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第62回全日本学生ライフル射撃選手権大会/第28回全日本女子学生ライフル射撃選手権大会
10月22日(木)~25日(日) 能勢射撃場
◆10mエアライフル立射60発
山本 拓614.2点
宮本 600.8点
新里 591.3点
靍田579.5点
亀井 591.6点
前田 599.0点
小田切 590.6点
土屋 617.6点
(ファイナル1位)
石川 586.3点
二木 608.5点
山本 593.0点
◆10mエアライフル立射60発団体戦
4位
◆50mライフル三姿勢120発
浅見 1091点
二木 1140点
(ファイナル8位)
砥綿 1114点
◆50mライフル三姿勢120発団体戦
3位
◆50mライフル伏射60発
前田 590.1点
砥綿 594.3点
二木 600.3点
浅見 595.8点
◆男子団体総合
3位
◆10mエアライフル立射40発
丸山 396.3点
山下 398.8点
吉本 398.2点
平松 DNS
岩松 399.6点
◆50mライフル伏射60発 女子
5位 三島 603.9点
※結果に誤りがございました。大変申し訳ありません。
土屋は見事に優勝しガッツポーズ
最後のインカレとなった三島
4年生の最後のインカレに記念撮影を行った
4日間にわたり行われた全日本学生ライフル射撃選手権大会の10mエアライフル立射60発競技で土屋(法3=岐阜済美)が優勝。他にも二木(法3=金沢辰巳丘)が50mライフル三姿勢120発競技で8位、三島(法4=文徳)が50mライフル伏射60発競技で5位など、結果の残った大会となった。一方で環境適応力の低さが課題として挙がった。
銃を置いた直後、力強く拳を掲げた。「自分なら当たると信じて撃った結果が1位につながった」と土屋は話す。成績上位者8名だけが出場できるファイナルでは得点の低い者から順位が決まっていく。出だしこそ得点が振るわなかったが、仲間から「つっちー楽しんで!」、「土屋!お前は強いから大丈夫だ!!」と声援が送られる。その中で誰よりも大きな声で応援していたのは二木だ。そして「 『自分に負けるな』と二木が応援してくれた」と土屋の元にその声は届いていた。その声援を力に終盤には何連続も最高得点をマーク。5位、4位が確定していく中、「絶対に負けるわけにはいかない」という強い思いで確実に中央を打ち抜いていく。最後は2位との一騎打ちを制し、優勝が決まると笑顔で振り返りガッツポーズ。会場にいた全員から大きな拍手が送られた。試合後、「ファイナルは緊張した」と振り返った土屋はこの結果に満足しているようだった。一ヵ月前の秋季関東大会では、ファイナルに残るも最下位に終わり悔しい思いをした。その大会の後、コーチや他大学の仲間にアドバイスをもらったという。そして「 自分に合った射撃が見つかった」と堂々の優勝。二木も「同期として誇り」と自分のことのように喜んでいた。
この大会で4年生は事実上引退。最後のインカレであり、最後の大会となるがその中で三島は50mライフル伏射60発競技で5位入賞を飾った。だが、当の本人は苦い表情を浮かべていた。「もっと撃てたかなという後悔がある」と本音を語る。「三姿勢でファイナルを狙っていたが、最後のインカレで緊張してしまって納得のいく試合とはならなかった」と『最後』という言葉が三島のプレッシャーになってしまったようだ。それでも「点数としては後悔があるが、楽しめたという意味での後悔はない」と笑顔を見せてくれた。
団体戦としては10mエアライフル立射60発4位、50mライフル三姿勢120発で3位に入り、男子団体総合でも3位を獲得した。だが小山コーチは今年度結果を残してきた三姿勢の結果に「3位は正直に言って評価していない」と辛らつなコメントを残す。慣れない環境で実力を出せる選手が少なかったこと、前回から順位を落としたことに悔しさをにじませ、「これをバネにして来年こそ優勝を目指したい」と飛躍を誓った。次期主将はこの1年で確実に実力をつけ、結果を残してきた二木だ。「主将として点数をしっかり出して、部員を引っ張っていきたい」と本人も気合は十分。新主将でエースの二木、エアライフルの柱の土屋の二枚看板を筆頭に春の大会に向け新チームは動き出していく。
■コメント
・小山コーチ
能勢射撃場は初めての選手が多く、風も強いので難しい試合が多かった。その中でも結果を出す子は出してくれた。二木は去年、一昨年と頑張っていたのでやっと結果がついてきた。土屋はもともと才能がある。やはり1位をとってくれたのは嬉しい。ただ三姿勢3位は正直言って評価していない。三姿勢は花形の競技で一番点数が出せると思っていたので、前回の大会から一つ順位を落としてしまった。これをバネにして来年こそ優勝を目指したい。女子や男子の一部の種目で環境に対しての適応力の低さが浮き彫りになった。今後の練習でいろいろな射場で打たせて経験を積ませたい。(新人戦の期待選手は)結果を出してくれた山本拓(法1=足羽)。1年生ながらインカレでレギュラー。女子の丸山(法1=高木学園)、山下(法1=小松島)も上手なので新人戦優勝できるかなと。1年生主体の試合なので来年度の状況を見るいいものさしになる。その中でも存在感を出せるように願わくば優勝を期待している。
