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平成30年度東日本学生レスリング秋季新人選手権大会
11月26日(月)~28日(水)駒沢オリンピック公園屋内球技場
[上位入賞者]
選手権の部
男子フリースタイル
65㌔級 三上(法3=盛岡工) ベスト8
男子グレコローマンスタイル
55㌔級 岡迫(社3=霞ヶ浦) 準優勝
60㌔級 菅原(社3=秋田商) 優勝
→最優秀選手賞受賞
63㌔級 磯部(社3=中津商) 3位
67㌔級 黒木(済3=宮崎工) 3位
82㌔級 芝元(法3=宮崎農) 準優勝
入賞を果たした5名(左から磯部、岡迫、菅原、黒木、芝元)
菅原は巡ってきたチャンスを確実にものにした
試合後には仲間に向けて笑顔を見せた
グレコローマンでも活躍を見せた岡迫
東日本学生レスリング秋季新人選手権大会の最終日では、3年生以上が出場する選手権の部が行われた。東洋大からは5名のメダリストが誕生し、グレコローマンスタイルでの大躍進が見られた。その中でも輝きを放ったのが、60㌔級で見事優勝を飾った菅原だ。
「いつも通りの、練習通りの試合ができて良かった」。表彰台の一番上で金メダルを首に下げ、賞状とトロフィーを手にした菅原はそう笑った。練習熱心な男の積み重ねた努力がついに花開いた瞬間である。
初戦は前半終了時点で2-3と追いかける展開に。菅原は懸命に攻めるも残り30秒を切り、厳しい状態から抜け出せずにいた。あわや初戦敗退かと思われたが相手の一瞬の隙を突き、試合終了16秒前でバックを取って2点を奪いそのまま4-3で勝利した。2回戦は開始20秒ほどで相手のバックを取ると、その後は組み合いの攻防が続き2-1で決勝進出を果たす。迎えた決勝は、菅原にとって因縁の相手となる宮原(国士大)との決戦となった。二人は過去に2回対戦しており、戦績は1勝1敗。実力は伯仲していた。「相手が何が得意で何があまり得意じゃないかというのはしっかりわかった上で今日試合をした」と振り返るように、相手をよく分析して臨んだ菅原は4点の投げ技を繰り出し鮮やかに先制する。すかさず宮原がローリングで2点を返すと、両者激しくポイントを奪い合い11-6で後半戦に突入。勝負が動いたのは後半1分が経過したその時だった。前半の攻防で疲労が見える相手の足が止まった瞬間を見逃さない菅原が、再び豪快な投げで4点を稼ぎ15-6でテクニカルフォール勝ちを収めた。試合終了のホイッスルが鳴ると、チームの大歓声に応えるように拳を突き上げやり遂げた笑顔を見せていた。
この優勝によって天皇杯全日本選手権の出場権を獲得した菅原。この大会は東京オリンピックの選考も兼ねられており、社会人から学生まで日本のトップの選手たちが多く出場する。「出られることで満足しない」と、結果を追い求める菅原の快進撃はまだまだ始まったばかりだ。
また、グレコローマンスタイル55㌔級に出場した岡迫は本来フリースタイルを主軸としている選手であるにも関わらず、決勝進出を果たす大活躍を見せた。決勝では善戦するも準優勝に終わったが、両スタイルで好成績を収められるマルチさが発揮された。さらにグレコチームの躍進は続く。63㌔級の磯部、67㌔級の黒木が共に3位入賞に、82㌔級の芝元が準優勝に輝き3年生の健闘が見られる結果となった。来年は最上級生となる彼らはラストイヤーを迎えるにあたって、この結果を踏まえさらなるレベルアップを目指す。そして選手権の部の前に行われた新人戦で悔しい結果となった下級生たちも、上級生の奮闘に刺激を受けてチームの士気がより上がることが期待される。
■コメント
・船津コーチ
(菅原は)宮原と1勝1敗で、去年は菅原が勝ったがこないだのグレコ選手権で負けていたのでうれしかった。本当に真面目にコツコツとサボることも無いので、そういう人に結果を残してほしくて、その通りになったから良かった。その前の磯部と芝元の試合は99%勝ってて、最後ちょっと弱気になった瞬間に逆転負けとか失格になってしまった。分かり切っているのに、ああいう試合運びをしてしまうから顔だけでも強気になってやってほしかった。二人とも一生懸命練習をやっているから余計に勝たせてやりたかった。岡迫は元々グレコはやっていなかったが、けがをしていてフリーの練習がそこまでできなくて出場した。本人が「勝ちたいです」と言って出場した。持っているものはあるので、粘った試合もできるし練習やっていなかった割りには良かった。来年はフリースタイルで活躍してもらう。新人戦では優勝は無かったが1、2年生の悔しいという思いは強くなってるし、先輩の粘り強い試合を見ているからそういう姿に刺激を受けてほしい。
・菅原(社3=秋田商)
最初の1回戦、2回戦は動きが悪くて思ったより点数が取れなかったが、やっぱり最後の方で諦めないという気持ちを持って残り10秒20秒でも取りに行こうという気持ちが出て、最初の1回戦を勝つことができて2回戦目もしっかりチャンスをものにできて1点差の試合だったが、しっかりものにすることができた。最後の試合は自分の思った練習通りの投げなり大技がすごい決まって自分のいつも通りの、練習通りの試合ができて良かったと思う。(収穫は)前回の試合が下の階級に出て結構思った動きができなかったが、1個階級を上げたことで練習通りの動きができてやっぱりこの階級が自分に合ってやりやすい階級なんだなというのが実感できた。(優勝という結果について)大学に入って表彰台に乗るのも初めてなのですごくうれしい。(決勝の相手は1勝1敗の因縁の相手だったが)顔馴染みでよく試合会場とかで話したりする仲の良い相手だが、3回目なので相手が何が得意で何があまり得意じゃないかというのはしっかりわかった上で今日試合をしたので、作戦がはまってすごい良かった。(この優勝で天皇杯出場が決まったが)今回の天皇杯は東京オリンピックが絡んでくる一番重要な大会なので、それに向けて今回出られることで満足しないでしっかりと結果も全然勝てないかもしれないが自分で目標を持って、1ヶ月頑張っていきたいと思う。
・岡迫(社3=霞ヶ浦)
(結果には)満足している。本当はフリーだが、柔道をやってたこともあったのでグレコにも挑戦してみたくて出場した。1回戦目にきれいな一本背負いが決まって結構技が通用する、この調子でやれば勝てると思って勝負した。グレコ専門ではないので攻め方がわからなかったので、もうちょっと練習して自分のスタイルをつくれたらもう少し上にいけるんじゃないかなと思う。(フリーとグレコは)距離感も全然違うし、組むとどうしても怖いと思うし躊躇してしまう部分もあった。(足を)取ったらポイントを取れるのにと何度も思ったけどできなかった。グレラーの岡迫になってインカレ獲ります。
TEXT=稲村真織 PHOTO=梅山織愛、稲村真織