒めるところはしっかり褒めてというように、メリハリをつけてやっていました。
◇杉本海斗
生年月日/2001.10.17
ラグビーを始めた時期/中学1年生
趣味/韓ドラやアニメを見ること
好きな作品/イ・ドゥナ
引退後やってみたいこと/旅行、温泉に行くこと
杉本海斗選手のインタビュー後編は、明日掲載予定です。
PHOTO=北川未藍、木村彩香