・新里主将(法4=糸満)
普段撃つ選手が振るわなくて、いつもとは違う順位になった。土屋は1位をとることができた。他の部員も点数的には、まだまだ伸びしろがあると思う。今回は点数が出なかった選手も多いので、来年以降は1位を狙える期待が持てる大会だった。土屋は今回でも十分な点数だったが、練習だともっといい点数が出ている。二木は今回ファイナル種目に出たが、風を読み切ることができなかったり、メンタル の問題もあって8位という結果。でも、射撃にすごく熱心に取り組む姿勢があり、今回の3種目すべてで点数が伸びてきている。射撃は自分との戦い。試合が始まるとコーチングも禁止されてしまうので、一人になってしまう。どれだけ自分のやりたい射撃ができるか、それが重要になってくる。この4年間は早かった。今回で終わりではなく、社会人になっても続けるつもりなので、上手くいかなかったことは反省点としてとらえたい。
・三島 (法4=文徳)
三姿勢でファイナルを狙っていたが、最後のインカレで緊張してしまって納得のいく試合とはならなかった。だが伏射で、納得はいってないが入賞はできたので良かった。点数が全然伸びなかったので秋の大会の方がまだ良かったのでもっと打てたかなという後悔がある。(課題は)風をコントロール出来なくて、風を気をつけながら練習をしていけたらなと。後輩はエアライフルでもライフルでも入賞しているので来年も期待できる。(最後のインカレは)すべての種目で一応楽しめた。ただ点数的には納得いかなかったし、後悔もあるが楽しめたという意味での後悔はない。(期待できる選手は)2年生の岩松(法2=高木学園)がエアライフルのエースなので岩松。いつも400点を越えるので期待している。(後輩に向けて)3年生は実力があるので3年生を見習って練習を頑張ってどんどん入賞してほしい。
・土屋 (法3=岐阜済美)
本戦でも高い点数が出て最近ようやく伸び始めたという実感を発揮できた。ファイナルは前半振るわなかったが、「自分に負けるな」と二木が応援してくれた通り自分なら当たると信じて打った結果が1位につながった。ファイナルはすごく緊張した。(全体会と比べての成長点は)インカレの前に合宿をやり、外部コーチにも来てもらい射撃の技術を教わった。日大にも友人がいるのでアドバイスをもらって色々試してみた結果自分に合った射撃が見つかった。(最上級生となるが)射撃で後輩を引っ張っていって尊敬をしてもらえること、上級生として信用されるような選手でありたい。最上級生になるので後輩には絶対に負けられないという意地を見せていきたい。(春の大会に向けて)来年の春まで時間があるので今回の結果がすべてだと思わずどんどん成績を伸ばしていって。今の自分には満足しているが、今だけ自分に満足して実力をつけて世界大会にお呼ばれするような実力をつけていきたい。
・二木 (法3=金沢辰巳丘)
初めての射場で不慣れなところもあり、自分の射撃をすることが出来なかった。初日の三姿勢は的が見えていた状態だったので自己ベストでいい結果が出せた。三姿勢は予選が2位でファイナルは8位。とても悔しい。敗因は精神力。自分のイメージと違う銃のブレが起こってしまい、冷静に対処できず自分の弱さが出ていた。三姿勢団体3位も悔しい。個々の成績はもっと高いはず。(チームの結果は)SBでは射場にやられている感じがした。ARは点数の伸びている選手がたくさんいて期待できるメンバーが揃っている。土屋のAR1位は同期として誇り。彼が強いメンタルを持っていることは知っていたのでいつも通り楽しく打ってもらえれば良かったので、精一杯応援した。(新チームをどう引っ張りたいか)チームとして男女総合団体優勝を目指してチーム一丸となってやっていきたい。(春の大会に向けて)主将として点数をしっかり出して、部員をしっかり引っ張っていきたい。
・浅見 (法2=栄北)
今回の大会は全力は出し切ったけれど悔いの残る結果となってしまった。エアの試合は点数的も精神的にも辛かった試合で、実力が出せなかった。三姿勢の試合は順位的には良くも悪くもなかった。伏射では、調子も悪くて順位も下のほうになってしまった。どんな状況でも、コンスタントに点数が出せるようにしなければいけないと分かった大会だった。新人戦では、新チームになるので、気持ちを切り替える。上級生にもなるので、落ち着いて高得点を出したいと思う。
TEXT=高橋雪乃 PHOTO=高橋雪乃、菅野晋太郎