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2024年夏、4年に1度の祭典五輪がパリで開かれた。無観客での開催となった前回大会・東京五輪から3年。熱い声援であふれるこの大舞台に数々のオリンピアンを育て上げた平井伯昌監督率いる東洋大水泳部から竹原秀一(スポ2=東福岡)、松下知之(国1=宇都宮南)が挑戦。日の丸を背負い、世界と戦った彼らに五輪を振り返っての今の思い、そして今後の展望を聞いた。
男子400m個人メドレーに出場した1年・松下知之選手のインタビューをお届けする。決勝レースでは、強みであるラストスパートで加速すると、順位を一気に上げ2位でフィニッシュ、銀メダルを獲得した。五輪初出場ながら日本競泳陣唯一のメダリストに輝いた松下は、代表内定からレース当日までの約4か月間をどんな思いで過ごしたのか。
【プロフィール】
松下知之(まつした・ともゆき)▷国1=宇都宮南▷178㌢・74㌔▷H17・8・1/A型
(写真提供=東洋大学スポーツセンター)
ーー5月のミズノとの合同取材では、平井監督含め、自他共に「調子がいい」とおっしゃっていましたが、そこからの2ヶ月間で何か変化はありましたか
新しい泳ぎに変えていく中で新たにチャレンジ精神が芽生え、更なる高いステージを目指したいと思うようになっていた。
ーーパリ五輪までの準備期間で、苦しかった時期はありましたか
練習のキツさが今までの人生の中で圧倒的にキツかった。また試合が近づくに連れプレッシャーや緊張感、高揚感など色々な気持ちがあり精神的な疲れが多かった。
ーー会場で実際にマルシャン選手を含め、世界の実力者を目の前にして、感じたことや考えたことはありますか
アウェーの環境の中で自分の泳ぎなどれだけフォーカスできるかがメダルをとるか取らないかを左右すると感じていた。
ーーレース前の心境としてはどんな気持ちが最も強かったですか
誰よりもやってきた自信があったので、ワクワク感が強かった。
ーーレース前に平井監督や竹原選手とはどんなことを話されましたか
先生からは落ち着いて自分を信じて泳げ。 竹原くんからは、今までやってきたことを全てぶつけてこい。
ーー五輪前にかけられた言葉で、印象的なものがあれば教えてください
頑張るというよりも楽しんでこい。
(左から)松下、平井監督、竹原
ーー今大会(パリ五輪)では400m背泳ぎで出場されましたが、4年後のロス五輪を見据えて、200m個人メドレーなどにおいても代表入り目指しますか
萩野公介(H29年度文卒)さんのようなマルチで活躍する選手になるために色々な種目に挑戦したい。
ーーパリ五輪が終わってすぐに日本インカレに出場されましたが、疲労は取れていましたか
疲れというよりも精神的な部分も疲れていた。
ーー4日間にわたるインカレでは、リレーも含めて連日のレースとなったと思います。体力的に苦しいものはありましたか
初めての経験でこんなにたくさん泳ぐことがなかったのでかなりきつかった。
ーーパリでの1番の思い出は何ですか
キャプテンの水沼選手とフランスパンを食べに行ったこと。
ーー水泳パリ五輪において、印象的なレース、選手がいれば教えてください
マルシャン選手の200メートルバタフライ
ーー松下選手の考える、個人メドレーの魅力とは
選手の特性によってレースプランが多種多様であるところ
ーーレース前に必ずすること、ルーティンはありますか
深呼吸をスタート台になってから2回すること。
ーー水泳において技術面でも性格面でも、ご自身の強みとは
ラストスパートです。
ーー練習と大学生活の両立で大変だと感じることはありますか
電車での移動が大変
ーー最後に、直近の目標と長期的な目標があれば教えてください
来年のシンガポール世界水泳で金メダル
TEXT=望月桜/PHOTO=鈴木真央