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第86回日本学生陸上競技対校選手権大会
9月8日(金)〜10日(日) 福井運動公園陸上競技場
▼3日目
総合 3位
トラック優勝
多種目優勝
男子200m 準決勝
2組
DNS 桐生
男子4×400mリレー 決勝
1位 東洋大 (松原ー櫻井朴ー吉津ーウォルシュ)3'07"15
見事2連覇を達成した笑顔のマイルメンバー(左上からウォルシュ、櫻井朴、吉津、松原)
短距離部門の成長を引っ張った主将の与那原(法4=那覇西)
桐生(法4=洛南)の日本人初の快挙から一夜明けた全日本インカレ(以下、全カレ)最終日。桐生が200mの準決勝を欠場したため、東洋大からは4×400mリレーのみの出場となった。序盤苦しみながらも最後には見事に2連覇を飾った。
スタートからぶっちぎりの1位というわけではなかった。1コースでのスタートとなった松原(法2=九州学院)。最初の100mは好走を見せたものの体調に不安もあり、なかなかスピードが上がらず苦しいスタートとなった。しかし、このピンチを救ったのは2走の櫻井朴(総3=国学院栃木)だった。「自分がトップ争いに食いつければ勝てる」。序盤は抑えて走る彼が前半から猛追。最初の200mで徐々に前方との差を縮め、最後のコーナーで一気に4人を抜き2位に浮上。そのままスピードを落とすことなく、2位でバトンをつないだ。この櫻井朴の走りに梶原監督は「本当にこのコンディションの中でよくあそこまで追った」と褒め称えた。3走の吉津(ラ1=豊橋南)はトップでバトンを渡すことを意識していた。バトンを受け取った直後、後方には4チームが迫り来る。しかしそれに慌てることなくしっかりと相手をブロックし混戦ながらも2位をキープ。2連覇はアンカーのウォルシュ(ラ3=東野)に託された。「みんながいい位置で持ってきてくれたので、バトンをもらったときには勝ちを確信した」。最初の100mでは体力を温存しつつ首位に迫ると直線で一気に加速し先頭に躍り出る。カーブでもペースを落とさずさらに後続を引き離す。最後の直線では大声援を受けながらぶっちぎりの1位でゴール。全カレ最終種目で見事な2連覇を飾った。
桐生の日本新記録となる9秒台、津波(ラ2=那覇西)の大会記録となる8m越え大ジャンプなど様々なドラマを生み出した今大会。来シーズン、桐生という大砲は卒業してしまうがそれでも梶原監督は「(桐生がいなくなる分を)なんとかカバーし切れるとまではいかないけれどもやれるんじゃないかという見通しはたった」と来年度へのさらなる飛躍を期待。3年生以下で入賞してる選手が多い分、来年彼らはさらなる成長を遂げて帰ってくる。
◼️コメント
・梶原監督
1走の松原が1日目の決勝の前に熱中症気味になっていたのが少し気がかりだった。予選は他のメンバーで通ってくれたし、松原のチェックをしたらいけそうだったので使ってみたが1走は少し誤算だった。でも櫻井朴があの位置からよくあそこまで挽回できたし、前半からそこそこ追っていったにも関わらず、後半もしっかり走ってくれた。本当にこのコンディションの中でよくあそこまで追った。今回の優秀者は櫻井朴。3走の吉津はあの位置を守って来てくれれば、(ウォルシュ)ジュリアンにつないでくれればいいところで、前半他が被せてくるところでブロックしてあの位置をキープしてくれた。ラップタイムはそれほど良くはないけれども、レースの仕方としては指示通りしっかり守ってレースをしてくれたので良かった。それでジュリアンにいいところで渡せたので。あの位置で渡せれば勝ったなと思った。もう少し1走から前に出ていけるんじゃないかと思っていたが、インカレになるとなかなかそう前に出させてくれない。でも、若干苦労しながらも2連覇できたので来年はコンディションが良ければ学生記録を本番で狙うようなチームにして、3連覇を目指す。(全カレを振り返って)そこそこはやれるんじゃないかと思っていたのと桐生がどういう状態で臨めるかというのがあった。