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11月30日(月) 東洋大学川越キャンパス会議室
意気込みを書き記した色紙を手にする原
ヤクルトスワローズのスカウト陣と握手を交わす(左から八重樫幸雄スカウト、酒井圭一担当スカウト、鳥原公二チーフスカウト)
緊張した表情で、仮契約に臨んだ
先月のプロ野球ドラフト会議で東京ヤクルトスワローズから1位指名された原(営4=東洋大姫路)が仮契約を行った。契約金は1億円プラス出来高で年棒1500万円。背番号は『16』に決まった。(金額は推定)
大きな期待を背に、プロの舞台へ羽ばたいていく。「10番台の背番号をいただいたので、その期待に恥じないよう1年目から活躍していきたいです」。大リーグでも活躍した元ヤクルトのエース・石井一久氏も背負った番号。さらに、東洋大では藤岡貴裕(H23年度営卒=現ロッテ)以来となる最高条件での契約だった。
「プロの世界に入ることは楽しみでもありますが、不安もある」。それは、現在の原が抱える正直な思い。しかし、「不安」は原にとって決して都合の悪いことではない。マウンドで見せる強気な姿とは裏腹に、実はシーズン中も「不安」ばかりが頭をよぎる。完封しても次打たれたらどうしよう、いくら投げ込んでも本当にここで終わっていいのか。ドラフトの会見場が川越にある野球部寮から都内の大学キャンパス内に変更になった際も、「これで指名されなかったらどうしよう」と漏らしていた。だが、「不安だから、気持ちが練習に向くんです」と原。現在も、1年間戦った肩ひじを休めながら毎日、遠投やブルペンにも入るなどトレーニングを続けている。練習の合間には、後輩投手へ献身的にアドバイスする姿も見られた。
来季からは『スワローズの原樹理』に。チームには同姓の原泉が在籍することから、スコアボードなどに表示される登録名は『原樹理』、ユニフォームの背ネームは『J.HARA』となることが決まった。今季のセ・リーグ優勝チームへの仲間入り。「テレビで小川(泰弘)さんの特集を見てすごいなと思ったので、練習を見てみたい。自分から話しかけられたらいいですね」と弟子入りを志願した。「もう一段レベルアップしてプロの世界に入りたいです」。まずは来年の新人合同自主トレへ向けて、原は大学生活最後の冬を迎える。
以下、会見内容全文
――あらためて、今の率直な気持ちをお聞かせください
ドラフト当日はまだ実感が湧かなくて、指名された当初も頭が真っ白だった。大学野球のシーズンも1年間通して終了して、今日仮契約というひとつ大きな出来事によって自分がプロ野球選手になるんだなと実感することができました。
――ドラフトからおよそ1ヶ月がたち、気持ちの変化はありましたか
すでに、来年から自分がプロ野球でやっている姿を想像しながら、スタートが遅れないように気を緩めることなく日々トレーニングを行っている途中。プロの世界に入ることは楽しみでもありますが、不安もあるのでその分しっかりしなきゃいけないという気持ちで過ごしています。
――今の気持ちを、ご両親にはどのように伝えたいですか
ここまで自分の好きである野球をやらせてもらえたのは、両親の支えがあったからだと思うので、両親には感謝したい。
――学生生活も残り少なくなり、最後にやっておきたいことはありますか
もう一段レベルアップしてプロの世界に入りたいと思っているので、しっかり練習しながら過ごしていきたいです。
――ルーキーイヤーの目標をお願いします
シーズンを通して1軍で活躍できるように、けがをせずにスワローズの連覇に貢献したいと思います。
■コメント
・高橋監督
こうして無事にプロ野球の選手になれたということで、現場の監督としては非常にホッとしています。今年1年間通して原がフルに投げてくれて、チームも2部から1部に上げてくれた。この1年間投げたスタミナでプロ野球へ行って勝負してほしい。投げることに関しては、非常にスタミナを持っている選手。体はまだ華奢ですけど、プロ野球へ行ってしっかり指導を受ければ1年間通して働けるんじゃないかと思う。早く1軍に上がって、ローテーションに入ってほしいというのが私どもの希望です。
・ヤクルト・鳥原チーフスカウト
今シーズン、ヤクルトスワローズは先発投手が1枚足りない、2枚足りないという状況があった。現場監督にも、先発でも中継ぎでもどこでもいけますと話をしている。スカウトとしてもこの前の会議で1軍のキャンプへ推薦しているので、あとはキャンプで判断してもらえれば、おそらく彼が一番力を出せるポジションでやってくれると思っています。
TEXT/PHOTO=浜浦日向