Article

記事


2016.05.20
硬式野球

[硬式野球]副将・阿部健、意地の一打でチーム救う

平成28年度東都大学野球春季1部リーグ戦・国学大2回戦

5月19日(木) 神宮球場

東洋大3-2国学大

(イニングスコア)

2回戦










東洋大










国学大










(東洋大)

石倉、片山翔、飯田、○山下(3勝2敗)―西川元、澤田

二塁打:茶谷(5回)、阿部健(9回)


打順                    
守備
名前




(中)
笹川(営4=浦和学院)




(遊)
阿部健(営4=帝京)




(指)
中川(法2=PL学園)




(一)
鳥居(営4=愛工大名電)




(三)
田中将也(営3=帝京)




(二)
津田(総1=浦和学院)




(右)
安西(営4=聖光学院)




(左)
茶谷(営4=東北)





上島(営4=佐久長聖)




走左
西村(営4=広陵)




(捕)
西川元(営3=浦和学院)





原澤(営3=前橋工業)





池田貴(営2=日本文理)





澤田(営4=新湊)







29



名前




石倉(営4=帝京)
51/3
18


片山翔(法3=大社)
11/3



飯田(営3=常総学院)
2/3



○山下(営1=東邦)
22/3
10



阿部健の一打が勝負を決定づけた


ベンチもこの日一番の盛り上がりを見せた


ここまで大車輪の活躍を見せている山下。1年生ながら3勝目を挙げた


  同点で迎えた九回、阿部健(営4=帝京)が決勝の適時打を放ち、国学大の胴上げを阻止。7回途中から救援した山下は、危なげない投球で3勝目を挙げた。

  今までのすべての悔しさが乗り移った当たりだった。九回2死二塁、一打勝ち越しの場面で打席に向かったのは阿部健。「絶対に打ってやろう」と甘く入ってきたスライダーを逃さなかった。打球は右翼手の頭を越えると、ベンチの盛り上がりは最高潮に。値千金の一打となった。

 今春は開幕からなかなか打撃の調子が上がってこなかった。それに比例するように、出塁してもけん制で誘い出されるなど、らしくない姿が続いた。得意の守備でもピンチでさえないプレーをしてしまい、試合の途中でポジションを譲ってしまうこともあった。亜大から勝ち点を落とした週の週末、日大戦を前に激励会が開かれた。その場には頭を丸めた、見慣れない姿の阿部健がいた。「亜大戦が終わってからやりました」と満足のいかないプレーが続き、自ら活を入れていた。だが、日大を相手にチームは連勝したものの、阿部健のバットは湿ったままだった。本来の彼の姿から遠ざかってしまっていた。

 そして迎えた国学大との最終カード。初戦では専大2回戦以来、実に1ヶ月半ぶりの複数安打を記録した。しかし、チームは敗れ優勝への望みは絶たれた。「胴上げをされたくない」という思いで臨んだこの試合も、悔しい思いをしていた。七回に2点を先制した直後の守備。満塁のピンチで鋭いライナーが阿部健を襲う。体を目いっぱい広げてグラブを差し出したが、「あれを捕っていれば」と悔やんだように、惜しくもグラブをかすめ中前へと抜けていった。続くピンチを同点でしのぎベンチに戻ると、指揮官から打球が捕れなかったことに対して「頼りにならない」と浴びたきつい一言。このことが素直に「悔しかった」。指揮官の言葉に発奮し、副将の意地を見せつけた。

 ここに来て、ようやく主将・笹川(営4=浦和学院)と阿部健に当たりが出た。しかし、この春の優勝の可能性はなくなっている。「明日負けたら意味がない。秋につながるような試合にしたい」と語るリードオフマン。2か月にわたったリーグ戦も、残すところ1試合となった。今春逃した東都王者に輝くためにも、収穫のある戦いで締めくくる。


■コメント

・高橋監督
 昨日の失敗をしっかり修正して、全く逆のゲームができた。これで選手達が目覚めてくれればね。笹川も阿部も打ったし、この1勝は大きいですよ。簡単に優勝させないように、明日もやっていきたいね。

・阿部健(営4=帝京)
 昨日負けて優勝はなくなったので、この試合はチーム全体で胴上げさせたくないという気持ちに変わった。(九回は)自分が満塁の場面でライナーを捕っていれば、と思っていたので、絶対に打ってやろうと。昨日、試合から戻った後、どういうバッティングをしていくかを考えた。しっかり振り込んでいたので、いいイメージで試合に入れた。明日負けたら意味がない。秋につながるような試合にしたいです。


TEXT/PHOTO=菅野晋太郎