桐生さえきちっといけたらかなりいいんじゃないかなと。いい方に流れてくれた。4継が勝てなかったのは悔しいが、その他は400mは2人決勝残ったり、桐生とジュリアンのチームというところにもう一人決勝に残ったり走幅跳で頑張ったり、マイルでも1年生が頑張った。ジュリアン抜きでもマイルは予選を通ったし。総合的に底上げが確実にできている。来年は桐生という大砲が1枚なくなるのは戦力的に厳しいところもあるが、他でカバーしなければいけないところをなんとかカバーし切れるとまではいかないけれども、やれるんじゃないかなという見通しは立ったなと思う。
・ウォルシュ(ラ3=東野)
勝って当然だったが、このメンバーで優勝できたことはうれしい。みんながいい位置で持ってきてくれたので、バトンをもらった時には勝ちを確信した。(今後の目標について)来年までしっかりけがをせず、万全の状態でシーズンに向かって、44秒台をしっかり出したいと思う。
・櫻井朴(総3=国学院栃木)
(優勝して今の気持ちは)最高です!1走の松原が調子悪いっていうのもあって少し遅れてしまって、中盤から下の順位で(自分に)回ってきたが、自分がトップ争いに食いつければ勝てると思ってたので自分の走りは良かったと思う。追いかける展開であったがトップ争いにつなげればアンカーでジュリアンがいて勝てるというのはチーム内でわかっていたことなのでそれにつなげる最低限の走りができて良かった。(予選でタイムを救われる形での決勝進出となったが)ジュリアンなしで決勝に残るという力をつけてきたつもりだったがまだまだ甘くてギリギリの通過になってしまったのは残念だった。来年はもっと強くなって帰ってきたい。(梶原監督が優秀者と言っていたが)監督はいつも自分のこと褒めてくれなくて。素直にうれしい。(今後の目標について)来年の全日本インカレ3連覇と学生記録更新を成し遂げたい。
・松原(法2=九州学院)
(2連覇となったが)高校でも日本一を獲って大学でも日本一になって、毎年獲っているがこのときは最高に気持ちがいい。今回リレーは本当に課題ばかりだった。勝たせてもらう形になった。来年は選手層が厚いので走れるかわからないが、走れたら今度こそはもっと東洋に貢献したい。(課題は)2本目3本目の走り。1日空いて決勝だったが、あの走りになってしまい、まだベストパフォーマンスをいつも出せる状態じゃない。そういうところを修正して、不動の1走になれたらいいなと思う。(池田)仁さんにおめでとうと言われ、来年は一緒に走りましょうと言った。日本選手権リレーも控えているが、今回は変わったがまた4人で走れるように頑張りたい。(個人の400mは)課題が残った。決勝で走れないと意味がないと思うので、予選が全てじゃないというのを今大会で学べた。来年はしっかり入賞者と見られるので、出られたら決勝で結果を出すことを目標にして練習を頑張っていきたい。(今後は)今シーズンは結果は徐々についてきたと思うが、高校3年の日本ジュニア以来、タイムがまだ出ていないので自己ベストの更新はもちろんだが、強い選手になって全カレと日本選手権の標準も切りたいなと思っている。
・吉津(ラ1=豊橋南)
いい位置でジュリさん(ウォルシュ)につなげば優勝できる可能性があるのでいかにしてトップで渡すかを課題として、そのレースプラン通りにできて良かったと思う。予選の2、300mのところで失敗してしまって、そこの改善をしつつ挑んだがラップタイムがよくなかった。櫻井さんが2番手まで追い上げてくれて、しっかり前の城西大を見て走ることができた。予選、決勝と走りきれて良かった。(初のインカレだったが)改めてとんでもない大学にはいってしまったと思う。先輩方がとても偉大で2、3年後であっても自分もそこに負けないよう頑張りたい。来年までには46秒6が日本選手権の標準なのでそこを切りたい。3年生のユニバーシアードを見据えた今後にしていきたい。
TEXT=小島敦希 PHOTO=福山知晃、大谷達也