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第92回関東大学バスケットボールリーグ戦
10月30日(日) 日体大世田谷キャンパス
東洋大56-38法大
11|1Q|6
22|2Q|7
12|3Q|7
11|4Q|16
スターティングメンバー
2山口健大
10鷲見隆行
25島崎修平
29岩淵俊也
88山本大貴
エースとしてチームを引っ張ってきた山口
不調から抜け出した中村
中村のスリーポイントシュートに沸くベンチ
選手を支えてきたマネージャーもとびきりの笑顔
リーグ最終戦となった法大戦は56-38で圧勝。前試合で3部との入れ替え戦が確定したが、その試合につながる白星となった。
出だしは両チームとも得点に結び付けることができない中、先制点を奪取し徐々に攻勢のリズムをつくっていく。だが、前回入れ替え戦が決定したからか、動きが固く重苦しい雰囲気が会場には流れていた。そのムードを立ったのが中村(済4=幕張総合)だった。
4年生にとって最後のリーグ戦。中村は1年生から上級生に混じって試合に出場し、スタメンを張ってきた。ガードとしてパスをさばきながら、自分でも切り込み、土壇場で決めるスリーポイントシュートが彼の強みだ。東洋大のガードといえば中村晃太郎。そんなチームの中心ともいえる中村が、今秋に入りプレー時間が激減。スタメン出場も少なくなり、いつしかコートにいる時間よりも、ベンチにいる時間が伸びていた。同じく4年間チームを支えてきたチームメイトであり、小学校からの仲でもある山本主将(済4=市立船橋)も「最後なので楽しんでやってほしい」と、気にかけていた。
2Q7分すぎにコートに入った中村は、パスを回しながらディフェンスの隙を狙う。そして残り2分でスリーポイントシュートをゴールに沈めると、彼は覚醒した。1本、また1本とボールがリングに吸い込まれ、なんと4本連続でスリーポイントシュートを決める。これには本人も「よっしゃ!」と一言。待ちわびた中村の復活に、どんよりと重苦しい雰囲気が一掃され、ベンチも応援席も一体となり晃太郎コールに沸く。さらに負けじと山口(済4=桐光学園)もブザービートを決め、17点もの差をつけ後半へ折り返した。
3Qでさらに8点の差を広げ、迎えた最終4Q。「入れ替え戦に向けて、ベンチに登録できない4年生もいるかもしれない。だから、これが最後の試合になってしまうかもしれないので、頑張ってもらおう」と目(さっか)監督の計らいで、普段プレー時間の少ない4年生を投入。小川(法4=都立高島)や石井(済4=正智深谷)、森下(ラ4=都立駒場)といった顔ぶれが、監督や仲間に背中をたたかれ、コートに立った。「最後同期と出られて、楽しかった」と中村も嬉しそうに語った。コート、ベンチ、応援席が一丸となった東洋大勢は最後までリードを貫き、リーグ最終戦を勝利で終了させた。
4年生の引退は11月7日から始まる3部2位の明星大との入れ替え戦まで先送りとなった。だが、最終戦を勝利できたことでチームの士気は上がっている。残留の条件は3戦の中で先に2勝を挙げることだ。「後輩になにか残せたら良いな」(中村)、「勝つことが一番大事」(山口)と語るように、4年生の気合は十分。「入れ替え戦は絶対に勝って、3年生のために残留してあげたい。それが自分と4年生ができる仕事」と監督も語気を強めた。入れ替え戦勝利へ、そして2部残留へ向け、気の抜けない7日間が始まる。
■コメント
・目(さっか)監督
順位が変わるわけではないけど、入れ替え戦につながる試合ができた。個々がディフェンスを頑張れと、ケガはするなと言っていた。法大もうちと同じパターンで苦しんでいる。どっちも苦しんでいる中で試合をした。入れ替え戦に、登録できない4年生もいるかもしれない。だから、これが最後の試合になってしまうので、頑張ってもらおうと。(入れ替え戦に向けて)ディフェンスをきちっと見直すこと。1対1をしっかりとやってくるチームなので、勝手にオーバーディレクションして、いなくなるようでは厳しい戦いになる。対戦相手は明星大。個々が1対1を仕掛けてくるチーム。入れ替え戦は絶対勝って、3年生のために残留してあげたい。それが、自分と4年生のできる仕事。
・中村(済4=幕張総合)
入れ替え戦は決まっていたけど、そこにつながる試合にできるように良い形で終わろうとやってきた。ディフェンスを頑張ったことが勝因。個人的には、ベンチから出てくる身長が低いやつらがプレッシャーをかけることができたことが、大きかった。あと、インサイド陣がリバウンドを頑張っていた。(4連続スリーポイントシュートを決めたことは)良かった。1本目決めてよっしゃ!って手応えを感じた。思い切り打つことができた。4年生をもっと序盤に出してあげたかったけど、自分たちもあまり調子がでなかった。最後同期と出られて楽しかった。いつも出ていない4年生も出してあげたかったので、勝って終わろうと。スタメンもそういう話していた。入れ替え戦の相手の明星大は、思い切りやってくる。立場的には自分たちは不利。自分たちは崖っぷちで、向こうは上がりたいという気持ちで思い切りやってくる。会場の雰囲気に飲まれないようにしたい。後輩になにか残せたらいいな。頑張ります。
・山口(済4=桐光学園)
あまり重たいプレーもなく、2Qの途中から最後の方で点差が離せたのは良かった。最後点数が伸びなかったというのは入れ替え戦での課題でもある。特に対策はしなかったが、法大はディフェンスが結構いいチームなので、ディフェンスはプレッシャーに負けないということが自分たちでできた。お互い入れ替え戦が決まっているわけだし、プレッシャーなどを感じずにプレーすれば良いかなと思ったので、あまり深くは考えていなかった。まだこの先入れ替え戦があるが、リーグ戦最後を勝って終われたというのはチームにとってプラスになると思う。これで気を緩めないことが一番だが、やっぱり勝つというのは自分たちにとって大事なものだったので、勝てたのは本当に良かったと思う。(入れ替え戦に向けて)勝つことが一番大事ですし、降格しないというのも大事だが、4年間やってきたので、最後くらいは楽しく4年生たちとプレーできれば良いかなと思う。プレッシャーも感じずに楽しくプレーできたら良いな。
TEXT=高橋雪乃 PHOTO=水野桜、高橋雪乃